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【コラム】川崎、悲願のリーグ制覇は幻に…落胆する中村憲剛「喪失感が大きすぎる」

準決勝敗退に落胆する中村憲剛 [写真]=清原茂樹

 等々力に鳴り響く無情のホイッスル。長年追い求め続けてきたリーグ制覇の夢が途絶えたことで、頭の中が真っ白になったのだろう。川崎フロンターレのキャプテン中村憲剛はピッチで呆然と立ち尽くし、その場から一歩も動くことができなかった。

「結果がすべてなので……。ちょっと今は喪失感が大きすぎてコメントが出てこないです」

 鹿島アントラーズをホームで迎え撃った23日の明治安田生命2016Jリーグチャンピオンシップ準決勝。クラブ一筋14シーズン目のバンディエラは、満身創痍の状態でリーグ戦を乗り切った反動でコンディションが整わず、大一番でベンチスタートを余儀なくされてしまう。だが、21分に長谷川竜也の左太もも裏負傷を受けて急きょピッチへ送り出されると、ケガを感じさせず、普段と変わらないゲームメークを披露。勝利に向けて、そして悲願のリーグ初優勝を達成するべく力を尽くした。

 スコアレスで迎えた50分に一瞬のスキを突かれて金崎夢生に先制点を許したが、その後も中盤でボールを集めて左右に展開するなど、攻撃の起点として存在感を見せ続ける。59分にはペナルティエリア左からドリブルで仕掛け、鋭い切り返しで相手DFをかわしてシュートを放つも、これは惜しくもサイドネットの外。続く67分には大久保嘉人のパスを受けてエリア内右サイドからゴールを狙ったが、これもわずかにゴール右へ外れてしまう。終盤にはパワープレーの起点としてゴールを狙い続けたが、守りを固める鹿島守備陣を最後まで崩せず。攻撃サッカーを武器に結果を出してきた“風間フロンターレ”が、1点に泣く形でタイトルへの道を閉ざされてしまった。

 その場に立ち尽くした中村は、相手選手と審判団にあいさつをした後、バックスタンドへと向かう。足を進めるたびに悔しさがこみ上げ、両手で頭を抱えた。そして一人では立っていられず、スポンサーボードに両手をついてうなだれた。失った目標の大きさを再認識して目を赤くしたキャプテンは、支えて続けてくれたサポーターに深々と頭を下げてスタジアムを回った。

 風間八宏監督に率いられて5シーズン目。今年夏場には年間勝ち点で首位を独走した時期もあった。「アドリブの連続性が面白い」という司令塔の言葉どおり、緩急をつけたポゼッションサッカーでリーグを席巻。目の前の試合を一つひとつ乗り越えていくことで選手たちが自信をつけ、大目標の達成に向けて大きな手応えを感じていた。チーム全体の底上げとレベルアップが実現されてきた中で、10月上旬に風間監督の退任が発表。積み上げてきたスタイルでの集大成とするべく、執念で頂点を目指してきた。クラブ一筋14年目にして一度もタイトルを手にしていない中村憲剛にとって、今シーズンのリーグ戦が本当に大きなチャンスだったのは間違いない。その夢が断たれてしまった事実を、すぐに整理して言葉にできるものでなかったのだろう。

 試合後のミックスゾーン、報道陣に呼び止められても言葉が出てこない。いつもなら勝っても負けても冷静に、しっかりとチームを代表してコメントを残すベテランも、大きなショックを隠しきれなかった。

「自分も決められるところで決め切れなかった。サポーターの皆さんもすごくいい雰囲気を作ってくれましたし……。今はちょっと何も考えられないというか、結果が結果なので……それだけです……」

 言葉少なにスタジアムをあとにしたキャプテンの心境は想像するに難くない。気持ちを切り替えるのは容易ではないだろう。だが、年末には勝ち残っている天皇杯もある。リーグ制覇の夢は途絶えたが、まだタイトルを手にするチャンスはまだ残されている。そしてサッカーは続いていく。かねてから「僕の人生は逆境ばかりですから」と話してきた中村憲剛。この逆境を乗り越え、彼が笑顔でカップを掲げる日を待ちたいと思う。

文=青山知雄

リーガ・エスパニョーラ

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