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熊本の活動継続にJリーグが全面協力…今後の方向性は21日以降に決定か

2016.04.19

18日に熊本のクラブハウスへ足を運んだ原博実副理事長(右端)。清川浩行監督(左から2人目)、清武功暉(中央)らに支援物資を手渡した 写真提供=Jリーグ

 公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)は19日、大阪・吹田スタジアムで2016年度第4回理事会を開催し、平成28年熊本地震への被害に対する支援として、義援金1000万円の拠出を決めた。同日午前には西日本を拠点とするJクラブの実行委員による分科会を実施。ホームタウンが大地震に見舞われたロアッソ熊本の池谷友良社長は、この分科会に続いて午後の理事会にも出席し、現状報告と今後の方向性に関する議論に加わった。また、支援物資と現状把握のため、いち早く熊本へ足を運んだ原博実副理事長が現地から電話で被災地の状況を説明した。

 断続的に地震が発生している状況は今も変わらない。この日の記者会見中にも熊本を震源とする震度5強の余震が起こり、手元の携帯電話が振動していた。予断を許さない現状に池谷社長自身も車上生活が続いており、選手たちは県外の知人を頼って生活したり、一部の選手は避難所暮らしを強いられているという。練習場、うまかな・よかなスタジアムには水などの支援物資が多く届けられていながら、市民の手に行き渡っていないのが現状のようだ。


 現在、クラブは20日まですべての活動を休止しており、練習環境やスタジアムの状態を鑑みて23日にホームで開催予定だった横浜FC戦の中止を決定。この日の理事会では、その上で今後の試合開催に関する考え方を整理した。Jリーグの村井満チェアマンは「市民や地元の皆さんの迷惑にならないこと、しっかりした練習環境にあるかどうか、そして交通環境や導線を含めて安全なスタジアムが確保できるか」と3つの条件を挙げ、「どんな状況であれ、競技である以上は練習から全力を尽くして臨めるかどうか」も必要であるとした。

 難しいのは今後に関してだが、Jリーグは29日にアウェーで行われるモンテディオ山形戦とそれ以降の活動に際して、いくつかの提案を持ちかけた。関係各所や他クラブの協力もあり、アウェーゲームが行われる山形、熊本近郊の鳥栖、さらにはJ-GREEN堺(大阪府)での練習環境提供を提示。さらに第11節のホーム愛媛FC戦に関しては、対戦相手である愛媛の豊島吉博社長がホームとアウェーを入れ替えての開催に理解を示した。また、Jリーグのトップパートナーを務めるルートインホテルズは、熊本が本拠地を離れてトレーニングを続ける場合の宿泊提供を申し出ているという。当面は上記の3要素を踏まえての判断となるが、実際には選手たちが家族を熊本に残してアウェーの地でトレーニングを続けられるかどうかという問題もある。今後は20日までの活動休止期間に池谷社長を含めたクラブ側の考え方を取りまとめ、21日に再集合した段階で改めて選手たちの声を聞く流れになりそうだ。

 この日の理事会では、V・ファーレン長崎の実行委員を務める岩本文昭氏から「一定期間の全リーグ戦中止」について質問が出た。村井チェアマンは「熊本を除く全クラブが上記3要素をクリアしており、まずは熊本側に選択肢を持ち帰っていただいた形」であるとコメント。その一方で心情的なものや被災地の現状にも理解を示し、「リーグ側としては開催を求めて意見を聞いているわけではありません。先ほど挙げた3つのハード面が整ったとしても、クラブ側として参加することができないと判断することがあるかもしれません。少なくとも選択肢がなければしたくてもできない。そういう意味で選択肢を持ち帰っていただいています。もちろん開催するとした場合にもリーグ戦に参加するまで長期化する可能性はあります。これはあくまでクラブ、現地を優先して判断してもらおうと考えております」と説明した。この予断を許さない状況で熊本がいかなる判断をするのか。その内容次第では、Jリーグ側にもさらなる対応が求められることになりそうだ。

 今回の熊本地震に際して、全国のJクラブやサポーターが素早く行動に移し、募金活動や支援物資の輸送に協力している。村井チェアマンもその状況を受け、「全国のクラブが募金を集めてくれたり、選手が現地に入ったり、ファン・サポーターの皆さんや関係者を含めたいろいろな人たちが立ち上がって支援をしていこうという機運がある。これに関しては本当に頭が下がる思いです。熊本の皆さんにはまず安全に配慮されて、何とかこの苦難を乗り越えてほしいと思います」と口にしていた。

写真提供=Jリーグ
文=青山知雄

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