2017.07.03

【ライターコラムfrom金沢】J2前半戦総括…柳下スタイルが着実に浸透し「J2残留」へ視界良好

昨季8勝だった金沢は今季前半戦だけで7勝を記録。第21節には約2年ぶりとなる3連勝を達成した [写真]=J.LEAGUE PHOTOS
フリーライター。J2昇格初年度の2015年から、ツエーゲン金沢の番記者として取材活動を開始。J2一年目の快進撃、二年目の残留争いを肌で感じ、監督が替わった三年目は新たなチーム作りを見届ける。

 J2リーグ第21節・横浜FC戦に勝利したツエーゲン金沢は、3戦すべて3得点での3連勝を達成。リーグ戦3連勝は2015年4月以来、約2年ぶりとなる。J2・J3入れ替え戦に回った昨季は一年を通じて8勝しか挙げられなかったものの、今季はシーズン前半戦を7勝10敗4分け、勝ち点25の17位で折り返した。今季の目標もJ2残留。現時点でその見通しは決して悪くない。

「チームとしてうまくいかない時期、結果が出ない時期もあったけど、みんな崩れることなく、下を向くことなくやってきた」(佐藤洸一)、「苦しい時期もあったけど、そこで下を向かずにみんなでやれたからこそ、ここまでこられた」(石田崚真)。スクラップアンドビルド。柳下正明監督の下、ゼロからチーム作りを進めており、戦術の浸透に少々時間を要したが、最近は選手たちが懸命に取り組んできた成果が結果に結びついている。「チームとしてのやり方を理解して体で表現できるようになってきている」という柳下監督は後半戦のポイントを次のように話す。「やるべきことをやり続けることが大事。自信を持って怖がらずにやる。プレーに関しては、マイボールにしたあとのイージーミスを減らしていく。この3つが大きな柱」。

 リーグ戦では第7節・ファジアーノ岡山戦以降、無失点試合がない。ただ、今季は相手よりも多く点を取って勝つスタイル。事故的なものを含めて1失点はあり得るという考え方だ。ゴールを守ることからの逆算ではなく、ボールを奪うことを念頭に置いた守備で重心は前がかり。しかしながら、得点力不足で失点ばかりが嵩んでいたが、このところショートカウンターを中心にチャンスを作り仕留めている。守備面では、一度押し込まれるとバイタルエリアでボールにアタックできずに運ばれてしまうのは課題だろう。

失点後に守備が崩れる課題はGK白井を中心に意思統一を再確認することで改善されつつある [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

 点を奪われた途端にバランスを崩し、いたずらに失点を重ねる点は改善しつつある。アビスパ福岡戦、松本山雅FC戦の大敗を受けて選手たちはコミュニケーションを重ね、失点したからといってリスキーな選択をするのではなく、シンプルにやることを再確認。実際に失点したら、GK白井裕人を中心に互いの顔を見て声を掛け合い、改めて意思統一を図る。「1点取られたくらいで落ち込まないで、切り替えてやれる集団になることが強くなるための要素」(白井)。

 攻守においてまだ課題は多いが、これまでもそうだったように日々のトレーニングで練度を上げるのみ。タッチ数制限やパスをグラウンダーのみに限定したゲーム形式のメニューなどでビルドアップ能力を高めており、判断やポジショニングについても細かい指導が続く。また、フリーランニングする意識の高い選手が多いゆえに、背後へランニングしてDFラインを引っ張り、中盤に作り出したスペースを活かしきれないところがあったが、間受けに長けた杉浦恭平をFW起用することで有効活用できるようになった。

 選手層の薄さは不安材料だが、庄司朋乃也(セレッソ大阪)やビョン・ジュンボン(清水エスパルス)をレンタルし、懸念されていたセンターバックを補強した。以前、柳下監督は後ろが安定したら、より1対1の重要性が際立つ、かつての“新潟方式”の採用も可能になると話していた。彼らがすんなりチームにフィットすれば、金沢のサッカーはさらに進化するだろう。

文=野中拓也

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