2017.09.15

【ライターコラムfrom松本】好調のチームを支える「お父さん」…ベテランDF橋内優也が誓うJ1昇格への決意

橋内は開幕戦から全試合に先発。プレーイングタイムはチーム最多と松本の欠かせない存在となっている [写真]=J.LEAGUE PHOTOS
1978年生まれ、東京都出身。長野県内の新聞社で15年まで勤務し、現在はフリーライターとして松本山雅FCを中心に信州スポーツを幅広く取材。クラブ公式有料サイト「松本山雅FCプレミアム」編集長も務める。

「お父さん」がだいぶ板についてきた。DF橋内優也。7年間在籍した徳島ヴォルティスから、さらなる成長を求めて松本山雅FCに移籍してきた30歳だ。高卒ルーキーとしてサンフレッチェ広島に加入して以降は長らく「おっさん」の愛称で親しまれてきたものの、風貌に年齢が追い付いた今の松本でそう呼ばれることはほとんどない。新天地で迎えた今季は開幕戦から全試合に先発しており、プレーイングタイムはチーム最多。1月に長男が誕生したことも手伝い、ピッチに欠かせない頼れる父親のようでもある。

 J2リーグ第32節・東京ヴェルディ戦でもそうだった。普段通り、3バック右のストッパーとして出場。この日は相手FWアラン・ピニェイロの監視が最も大きなウェートを占めていた。21分にクロスバー直撃のヘディングを許したシーン以外は、チーム最多14ゴールのストライカーに決定機を与えず。特に52分、自陣左からのクロスを2連続で跳ね返したのは地味だが大きな仕事だった。1本目は身長で不利な相手との空中戦に競り合うと、2次攻撃の2本目は鋭い読みとスピードで前に入り込んで危なげなくクリアした。

 わずか2分後から松本が一気に2ゴールを固め取りしたため、結果的にはそこでのガマンが生きて大一番での白星を引き寄せたとも言える。自身は「チームとして前からしっかりプレッシャーをかけてくれたから、僕は僕の仕事を当たり前にやっただけ」と謙遜するばかりだが「もっと弾き返せればよかったけど、そこは駆け引きしながら対応した。30歳までサッカーをやってきたので」と、ベテランとしての矜持もにじむ。

ピッチ内外で“父親的”な存在としてチームを下支えする [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

 J1昇格プレーオフ圏内入りを争う重要な直接対決を制して5位。シーズン残り10試合でようやく浮上してきたが、自らは低迷期も常に前向きな姿勢を崩さずにいた。15位に沈んだ第18節水戸ホーリーホック戦後は自身のミス絡みで敗れたことを反省しつつ、「チームとしては間違っていないし下を向いくことはない。今やっていることを一丸となって突き詰めていきたい」。逆に東京V戦の勝利後は浮き足立たず、「42試合は課題の修正をしていくことの繰り返し。最後まで諦めることなくいいチームだと思って終わりたい」と口元を引き締める。

 プロ12年目となる今季は、自身としても公私にわたって充実したシーズンを送っている。これまではケガに悩まされるのが常だったが、今季はこれまで大きな故障もなくフル稼働。すでに1シーズンでの最多出場数を更新している。そして第31節の徳島戦では、長男を抱いてピッチに入場。古巣のベンチにお披露目の挨拶もした。さらに途中加入の選手と積極的にコミュニケーションを取るなど、ピッチ外でも広い視野でチームを下支えする「お父さん」的な役回りとなっている。充実しているのでは? と問うと、予想を上回る力強い言葉が返ってきた。

「充実感は、シーズンの最後にしっかりいい順位にいて結果が出ることで得られるもの。チームとして目標を達成できるように戦いたい」

 泣いても笑っても残り10試合。リーグは混戦で一切の予断を許さないし、ましてや気を抜ける相手などどこにもいない。次節の相手は最下位のザスパクサツ群馬だが、「楽観視せずハードワークして90分間戦いたい」との決意で臨む。「チームが壊れるのは簡単だけど、積み上げるのはすごく難しい。過信せずしっかりやるべきことをやらないといけない」と橋内。175センチの総身には、戦い抜くために必要な全てが詰まっている。

文=大枝令

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