2017.08.27

【コラム】“ボールは友達”を地でいく中島翔哉。「楽しむ」思いを胸にポルトガルへ

中島翔哉
横浜FM戦でのプレーを終えてポルトガルへ旅立つ中島翔哉 [写真]=上野太郎
朝日新聞。2010、14年W杯、07、15年アジア杯などを現地で取材。ゆるくつぶやいています(ツイッターアカウント:@nakagawafumi)。

 別れの一戦で手にした時間は、アディショナルタイムを含めて15分間ほどだった。「今日で最後だから、長く出られるとは思っていなかった」。それでも彼はいつも通り、遊び心いっぱいにボールと戯れながらゴールをめざした。

 26日の明治安田生命J1リーグ。FC東京の中島翔哉は横浜F・マリノス戦で80分からピッチに立った。この夜を区切りに、ポルトガル1部リーグのポルティモネンセへと移籍する。先制され、ギアを上げた。87分。縦パスを呼び込んで1タッチで前向きにターン、反則を誘った。89分。ペナルティーエリア右でパスを受け、中に切れ込むと見せかけて外へ。目の前の相手を外し、右足でループシュートを放った。柔らかな軌道はしかし、バーをたたいた。

「次、日本に帰って来る時は、あれを決められる選手になっていたい」。横浜FMの同年代・前田直輝らの握手、同僚のピーター・ウタカの抱擁、そしてサポーターの「ショーヤ」コールに送り出され、試合後のミックスゾーンに現れた中島は覚悟を口にした。

 もともと海外志向は強かったが、どこでもよかったわけではない。代理人らと熟慮を重ねた末に決めた移籍だ。まだFC東京での出場もおぼつかなかった2年前、将来性を買われて中欧下部リーグのクラブから打診を受けた。今回も「興味を持ってくれたクラブは他にもあった」。J1で残すべきキャリア、どうすれば自分らしく成長できるかを見定め、欧州でも特に技術を重視する国に新天地を求めた。リオデジャネイロ・オリンピック代表の背番号10。小刻みなタッチで相手の懐をすり抜けるドリブルは、164センチ、64キロの小柄な体をむしろ長所に変える。「本当に攻撃的で、失点を恐れず前に出るスタイル(がポルティモネンセ)。試合を見てしっくり来たし、自分にすごく合うと思った」

 自らに言い聞かせるように繰り返した言葉は「サッカーを楽しむ」だった。

 意気込みを。「どこでやっても、サッカーを楽しみたい。サッカーなんで」

 楽しめない時期も来るかもしれないけれど。「ないと思います」

 試合に出られなくなったら。「それはもう、FC東京で経験している。その時も(練習であっても)サッカーをすれば、変わらず楽しめる。楽しむため、向こうに行くので」

 そんなメディアとのやり取りを見守るクラブスタッフが、苦笑しながら、ふともらした。「アイツ、本当に『キャプテン翼』なんですよ」

 例えば開幕前の沖縄合宿。ひたすらに体を追い込むクロスカントリーが終わる。選手が一様にへたり込むなか、中島は一人、「ちょっと、蹴ってもいいですか」と立ち上がって周りを驚かせる。ボールさえ手なずけていられれば、それで幸せ。23歳は、ボールは友達、を地でいく。

 文化の違い、環境の違い、言葉の違い。ピッチ外でも様々な壁が待ち受ける海外移籍。中島も悩むだろう。それでも彼なら、結局は純粋にサッカーと向き合い、楽しんでしまうのかもしれない。プレーする者が心から楽しめれば、見る者も心から楽しめる。そんな光景を想像したくなる。

 そう、キャプテン翼の世界のように。

文=中川文如

この試合の他の記事

欧州リーグ順位表

マンチェスター・C
32pt
リヴァプール
30pt
チェルシー
28pt
欧州順位をもっと見る
ドルトムント
27pt
ボルシアMG
23pt
ライプツィヒ
22pt
欧州順位をもっと見る
バルセロナ
24pt
セビージャ
23pt
アトレティコ・マドリード
23pt
欧州順位をもっと見る
ユヴェントス
34pt
ナポリ
28pt
インテル
25pt
欧州順位をもっと見る

Jリーグ順位表

川崎F
63pt
サンフレッチェ広島
56pt
鹿島アントラーズ
52pt
Jリーグ順位をもっと見る
松本
76pt
大分
75pt
町田
75pt
Jリーグ順位をもっと見る
琉球
63pt
鹿児島
51pt
沼津
48pt
Jリーグ順位をもっと見る