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チャナティップ(札幌)『微笑みの国から来た英雄が見た景色』【外国籍J戦士に聞く強化への道筋】

札幌MFチャナティップ [写真]=大橋泰之

 日本サッカーがさらに向上・発展し、世界で戦い、世界で活躍していくためには何が必要か。

 Jリーグでプレーする様々な外国籍選手たちに話を聞き、そのヒントを探る連載企画【外国籍J戦士に聞く強化への道筋】。第3回は北海道コンサドーレ札幌のタイ代表MFチャナティップ

 タイサッカーの未来を背負う英雄が日本に新天地を求めて早1年。素晴らしいスピードで適応し、今季の好調・札幌をけん引する一人であるチャナティップに、自身のキャリアや日本サッカーの印象、タイサッカーの未来について語ってもらった。

インタビュー=小松春生
写真=大橋泰之、Getty Images、J.LEAGUE

■父に「マラドーナのようになってほしい」と

——サッカーを始めたきっかけから教えてください。

チャナティップ 父親がディエゴ・マラドーナの大ファンで、私に「できることならマラドーナのような選手になってほしい」と願っていたようです。それで毎日練習するようになりました。

——どういった形で練習をしていたのでしょうか?

チャナティップ 父はプロ選手ではなかったですが、経験者ではあったので、いろいろとメニューや練習内容を考え、指導してくれました。それからクラブチームに入り、プロを目指していくようになりましたね。

——チャナティップ少年はどんな子どもでしたか?

チャナティップ 活発で“子どもらしい子ども”だったと思います(笑)。でも、学校の決まりなどはしっかり守る、真面目なタイプでしたよ。

——タイはどういった教育制度なんでしょうか。

チャナティップ 日本と同じく小学校から大学まであります。(注:義務教育も15歳まで)私も高校を卒業して大学に入りました。今もまだ大学の勉強をしています。

——ちなみに日本の部活動のようなものはありますか?

チャナティップ 私が学んでいた当時はスポーツを重点的に扱う学校はありましたが、サッカーを専門的にやるような学校はありませんでしたね。私は18歳からクラブチームのユースに入りました。

■タイ国内ではJリーグをみんな見ている

——プロを目指す子どもたちはどうするのでしょう。

チャナティップ 私が進学した学校はスポーツ中心のような学校だったので、そこで学び、プロになりました。最近は各クラブのユースチームができはじめ、キャンプなどからスタートしてプロになる可能性も生まれるようになりました。タイのサッカー協会も日本のサッカー協会を参考にして、各クラブのユースを整備するようになっていますが、まだまだ日本のレベルにはないですね。

——そのサッカー環境の整備についての状況は、どう捉えていますか?

チャナティップ ここからさらに成長できれば、きっと育成もうまくいくと思います。トップチームで言えば、午前中に練習ができない部分が難しいですね。タイは暑さでとてもじゃないけど、午前中に練習ができなくて。だから夕方からします。選手にとっては午前中に練習できた方がいいと思うんですけどね。練習施設も私がやっていた時代は砂や土のピッチでした。でも、最近はピッチなどの施設レベルも向上しているので、将来的には問題ないと思います。

——タイの国民にとって、サッカーはどのような位置づけでしょうか。

チャナティップ 人気には波がありますね。タイ代表がいい結果を出せば、タイ国内のリーグにもサポーターが入って盛り上がりますが、最近結果が伴っていないこともあり、少なくなってしまいました。今はJリーグの方をみんな見ていると思います。国外のサッカーの方が人気があっても、タイでナンバーワンのスポーツはサッカーです。

——スポンサーなどから投資の対象としては見られていますか?

チャナティップ クラブチームで言えば資金に恵まれたチームもあるし、そうではないチームもあり、その差はかなりあると言えます。例えば、たくさん投資しても、成功を得られなかったらチームを手放そうと考えるケースもまだまだありますから。将来的には、まだわかりませんね。

■日本の選手は同じパターンのプレーが多い

——来日して約1年が経過しましたが、日本で一番驚いたことは何ですか?

チャナティップ ピッチ外では、みんなが規律をしっかりと守っていることですね。例えば、ゴミの分別をみんながしっかりとしているし、しかも街中はゴミ箱もないのに綺麗ですから。規律についてはチームやピッチ内においても同様ですね。集合時間もしっかり守ります。タイでは罰金制度にしないと守らなかったりしますから。ピッチ内ではチームの戦術の多様さやボールスピードという部分でも驚きがありました。

 タイでは個人のテクニックでボールを運ぶことが多いです。ボールが来て、止めて、よく考えてパスするという感じで、時間を多く持てます。でも、その感覚のままだと、日本でプレーすることは難しくなります。今はそのペースに慣れてきました。パスを速く回していかないと奪われてしまうということは、タイに持ち帰って、選手たちに伝えたいことです。

 サポーターの皆さんも素晴らしいですね。規律を持ちながら応援しています。例えばスタジアムは綺麗に使われていますし、選手への尊敬の心もそうです。街中で会った時でも握手だけで、多くを求めたりしませんから。

——チャナティップ選手から見て、「ここを改善すれば、日本サッカーはもっとよくなる」という点はありますか?

チャナティップ 今の日本人の選手はみんなが同じパターンでプレーしていることが多いですね。個人的なテクニックなどはあまり出さない。例えば、高いテクニックを持ったコーチがいて、素晴らしいテクニックを持った選手が出てくれば、もっと日本のサッカーは面白くなりますよ。

——今お持ちの、サッカー選手としての夢は何でしょう。

チャナティップ まずはコンサドーレで成功することです。今はそこに精一杯チャレンジしているので先のことはわかりませんが、ヨーロッパでやってみたいという気持ちはあります。

——個人としての夢はありますか?

チャナティップ 大きな家を買いたいですね(笑)。サッカー選手のサイクルは短いので、ビジネスにもチャレンジしてみたいです。

■選手寮の食事が美味しい!

——現在24歳ということで、選手としてはこれからハイライトを迎える年齢ですが、さらにその先ではタイサッカーの将来に貢献していきたい思いはありますか?

チャナティップ まだ想像できないですね(笑)。タイサッカーはあと10年は経たないと、今のJリーグのレベルにまで上がれないと思います。でも、Jリーグも今よりさらに発展するでしょうね。

——今現在、ピッチ上で一番気を遣っていることを教えてください。

チャナティップ 一番恐いのは、自分のスタイルでプレーできなくなった場合はどうするかということ。なので、自分のスタイルを出すように心がけています。

——プライベートのことも少し聞かせてください。オフの日はどんな過ごし方を?

チャナティップ お昼くらいに起きてカフェに行くことが多いですね。あとは写真を撮るのが好きなので、いい写真が撮れる場所に出かけたりします。休みの日にサッカーを見たりすることはあまりないですね。映画はよく見ますよ。

——コンディション維持に練習以外で気を遣っていることは何でしょう。

チャナティップ タイにいた時よりもフィットネスを意識しています。あと、選手寮の食事が美味しいんです!日本で一番ですね。栄養が考えられていて、体にもいいですし、毎日メニューが変わるのも嬉しいです。

——最後に、応援しているサポーターの方へのメッセージをお願いします。

チャナティップ たくさんの方に応援していただいて、本当にありがとうございます。タイの皆さんも、ぜひ札幌に来て、応援していただけたら嬉しいです。日本の皆さんにも、私はタイ人ですが、変わりなく多くの応援をしていただき、とても感謝しています。これからも応援をよろしくお願いします。

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