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リオ五輪へ重要な一戦…なでしこが警戒、“日本を知る背番号10”チ・ソヨン

2016.03.02

韓国女子代表の“背番号10”チ・ソヨン [写真]=Getty Images

 大阪で開催されている、リオデジャネイロ・オリンピックのアジア最終予選・第1戦となるオーストラリア女子代表戦を1-3で落としたなでしこジャパンは、2日に第2戦の韓国女子代表戦に臨む。

 なでしこジャパンはオーストラリア戦翌日の1日、堺市内で約1時間の練習を行なった。25分間ほどのミーティングを終えた後、冒頭は報道陣に公開されたが、その後は非公開で攻撃の形の確認やセットプレーの練習に取り組んだとみられる。公開された練習では、時折笑顔も見られるほど和やかな雰囲気だったため、五輪出場へ痛恨の黒星スタートだったとは言え、チームとしては韓国戦に向けてうまく切り替えられている様子だ。

 佐々木則夫監督は、「これからはトーナメントの1戦1戦を勝ち抜くという意識。多少プレッシャーはあるが、それを力に変えていく。メンバーはコンディションを見て決めることになりますが、疲労が溜まると難しい選手もいる」と、第1戦から起用選手を変えることに含みを持たせるように話した。

 主将の宮間あやはオーストラリア戦から一夜明けて、危機感を抱きながら振り返る。

「自分たちの力をまだ出せていません。自分はもう、負けたら終わりだと思っています。自分も含めてフリーランが少なかった。ボールに関わっていないところのプレー、動きで相手を動かさないといけないです。もう過密日程を問題にしている場合じゃない。私は1点も失えないと思っています」

 そして、翌日に迫る韓国戦を見据えている。

「韓国と朝鮮民主主義人民共和国の試合映像を見ましたが、躍動感があり勢いを感じます。追い込まれた時にこそ、力を発揮できるようにこれまでトレーニングをしてきたつもり。前だけを見て、もっと責任を伴ったプレーをしていきたいです」

 韓国は第1戦の北朝鮮戦で1-1と引き分けて勝ち点1を手にし、悲願の五輪初出場に向けてまずまずのスタートを切った。

 2015年に開催されたカナダ・ワールドカップでは同国史上初となる決勝トーナメント進出を果たしたことで、韓国国内の女子サッカーへの期待は高まっていると話すのは、韓国の浮沈の鍵を握る背番号10のチ・ソヨンだ。

 2011年シーズンから3年間、INAC神戸レオネッサでプレーし、プレナスなでしこリーグのベストイレブンにも選出された経験を持つチ・ソヨンは、北朝鮮戦を迎える前日に「一番いいのは勝ち点3を取ることですが、すごく強い相手。勝ち点1でも取れればいい」と話していたが、結果的にその通り勝ち点1を手にした。

 今予選への強化試合として、韓国は中国で1月末に開催された『4カ国国親善大会』に参加し、初戦のベトナムには5-0で勝利したが、その後のメキシコ戦で0-2と黒星を喫すると、最後の中国戦にも0-2と敗れ、後味悪く今大会を迎えた。しかし、「オフシーズンの選手が多くて、まだチーム全体の試合勘が戻っていなかった」とチ・ソヨンが大会を振り返っている通り、今予選に向けては万全の準備をしてきたという。

 卓越した技術に裏付けされた突破力のあるドリブルと、試合を決定づけるセンスあふれるパスは、なでしこジャパンの大きな脅威だ。

 なでしこジャパンの守備の要である岩清水梓は、「なでしこリーグで何度も対戦して、足元のうまさと走力の高さは分かっています。韓国のキープレーヤーですから、試合を迎える前にもう一度彼女をどう止めるのか、確認しないと」と、攻略のためにチ・ソヨンへの警戒心を強めている。

「澤さんと対戦したかったけれど、なでしこは澤さんがいなくても素晴らしいチーム。日本は私のことを知っている選手が多いかもしれないけど、私も日本のことをよく分かっているつもりです」

 韓国の司令塔チ・ソヨンは、なでしこジャパンの力を再認識しながらも、そのチームの弱点を知っているかのように話した。

 FIFAランキングにおいて、4位のなでしこジャパンに対して韓国は同18位であるように、なでしこジャパンの優位は動かないと考えられるが、両国にとって五輪に向けた重要な一戦となることは間違いない。

文=馬見新拓郎

By 馬見新拓郎

10年以上にわたり女子サッカーを追いかける気鋭のライター

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