浦和に移籍した南野遥海 [写真]=元川悦子
2026年の明治安田J1百年構想リーグを12位という不本意な結果でフィニッシュし、浦和レッズは曺貴裁監督体制で新たなスタートを切った。その間、中島翔哉、牲川歩見、関根貴大、柴戸海といった30代選手が次々とチームを離れ、松尾佑介や荻原拓也といった面々も移籍。15人もの退団者が出たことで世間を騒がせている。
とはいえ、2025年はFIFAクラブワールドカップ参戦という特別な状況だったため、陣容が多めだったのは確か。クラブとしてはさまざまな検証のもと、戦力を整理し、少数精鋭の体制で新シーズンに挑む意向なのだろう。20歳前後の若手も多いため、全体的な底上げが必要なのも確か。20代前半のタレントが一気に伸びてこないと、新シーズンの快進撃は難しそうだ。
そんな浦和にとって、5月にAFCチャンピオンズリーグ2優勝という貴重な経験を積み重ねた南野遥海がガンバ大阪から完全移籍加入したことは非常にポジティブな要素と言っていい。ご存じの通り、南野はジュニアユースからガンバで過ごした生え抜き選手。2023年のトップチーム昇格後、同年には当時J3のテゲバジャーロ宮崎へレンタル移籍し、翌2024年も当時J2の栃木SCへ武者修行に出て、得点感覚に磨きをかけてきた。そして2025年にガンバに戻ったが、ダニエル・ポヤトス監督体制の同シーズンは10試合1得点と不完全燃焼の結果に終わり、本人も2026年に懸けていた。
その南野を引き上げたのが、イェンス・ヴィッシング前監督だった。指揮官は若手を積極的に起用し、南野もJ1百年構想リーグで17試合7得点という目覚ましい成果を残した。ACL2もファイナルのアル・ナスル戦で1点をリードしていた重要な後半に投入され、献身的な守備でチームに貢献。アジア王者奪取の原動力になったのである。
「(イェンス監督からは)期待されているのを開幕前から感じていましたし、キャンプからもいい感覚を持っていました。5点を最低限に目標にして、プラスアルファでどれだけ取れるのかというのを考えていましたけど、ノルマを達成できたのは良かったと思います」と本人も2発を叩き出した5月24日の清水エスパルス戦後に充実感をにじませていた。
だからこそ、期待の若手がガンバを離れて浦和に赴くというのはサプライズ以外の何物でもなかった。その疑問を7月17日に行われたFC琉球とのトレーニングマッチ後にぶつけると、こういう回答が返ってきた。「いろいろな理由はありますけど、やっぱり自分として何か変えたいなと。若くもなくなってきたので、何か変化が必要かなと思った。基本的にはそういうところは大きかったですね」と本人は変化を求めて、あえてプレッシャーも大きいクラブを選んだという。
4つ年下の山本天翔がドルトムントに移籍したこともあり、海外挑戦も脳裏をかすめたはずだが、南野は「国内で実績を残すことが先決」と考えたのかもしれない。いずれにしても浦和でどう変貌するかは大きな注目点。琉球戦を見る限りでは4−3−3のインサイドハーフが主戦場になりそう。そこは彼自身も前向きに受け止めている点だ。
「自分が目指す方向性を考えた時、ボールを引き出してチャンスメイクをするところは、もう少しやらないといけないと考えていました。そこでポジションを変えるのは分かりやすいかなと。インサイドハーフでやることで、もう一つ成長できるところがあるかなと感じています」と本人は言う。
ガンバでは最前線が主戦場だったため、そのまま点取り屋としての道を極めていくのではないかという見方も多かったが、本人は下がってボールを受けたり、組み立てに参加したりする力も養いつつ、圧倒的にゴールを奪えるアタッカーになりたいと考えているのだろう。百年構想リーグで7点という数字を残せたのだから、得点能力は間違いない。
それを大事にしつつ、いかにして幅を広げていくのか。それが浦和における南野の最重要テーマになってきそうだ。「琉球と試合をしてみて、守備のところをもう少し整理できればいいのかなと感じました。前に行くところとボールを保持するところも明確にしないとチームとしてうまくいかない。今回もカウンターからやられましたけど、メリハリをつけていくことが大事。開幕は8月7日ですし、まだ時間があるので、それまでに仕上げていければいいと思います」と南野は琉球に4−5で敗れたことを糧に、さらなる飛躍を遂げようとしている。
その2週間後の開幕でぶつかるのは古巣・ガンバである。しかも、パナソニックスタジアム吹田でのアウェイ戦。少し前まで自分自身の本拠地だった場所で、赤いユニフォームを身にまとってプレーするのはメンタル的に難しそうだ。容赦ないブーイングも浴びせられそうだが、「自分が移籍した意味を見出さないといけない」と本人も特別な覚悟を持って挑むつもりだ。
そこまでの間に南野が浦和の攻撃のキーマンになってくれれば理想的。曺監督の期待も間違いなく大きいだけに、背番号42には若い世代のリーダーとして新生・浦和をけん引していってほしいものである。
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By 元川悦子

