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【コラム】来季のJリーグはどう変わる? 1シーズン制復活、海外クラブの招待も構想

Jリーグの理事会と記者会見が13日に行われた [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

 Jリーグは13日に都内で2016年度の第11回理事会を開催し、日程や大会方式など2017シーズンに行われる公式戦の大枠を承認した。

 1ステージ制への再移行がすでに決まっているJ1は2月25日に開幕。ホーム&アウェー方式による2回戦総当たりのリーグ戦を行い、12月2日に閉幕する。2年間にわたって実施された2ステージ制だけでなく、チャンピオンシップが廃止されることも正式に決まった。

 これで来季のJ1は、年間を通して最も多くの勝ち点を獲得したクラブが王者となる、リーグ戦が本来あるべき姿に戻る。チャンピオンシップ廃止で日程的な余裕が生まれたこともあり、負傷の遠因となる過密日程をもたらす水曜日開催は8月9日の第21節だけにとどめた。さらに議論を重ねてきたサマーブレイクを、7月15日から同23日で設けることも決まった。

 ブレイクが休憩を意味することから、理事会後の記者会見で仮称ながら「Jリーグ・インターナショナル・マッチウイーク」と命名した村井満チェアマンは、Jリーグとして初めて導入する9日間を、海外クラブを招いての国際親善試合や海外遠征などで活用してほしいと熱望。さらにJリーグが主管する国際親善試合の構想も明かした。

「日程も正式に決まったので、この期間で招聘できる海外のクラブをこれから探したい。かねてから世界レベルのタフなゲームを経験することで、Jリーグそのもののレベルアップが図られると思っているので」

 主管試合のイメージとしてまず思い浮かぶのは、J1王者・鹿島アントラーズと新シーズンの開幕を直前に控えた欧州の強豪クラブの対決か。村井チェアマンは「最低限そこは保証しますし、ウイークに合わせて複数のクラブが来日し、複数の試合を組むことが日程上で可能であれば、1試合のみと言い切れないかもしれません」とも付け加えた。

今季のJ1を制した鹿島アントラーズ [写真]=AMA/Getty Images

今季のJ1を制した鹿島アントラーズ [写真]=AMA/Getty Images

 J2の大会方式はそのままで、J1昇格プレーオフ決勝は12月3日に行われる。J3もアスルクラロ沼津の昇格で、17チーム体制になった以外は変わらない。一方で今シーズンまでJ2の21位とJ3の2位が対戦してきた入れ替え戦は廃止される。来シーズンからJ2の下位2チームとJ3の上位2チームの自動入れ替えとした意図を、同チェアマンはこう説明する。

「J3のチーム数も増えてきた中で、いつまでもJ2へ昇格できるのが1.5枠のままだと、なかなか上がりにくいという声もありました。J2の適性をもったJ3のチーム数が増えてきた点との兼ね合いで、そろそろ(入れ替え戦を廃止しての)2枠とするタイミングなのかなと」

J3昇格を決めたアスルクラロ沼津 [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

J3昇格を決めたアスルクラロ沼津 [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

 そして、最大の改革が施されたのがYBCルヴァンカップとなる。具体的には(1)プレーオフステージの新設(2)グループステージの日程(3)決勝戦を除いて、21歳以下の選手を1人以上先発に含める――の3点で、これらは若手の成長を促進させるうえで密接に絡みあっている。

 まずは(1)のプレーオフステージ。従来はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)に出場したクラブを除いたJ1クラブが2組に分かれて、1回戦総当たりのリーグ戦によるグループステージを戦い、上位2位までが準々決勝以降のノックアウトステージへ進んでいた。

 来シーズンも同様のシステムの下で1位の2クラブが自動的に準々決勝へ進む一方で、残る椅子を2位以下のチームが6月28日、7月26日のプレーオフステージで争う。方法はACLのグループステージに出場するJクラブ数によって、2通りに定められている。

(ア)ACLに4クラブが出場する場合 グループA及びBの2位と3位が、それぞれたすき掛けでホーム&アウェー方式で対戦。勝者の2クラブが準々決勝へ進む。
(イ)ACLに3クラブが出場する場合 グループAの2位と同Bの4位、両グループの3位同士、グループAの4位と同Bの2位がそれぞれ同様に対戦し、勝者の3クラブが準々決勝へ進む。

 煩雑な方法に映る背景には、グループステージの最終節までノックアウトステージ進出をかけた順位争いが繰り広げられることで、試合の質をより高める狙いが込められている。

 そして(2)のグループステージの日程だ。今シーズンは全7節のうち3つでFIFAインターナショナルウインドーと重複していたが、一転して来季は全てを独立させるスケジュールを組んだ。プレーオフステージの2試合を含めて、A代表選手がプレーする機会が少なかったYBCルヴァンカップの光景が一変する可能性を高めた意図を、Jリーグの窪田慎二フットボール本部長はこう説明する。

「FIFAインターナショナルウインドーは、本来は代表チームが活動する期間ですし、ウィンドウ期間中でなければなかなか良いマッチメイクができない。日本サッカー協会(JFA)と連動してカレンダーを作っていく中で、YBCルヴァンカップのグループステージは基本的にFIFAインターナショナルウインドーに入れず、そのうえであえてACLのグループステージと同じ日に行うこととしました。移動距離の長さなどはACLとは比べものになりませんが、同じ試合間隔で公平に戦わせる狙いもあります」

 物理的な問題で、YBCルヴァンカップの準々決勝と準決勝は重複させざるを得なかった。それでも、5回設定されている来年のFIFAインターナショナルウインドーのうち、3月20日~28日、6月5日~13日、11月4日~14日の3回で、年代別代表は海外遠征や国際親善試合で強化を図ることが可能になる。

 そこに(3)の「21歳以下の選手を1人以上先発させる」が絡む。グループステージで敗退したリオデジャネイロ・オリンピックを現地で観戦した村井チェアマンと原博実副理事長は「Jリーグそのものの敗北」と位置づけ、4年後の東京オリンピックへ向けた若手の強化プランを模索してきた。

 いかにしてJ1での経験を若手に積ませて、育成年代の集大成であるオリンピックに臨ませるか――。最終的に弾き出された結論が、YBCルヴァンカップにおける21歳以下の選手の出場機会創出となったと窪田本部長は説明する。

「原副理事長からは『オリンピックチームをYBCルヴァンカップに参加させたらどうだ』とも言われましたし、いろいろな意見交換をしてきた中で、チームに加入して3年目くらいまでの選手に90分間プレーできるチャンスを与えようとなりました。決勝戦を除外としたのは、Jクラブの強化担当者とも議論を重ねた中で、『決勝の舞台は自らの手で勝ち取るもの』という意見が多くあったからです」

 最も活躍した23歳以下の若手を「ニューヒーロー賞」として表彰するなど、前名称のヤマザキナビスコカップ時代から若手にとって登竜門と位置づけられてきたカップ戦。来シーズンからは21歳以下の“東京オリンピック世代”が、A代表に名前を連ねる選手たちと真剣勝負の舞台で同じ時間を共有することで、さらなる飛躍のきっかけを得る。

 所属クラブで頭角を現すほどに年代別の日本代表に招集され、FIFAインターナショナルウインドーでさらに濃密な経験を積む確率も増す。Jリーグ・インターナショナル・マッチウイークでの国際試合も、若手の成長に寄与するだろう。JFAの西野朗技術委員長がJリーグ理事に名前を連ね、JFAの元技術委員長で前専務理事だった原副理事長と交わしてきた議論の賜物と言っていい。

 ピッチの外では、プロ野球・横浜DeNAベイスターズ前球団社長の池田純氏の特任理事就任が決まった。社長を務めた今シーズンまでの5年間で観客動員数を110万人から194万人へ、売り上げを52億円から110億円へ倍増させ、約25億円の赤字を黒字経営に転じさせた40歳の青年実業家の“らつ腕”に、登用を熱望した村井チェアマンも大きな期待を寄せる。

「新たな観客層の喚起、女性の集客に対する努力、チームのブランディング、ネットメディアを活用したプロモーションなど、サッカー界として学ぶべきところが広範囲に渡って多々あると感じています」

 理事会の冒頭では約2分半のDVDが上映されている。サッカー界に今もなお深い悲しみを与えている、ブラジル1部リーグのシャペコエンセが巻き込まれた航空機墜落事故で犠牲になった、ヴィッセル神戸のカイオ・ジュニオール元監督、そしてセレッソ大阪やジェフユナイテッド千葉で活躍したケンペスさんら、日本に足跡を残した4人の元Jリーガーの在りし日の表情やプレーが収められたものだ。

 Jリーグの関連会社が保管する全公式戦のデジタル映像からピックアップされたもので、村井チェアマンは状況が整い次第、自らシャペコの地を訪れ、ブラジルサッカー連盟やシャペコエンセのクラブ関係者、そして遺族に届けるプランを明かしている。

「今回の悲しい事故に遭われた方々が地球の裏側でこんなにも活躍していたことに、これだけのクラブに貢献してくれたことに、心からの感謝の気持ちと哀悼の意を表したいと考えている次第です。直接お会いした上で、Jリーグとしてどのような支援ができるのかを確認できればと思っています」

 勝者がスルガ銀行チャンピオンシップを戦うために来日し、前年のYBCルヴァンカップ覇者と対峙するコパ・スダメリカーナの決勝ファーストレグを戦うために敵地へ向かう途中で、シャペコエンセは悲劇に遭った。決勝の対戦相手で、現在開催中のFIFAクラブワールドカップ ジャパン 2016にも出場しているアトレティコ・ナシオナル(コロンビア)は、コパ・スダメリカーナ優勝をシャペコエンセに譲渡すると提案。南米サッカー連盟も現地時間4日、これを受け入れている。

 スルガ銀行チャンピオンシップの日程を詰めている、まさに最終段階で事故が発生。以来、交渉は中断され、選手や首脳陣の大半を失ったシャペコエンセはいまだに混乱の渦中にあるが、悲しみの中で誓ったチーム再建が進めば、おそらくは来年8月上旬に埼玉スタジアム2002で浦和レッズとの対決が実現する。

文=藤江直人

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