[写真]=清原茂樹、J.LEAGUE
■大分トリニータ 現実路線に踏みきった決断は吉と出るか凶と出るか
【プラス材料】
水曜日に行われた前節の横浜F・マリノス戦は現実路線に変更。戦力差のあるチームに対し、自陣でブロックを築いてスコアレスドローで勝ち点1、あわよくばワンチャンスを決めて勝ち点3を狙った。82分の失点でプランは崩れたが、何が何でも勝ち点を取ろうとする戦い方は今までになかったものだ。
5連戦の最後となる今節は、5位のアビスパ福岡を本拠地『昭和電工ドーム大分』に迎える。ケガ人、コンディション不良者が多い19位の大分トリニータにとって、ホームで中3日の連戦を戦えることは大きい。同じ九州に本拠地を置くチーム同士の“九州ダービー”において順位は関係ない。好調を維持するチームに勝利して、浮上のきっかけをつかみたいところ。
【マイナス材料】
一時は低迷期を脱したかに思えたが、4試合未勝利。横浜FM戦は自分たちのスタイルを捨ててまで勝ち点1を狙いにいったが、結果につながらなかった影響や歪みがどのような形で出るのか不安はある。不協和音は聞こえてこないが、今節の結果次第では監督交代の話が出ても不思議ではない。
リーグ戦14試合に出場しているMF下田北斗、同じくリーグ戦13試合に出場しているMF町田也真人の蓄積疲労が顕著だ。リリースは出ていないものの、FW伊佐耕平は5試合、MF小林裕紀は直近の3試合でベンチ入りさえしていない状況。台所事情の厳しさがうかがえる。
文:totoONE編集部
■アビスパ福岡 連勝止まるも勢いは衰えず。J1でのダービー初勝利なるか
【プラス材料】
前節の横浜FC戦に引き分けたことで、連勝は「6」でストップ。だが、同点弾を決めたFWブルーノ・メンデスは「下を向く必要はなく、アウェイで勝ち点1を前向きに捉えたい」と話した。連勝は途切れたものの、公式戦11試合無敗は続いており、気持ちを切り替えて臨む一戦が“九州ダービー”となれば、モチベーションは高まるはずだ。
第15節の湘南ベルマーレ戦、横浜FC戦と先制されながらも逆転勝ちや引き分けで勝ち点が取れたことはチームを前向きにさせる材料になる。2試合連続得点中のB・メンデスが4得点でチームトップスコアラー。横浜FC戦で途中出場ながら存在感を見せたFW石津大介あたりがリーグ戦初ゴールを決めると、チームは再び上昇気流に乗れそうだ。
【マイナス材料】
大分トリニータとのJ1での対戦成績は2試合未勝利(1分1敗)。その点は数々のジンクスを打ち破ってきた長谷部茂利監督には意味のないデータになるか。
横浜FC戦について、長谷部監督は「前半、相手がうまくボールを動かしてきたので難しかった」と振り返った。アビスパ福岡が得意とするサイドで押し込まれたこと、セカンドボールを回収できずに「ファーストDFでうまく制限がかけられなかった」ことなど、課題も見えた。前節の反省点をどう修正しているか。
パスをつないで組み立てる大分に対しても、前線から連動した守備で攻撃へとつなげたい。GK村上昌謙はその点について「(横浜FC戦の)後半には修正できた。受けに回らないことが大事」と前向きに捉えている。
文:新甫條利子