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不振に喘ぐ大宮が待望の今季初勝利! 2得点の“エース”河田篤秀「僕がゴールを取らないとチームは乗らない」

2022.04.16

[写真]=金田慎平

 明治安田生命J2リーグ第9節を終えて0勝3分6敗。ここまで勝利がなく降格圏の最下位に低迷していた大宮アルディージャが、開幕から10試合目のホームゲームでジェフユナイテッド市原・千葉と対戦し意地を見せた。

 霜田正浩監督は「恰好悪くても、不恰好でも、体を張って魂を見せてホームで勝ちたいと思っていたので、今日は嬉しい勝ち点3になりました。この1勝で浮かれる選手は誰もいないと思いますが、ここから積み上げていかなければいけないと思っています。ベンチメンバーを含め、入れなかったメンバーも含めて一体感を持って戦えたので、戦う姿勢はこのスタジアムで絶対になくしてはいけない」と振り返った。


 攻守での旗振り役となったのはエースFW河田篤秀だ。最初の見せ場は9分。出足の鋭いプレッシングでDF鈴木大輔からボールを引っ掛けて奪うと、キーパーの位置を見て冷静に左足で蹴り込み、先制点につなげた。千葉の反撃に遭う中でも、粘り強い守備を披露。その後も河田を生かすべくシンプルに割り切りディフェンスラインの裏を狙い続けると、68分にはチームに勇気を与える追加点が生まれる。千葉のミスを見逃さず、ハーフウェイライン近くで河田がドリブルをスタートさせると相手選手2人を交わして左足でゴールを射抜いた。

「1点目はキーパーに近いところでラッキーな形で奪えて、相手がバタついているのが見えたので冷静に流し込みました。2点目は突破にだけに集中してゴールを見て振り抜くことができたと思います」(河田)。

 そして19分には、MF高木俊幸のドリブル突破を防ぐ献身的な守備を見せてサポーターを沸かせた。それは霜田監督が言う“戦う姿勢”が表現された瞬間でもあった。チームもエースの活躍に引っ張られるように泥臭く体を張り中盤の競り合いでファイトする。中を締めてサイドへと誘導し、例えクロスが上がってきても「跳ね返す、拾うことをセットとして、ずっとやってきた」と指揮官は胸を張る。試合終盤は『4-5-1』のブロックを敷き、横ズレ、スライドも実直にこなしてきたが、86分にコーナーキックから失点。今季初のクリーンシートはお預けとなった。

 不振に陥っていた大宮は、日本サッカー協会では技術委員長、Jリーグの副理事長を3月まで務めていた原博実氏のフットボール本部長就任を12日に発表し、テコ入れを図ったことが早速の効果を生み出していた。原フットボール本部長の就任が好影響をもたらしたことについて、河田は次のように言う。

「一番はダメなところをはっきりと言ってくれる。今までポジティブにという感じだったがダメなことをはっきりと言ってくれて、なおかつ『自分は味方だ、一緒に戦おう』と言ってくれることは大きな支えになりますし、『この人のためにも頑張ろう』と気持ちを掻き立てられました」

 これで順位を1つ上げたが、まだまだシビアな戦いは続いていく。ここから這い上がるためには背番号10のさらなる活躍が必要になるだろう。10試合を消化し、チームの総得点は10。そのうち河田が5得点を叩き出している。「僕がゴールを取らないとチームは乗らないし、逆に取ればこういう良いゲームができる」。ゴールを取ることでチームに勢いをつけ、活性化させていく。巻き返しを誓う河田にはエネルギーが満ちていた。

取材・文=石田達也

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