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イニエスタを核にした“究極×技巧”のスタイル…若き神戸イレブンに与えた刺激

 バルセロナが2018-19ラ・リーガで残したポゼッション率は1試合平均64.79%。メッシらコパ・アメリカ組が帯同しなかった今年7月のRakuten CUPヴィッセル神戸戦でも、同じようなパーセンテージを残している。つまりバルセロナは誰が出ても同じサッカーができることを意味している。まさに“究極”のポゼッションスタイル。ヴィッセル神戸が進めている改革はこれだ。

 バルセロナの哲学を熟知しているアンドレス・イニエスタが昨シーズンの途中に神戸に加入した。改革は大きな分岐点と言っていい。イニエスタとのプレーを望んでいい選手が集まり始めたからだ。

 元スペイン代表のダビド・ビジャやイニエスタに憧れていたセルジ・サンペールなどがいい例だろう。そして8月にはベルギー代表でキャプテン経験のあるDFトーマス・ヴェルマーレンも加入。これで元バルセロナはイニエスタを含めて4選手となった。ポジションの取り方、パスの回し方、崩しの方程式など、バルセロナの哲学を浸透させるためのベースが整ってきたと見ていいだろう。

ポゼッションスタイルを確立する世界屈指の技巧

 神戸のポゼッションスタイルはイニエスタを核にして作られている。彼の動きに合わせて他の選手が動き、連動しているからだ。だが、言い方を変えれば、イニエスタのポジショニングや体の向き、ドリブルコース、パスの配球などによって周りの選手が生かされている。イニエスタは“マエストロ(指揮者)”と形容されることがあるが、それは何もパスのうまさだけではない。神戸の小川慶治朗は、初めてイニエスタと同じピッチに立った時のことをこう話す。

「試合中に(イニエスタが)あんなに細かくポジショニングの指示を出していることを知った」

 イニエスタが自分のキャリアの全てを神戸に注いでいることを証明するエピソードと言えるだろう。まるでプレイングマネジャー(監督兼選手)のようなイニエスタだが、その役割を果たすには相当な余裕がないと難しい。それを可能にしているのが、磨き抜かれた世界屈指の技巧(テクニック)だ。

 イニエスタのプレーを見ていると、彼にはトラップの概念がないのではないかと思うことがある。例えるなら、NBA選手のように全ての動きが滑らかに連動している。そしてNBA選手が相手の動きを見て瞬時にプレーを変えるように、イニエスタもボールを動かしながら相手の出方でプレーの選択を変えていく。1人だけ手でボールを扱っていると言っても言い過ぎではないだろう。だから、彼のプレーは予測できない。対峙するディフェンダーだけではなく、スタジアムに詰めかけた観客さえも。イニエスタのプレーに「うおー」とどよめくのは、想像を超えたプレーをしてくるからに他ならない。神戸がポゼッションスタイルを確立していく過程で、彼の“技巧”は欠かせない。

若き神戸イレブンがイニエスタを体験

 究極のポゼッションスタイルを世界屈指の技巧で導こうとしているイニエスタ。彼とASICSによる共同開発で生まれたシューズが「ULTREZZA AI(ウルトレッツァ エーアイ)」だ。ウルトレッツァとは“究極と技巧”のスペイン語を組み合わせた造語。いぶきの森球技場にてヴィッセル神戸U-18を対象にした試し履き会『TRY!ASICS!』が行われた。

 初めてシューズを履いた選手たちは「イニエスタが履いているスパイク?」「ヤバっ!かっこいい」と大はしゃぎ。5対3のボール回しや6対6のミニゲームなどで履き心地を体感した。

「ULTREZZA AI」のポイントは主に4つ。さまざまな方向への蹴り出しをスムーズにしたX-Guidance、ターン時に必要なソールの剛性をサポートする中足部のTORQUE TRUSS、自然な前重心を実現する5㎜Heel Gradient、そしてイニエスタが最もこだわったという足を優しく包み込むような柔らかな履き心地を追求したSoft Upper Lining。

 神戸U-18のCB 東田正樹は「守備では相手のフェイントに対応しないといけない。X-Guidanceがその動きをスムーズにしてくれているような気がしました」と、試し履きの感想を述べた。

 FW三浦敏邦は5㎜Heel Gradientに興味を持った様子。「1トップに求められるのは前線で起点になるプレーです。その際に、相手のマークを一瞬で外してパスを受けないといけない。そのプレーをする上で、かかとが5㎜高いことで一歩目が速くなったように感じます」

 今シーズンから2種登録でトップチームの練習にも参加しているMF山内翔は、イニエスタへの憧れが強い分「ULTREZZA AI」への想いも人一倍だった。

「今年4月からトップチームの練習にも参加させてもらっています。イニエスタ選手のプレーを間近で見て、改めてすごさを感じました。ボランチとしての自分の持ち味は一瞬のスピードを生かしたインターセプトです。そのプレーに必要な要素がULTREZZA AIには詰まっていると思います。何よりイニエスタ選手と同じモデルというだけで、ちょっとうまくなった気がします(笑)」

 もちろん、「ULTREZZA AI」を履けばイニエスタになれるわけではない。だが、同じモデルを履くことで、イニエスタがどんな感覚でプレーしているかを体感することができるだろう。

取材・文=白井邦明
写真=吉田孝光、ゲッティイメージズ

ULTREZZA AI

アンドレス・イニエスタとアシックスによる共同開発で誕生した一足『ULTREZZA AI(ウルトレッツァ エーアイ)』。イニエスタのイニシャル『AI』を冠した初のシグネチャーモデルには、4つのメインテクノロジーを搭載。細部にまでイニエスタのこだわりが施された一足で過去最高の輝きを放とうとしている。


X-Guidance
アウターソールのつま先部分にX形状に配置されたガイダンスが、様々な方向への蹴り出しをサポート。

TORQUE TRUSS
細かいステップとターンをサポートするために、中足部の剛性を保ちながらも、内側と外側へ体重移動を容易にし、スムーズなターンを実現。

5㎜Heel Gradient
(かかとが高くなっている)ヒールレイズ構造を採用し、自然な前重心の実現と足への負担を軽減。

Soft Upper Lining
伸縮性に優れたメッシュ材をアッパーに採用。フォーム材をアッパー全体に入れて、やわらかな履き心地を追求。

『ULTREZZA AI(ウルトレッツァ エーアイ)』

イニエスタが語った開発秘話とは?

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