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【土屋雅史氏のJ2展望】山口vs大分では双子の再会にも期待…水戸は粘りを見せて福岡と引き分けると見る

2017.08.25

爆発的なスピードが武器の、水戸FW齋藤恵太(中央) [写真]=J.LEAGUE

■大分県出身の双子プレイヤーによる兄弟対決は実現するか

 前々節の群馬戦で連敗を4でストップする勝利を挙げながら、前節は徳島に0-5で大敗を喫し、依然として降格圏の21位に沈む山口が、こちらも前節は京都相手に終了間際の失点で追い付かれ、3戦未勝利となった12位の大分とホームでぶつかる一戦。この90分間では、ある双子がピッチ上で対峙するかもしれません。


山口FW岸田和人(左)と大分DF岸田翔平(右)は1990年生まれの双子。今節ピッチで顔を合わせることはあるのか [写真]=J.LEAGUE

 大分県は速見郡日出町出身の岸田和人と岸田翔平は、1990年4月3日生まれの双子。U-12から大分の下部組織に加入すると、そのままU-18まで在籍。1つ上には井上裕大、小手川宏基、清武弘嗣、同期には東慶悟、清武功暉、越智亮介、1つ下には刀根亮輔と多くのJリーガーを生んだ土壌の中で切磋琢磨したものの、共にトップチームへは昇格できず、揃って福岡大学への進学を決断します。

 大学4年時には鳥栖の特別指定選手となり、いきなりJ1デビューまで果たした弟の翔平は、10月にその鳥栖への加入が内定。一方、兄の和人は“就職活動”の場と位置付けて挑んだインカレで、チームを全国準優勝に導く活躍を披露し、当時JFLに所属していた町田へと加入。2人はキャリアの中で初めて別々のチームで、それぞれの道を歩み出すことになりました。

 和人は2014年に期限付き移籍を果たした山口で、JFL得点王に輝くなど一気にブレイク。翌2015年シーズンはJ3へと参入したチームのストライカーとして、34試合32得点という驚異的なハイペースでゴールを量産し、J3、J2と駆け上がった2年連続の昇格に大きく貢献。ここ2シーズンは思ったような結果は残せていないものの、それでも出場したゲームでは常にゴールの香りを漂わせています。

 翔平は鳥栖で出場機会に恵まれなかったこともあって、2015年に長崎へ期限付きで加わり、終盤戦は定位置を確保した中で、J1昇格プレーオフもベンチで経験。翌2016年も長崎で主力としてプレーすると、今シーズンからは大分へと完全移籍。9年ぶりに復帰した古巣とも言うべきチームで、ここまでリーグ戦19試合に出場しており、今後のさらなる活躍が期待されています。

 2人がJリーグの舞台で対戦したのは昨シーズンが初めてでしたが、結果は翔平擁する長崎がシーズンダブル。今シーズン1度目の対戦となった第3節も、途中交代の和人と途中出場の翔平が同時にピッチに立つことはなかったものの、結果は大分が2-0と勝利。まだ翔平は一度も兄に負けたことがありません。そろそろ和人も意地を見せたいタイミングであることは間違いのない所。ただ、現状の両チームを考えると、ここも弟が所属する大分にやや分があると予想し、「2」にマークしたいと思います。

■本能で突き進む、水戸の韋駄天に要注目

 ここに来てシーズン初の連敗を喫し、猛追してきた名古屋に3ポイント差まで迫られている2位の福岡が、一時の勢いこそ止まったものの、昇格プレーオフ圏内まで3ポイント差に付けている10位の水戸とレベスタで激突する第30節。この一戦のカギを握る存在として、水戸の新・スピードスターをご紹介したいと思います。

FW陣が固定されつつあるなかで、齋藤恵太の存在はチームに良い刺激を与えている [写真]=J.LEAGUE

 その人とは49番とチームで最も大きな番号を背負う齊藤恵太、24歳。ドリブルに特化した指導で知られる聖和学園高校を卒業し、仙台大学を経て2015年に福島へ加入すると、ルーキーイヤーからJ3で8得点を記録。昨シーズンからは熊本でプレーしていましたが、今シーズンも徐々に出番を減らしていく中で、7月に水戸への完全移籍が発表されます。

 「熊本でもなかなか試合に出られなかったのに、求められて声を掛けてもらったので、チャレンジというよりは『ありがたいな』という気持ちの方が強かった」という齊藤は、加入直後から途中出場でその驚異的なスピードを披露してきましたが、その武器が形として結実したのが加入後初スタメンとなった第28節の京都戦。前半20分にカウンターから抜け出すと、グングン加速してそのままGKとの1対1も制し、水戸での初ゴールを記録。ゲームも2-0で勝利を収め、前田大然との超高速2トップは一躍注目を集める格好となりました。

 前節の横浜FC戦では右サイドハーフでスタート。「守備で求められることが多くなってきたので、そういう部分は少し戸惑った部分もありますけど、求められていることは一緒だと思っていました」とは言うものの、「特徴を消しに来られているのはかなりありましたね」と続けたように、スペースを消しに来た相手の前になかなかボールを引き出せず、途中からは2トップの一角にスライドしましたが、78分に途中交替。チームも0-1で敗れてしまいます。ただ、西ヶ谷隆之監督も「ウチのシステムを含めるともうちょっとサイドハーフとしてはやり込まなきゃいけないのかなというふうには思いますけど、一発を持っている選手なので、そこの所は連戦なのでチャレンジしていった部分」と言及。「しっかり準備していけばツートップでもサイドハーフでもという形で、チームとしては使える選手になっていくと思う」と期待も口にしていました。

 「(林)陵平くんと大然が固定になっているから、そこにオレが入って競争という圧力を掛けてくれると、さらにみんなのレベルがアップすると監督から言われました」という齊藤の存在は、チームに新たな刺激を与えている様子。本人もゲームに出場していく中で「僕は“ザ・本能”って感じなので、自分は得意不得意がハッキリしていますし、自分が勝負できる所で勝負すればいいのかなというのは凄くありますね」と良い意味での割り切りもできてきており、これからの躍動にも注目したい選手だと言えそうです。

 水戸にとって福岡とのアウェイゲームは、3勝2分13敗とかなり分の悪い数字が出ていますが、直近4試合の結果は1勝2分1敗とまったくのイーブン。今回は齊藤のプレーにも注目した上で、水戸が粘って勝ち点1を掴み取るという予想の「0」で勝負します!

文=土屋雅史

予想難易度が高いとされるJ2は、toto当せんのカギを握る重要な要素の一つ。国内サッカー事情に精通した土屋雅史氏がJ2を徹底解剖する! 『今週のJ2(http://www.totoone.jp/j2/)』はサッカーくじtoto予想サイト『totoONE(http://www.totoone.jp/)』にて好評連載中。
※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェーチーム勝利。

■明治安田生命J2リーグ第30節
2017年8月26日(土)19時キックオフ
レノファ山口FCvs大分トリニータ(維新百年記念公園陸上競技場)

■明治安田生命J2リーグ第30節
2017年8月27日(日)18時キックオフ
アビスパ福岡vs水戸ホーリーホック(レベルファイブスタジアム)

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