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【ライターコラムfrom柏】涙の敗戦から見えてきた答え…J1残留へ再確認したチームの強み

ルヴァン杯準決勝はPK戦の末、敗退となった [写真]=J.LEAGUE

 柏の5人目のキッカーを務めた山崎亮平の蹴ったPKがバーを超えた瞬間、柏のYBCルヴァンカップ準決勝敗退が決まった。延長戦まで縺れ込んだ120分間は文字どおり“激闘”であり、この熱戦を制して勝利を手にした湘南はファイナリストに相応しい素晴らしいチームだった。

 ただ、敗れたとはいえ、柏も今回の激闘から得たものは大きかった。特に強く感じさせたのは、柏本来のスタイルであるポゼッションの重要さである。

準決勝第1戦から、ケガで長らく戦列を離れていた中山雄太がスタメンに復帰し、手塚康平、中川寛斗とともにボールを循環させ、最近の柏には見られなかったスムーズなビルドアップを展開した。第2戦でも後半途中から手塚、中山が投入されると流れが一変、「交代の選手が入って、後ろで数的優位を作りながらギアを上げてくれた」と鈴木大輔が振り返ったとおり、パスのテンポが一気に上がり、湘南のアグレッシブなプレッシングを巧みに掻い潜りながら、その背後にできたスペースを突く攻撃が機能し、数多くのチャンスを作り出した。

 柏にはアカデミーからトップチームまで「ボールを保持して攻撃的なサッカーを展開する」という一貫した哲学がある。中川寛、手塚、中山は、アカデミー時代からその哲学の中で育ち、だからこそ彼らが入った今回のルヴァンカップ準決勝ではポゼッション色が色濃く打ち出された。さらに江坂任、瀬川祐輔といった今季加わった選手たちも、そのポゼッションスタイルの中で、彼らの特長を存分に発揮し、柏のスタイルに合致したプレーを披露した。

 ただし、チーム全体が共通意識を持つことは一朝一夕では成り立たない。例えばCBがボールを持った時に周囲の選手はどこにポジションを取り、誰がそのサポートに入るのか、そして新たに生じたスペースには誰が入っていくのか。そういう細かい動きは、トレーニングで反復してこそピッチ上で選手が同じ絵を描けるのだ。

 第28節の浦和戦でパク・ジョンスがビルドアップのミスを犯し、最終ラインで興梠慎三にボールを奪われたことが失点に直結した。確かにCBとしては絶対にやってはいけないミスではあったが、一方でパク・ジョンスがボールを持った時に他の選手たちがパスを受けられるポジショニングを取らなかったこともミスが起きた一因に挙げられる。それは日々のトレーニングを通じて、ビルドアップのイメージを選手間で共有できていないからこそ発生したミスだとも言える。

 かつてはボールを持つことに傾倒しすぎるあまり、シュート意識に欠け、ゴール前に入っていく人数が足りないなど、サッカーにとって最も重要な「得点を奪う」という部分が希薄になったのも事実だ。今年5月、下平隆宏監督の解任に伴ってヘッドコーチから昇格した加藤望監督が、ゴールへの迫力、縦の速さをチームに植え付けようとしたのは決して間違いではなかった。だが新たなチャレンジへのトライと、柏のサッカーの根幹でもある“ポゼッションスタイル”を破棄することはイコールであってはならない。

 ルヴァンカップに敗退した直後、大谷秀和はこう言った。

「ちゃんとポジションを取ってボールを動かしていく部分と背後を突く部分を続けていけばチャンスは作れる。後ろからボールを持つというのは大事にしたい」

 リーグ戦は残り5試合。現在残留争いの渦中にある柏は、依然として苦しい状況下にある。上記の大谷の言葉を聞くかぎり、柏の強みは何か、そしてJ1残留にためにどういうサッカーをすべきなのか、その答えが見えてきたのではないだろうか。

文=鈴木潤

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