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有望新戦力補強も開幕3戦未勝利。苦境のFC東京でベテラン・長友佑都に託されるもの

2024.03.11
長友佑都

現在37歳のFC東京DF長友佑都[写真]=J.LEAGUE

 ピーター・クラモフスキー監督体制2年目の今季、悲願のJ1初タイトル獲得を果たすべく、意気揚々とスタートを切ったFC東京。新シーズンに向けて高宇洋、遠藤渓太、小柏剛、荒木遼太郎といったJリーグで実績のある新戦力も補強。選手層の上積みもあり、新チームへの期待は高まっていた。

 ところが、2月24日の開幕・セレッソ大阪戦を2-2で引き分けると、3月2日のサンフレッチェ広島戦も1-1のドローに持ち込むのが精一杯。荒木が2戦3発と気を吐いているものの、勝利が奪えないもどかしさや苛立ちがチーム全体に少なからず感じられた。

 そのムードを払拭すべく、迎えた9日のヴィッセル神戸戦。開始早々に森重真人が不運のハンドを取られ、PKを献上するという波乱含みの幕開けを余儀なくされたが、相手エース・大迫勇也がまさかの失敗。FC東京にしてみればラッキーな展開となった。前半は何とかしのぎ、後半へ突入すると彼らはリスタートから小泉慶が値千金の先制弾をゲット。昨季王者にプレッシャーをかけた。

 けれども、そこからの試合運びが芳しくなかった。神戸自慢のスピーディーな攻めから宮代大聖に同点弾を奪われると、さらに60分には宮代の突破を止めようとしたエンリケ・トレヴィザンがDOGSO(決定的な得点機会の阻止)で一発退場。数的不利の状況を強いられる。直後に大迫に直接FK弾を決められ、逆転を許してしまったのだ。

 クラモフスキー監督は終盤、新天地デビューの小柏や局面打開に秀でた俵積田晃太らを投入。何とか追いつこうと攻め続けたが、猛攻も実らず、1-2の敗戦。これで3戦未勝利で順位も16位に後退し、キャプテンマークをつける松木玖生も「流れをつかめたところは少なからずあったけど、決めきるところで差が出てしまった」と悔しさをむき出しにするしかなかった。

 83分間のプレーでベンチに下がった右サイドバックの長友佑都も、乗り切れない現状をこう評していた。「前半は堅い試合でなかなかチャンスを作れない難しい試合でしたた。大迫にFKを与えたところを含めて難しい判断だったけど、ああいうちょっとのところで試合が決まってしまう。最初にPKを与えたプレーもそうですけど、運で片付けるのも違うと思う。やっぱりもう一度、練習から細部を突き詰めていかないと、勝利を手繰り寄せることは難しいですね。内容がひどいわけじゃないし、自分たちがやってきたことは間違っていないとは思うけど、練習からハードに、自分に厳しくやること。自分の姿勢が周りにも伝わるんじゃないかなと思います」と37歳のベテランは厳しい表情を浮かべていた。

 彼の言う「細部を突き詰める」「自分に厳しくやる」といった部分が、近年のFC東京には少し足りないのではないか…。そんな見方をする人も少なくないだろう。長谷川健太監督体制で横浜F・マリノスと最終節までタイトル争いを演じた2019年以降、2020年が6位、2021年が9位、2022年が6位、2023年が11位と停滞が続いているのも、そういった現状の表れのようにも映る。

 だからこそ、世界基準を知る長友がより厳しさや泥臭さを伝えていく必要がある。

 今季のFC東京は松木を筆頭に荒木、バングーナガンデ佳史扶、俵積田と20代前半以下の若手が数多くいる。そういう集団を引き上げていくことが百戦錬磨の男の使命だと言っていい。同世代の森重真人の力も借りながら、もっともっと存在感を示すべきなのだ。

 今季J1を見渡すと、14年間、欧州を主戦場にしてきた川島永嗣が復帰。西川周作や香川真司、家長昭博らもチームの主軸として奮闘している。30代後半のプレーヤーが1人、また1人とユニフォームを脱いでいく中、長年の経験値を示せる人間がタフに戦い続ける意味はやはり大きい。

 ただ、長友に関して言うと、ケガで長期離脱していた中村帆高が復帰。佳史扶もまずまず好調ということで、今後のスタメンが確約されているわけではない。「甘い世界じゃないんで、1年1年しっかりとやっていけるように頑張りたい。先のことをネガティブに考えると道はそっちの方につながっていくんで、まだまだやれると自分自身に言い聞かせて、必死に体に鞭打ってやっていきます」と彼は自らを奮い立たせていた。

 神戸戦前日の8日、ドラゴンボールの作者である鳥山明先生の訃報が流れ、2018年のFIFAワールドカップロシア直前合宿地のゼーフェルトで長友がスーパーサイヤ人になったことを思い浮かべたサポーターも多かっただろう。

 当時の彼はまさに闘争心の塊。凄まじいパッションを伝えるべく、なりふり構わず金髪姿でピッチに現れ、周りを鼓舞していた。FC東京にJ1タイトルをもたらそうと思うなら、そのくらいの激しいアクションを見せてもいいのではないか。

「W杯の時にサイヤ人になったのはドラゴンボールから来てます。僕は本当に勇気と希望を与えてもらいました。元気玉を集めてるような、エネルギッシュな自分というのをまた見せられるように、改めて厳しくやっていきたいなと思います」

 目をぎらつかせた長友。この男が再び異彩を放ち、FC東京が勝ち切れる集団になるのはいつなのか…。その日が訪れるのが待ち遠しい限りだ。

取材・文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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