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【平畠啓史氏はこう見る!】“難問の答え”を得た東京Vが磐田と激突…J1昇格の行方を占う大一番の見所を紹介!

J2第39節では6位の東京V(上)と2位の磐田(下)が対戦する

 この時期、18時にもなると上着一枚では肌寒い。スコアレスドローに終わったセレッソ大阪vsカマタマーレ讃岐の一戦をキンチョウスタジアムで観戦した後、一服しようと喫煙所に向かおうとすると、暗がりで顔はよくわからなかったが、C大阪ファンであろう男性から声を掛けられた。

「ひらちゃん! どうやったら勝てるんやろ?」

 冗談めかして言ってはいたが、多分切実な問題に違いない。「わからんわ~」と、正直に答える平畠。わかっているのに教えないほどケチな男ではない。本当にわからないのだ。いや、もっと言えばわからないから、正解がないからおもしろいのがサッカーである。そして、正解探しはリーグ戦残り4試合になっても終わりがない。結局、シーズンが終わっても正解は出ないけど。

 6試合勝利のなかった東京ヴェルディが、前節で栃木SCに勝利した。流れの中の得点ではなく、PKで奪った1点だったが、ようやく勝利することができた。「どうやったら勝てるんやろ?」。東京Vは、夏場の調子が良かった頃のメンバーに戻すことによって、その答えを見出した。前線からプレスを掛け、相手にプレッシャーを掛けた。仮に何枚かはがされたとしても、サイドハーフの澤井直人南秀仁が懸命にプレスバックして、相手の中盤にプレッシャーを掛け続けた。チーム全体が連動し、調子の良い頃の守備が戻ってきたように感じた。

 ところで、栃木戦における東京Vのスタメン11人のうち、実に8人が下部組織出身のプレーヤーだった。東京Vの伝統と言える下部組織の充実が、今の彼らを支えているわけだが、現チームの核となっているのは下部組織出身ではない選手で、佐藤優也井林章、中後雅喜の3人であるとよく耳にする。彼らは、ユース育ちの若い選手たちに対して、「黙っとれ若造が!」と頭ごなしに言うことなく、東京Vのやり方を尊重し受け入れつつも、自分たちの経験もしっかりとチームに浸透させて、うまく集団を機能させているらしい。

 そして今節、東京Vはホームにジュビロ磐田を迎える。ゲームをコントロールする中後雅喜、下部組織出身の19歳三竿健斗によるダブルボランチと対峙するのが、磐田のトップ下、東京Vのユース育ちである小林祐希だ。彼は東京V時代、良い意味でも悪い意味でも王様だった。私は、そんな鼻っ柱の強そうなプレースタイルが好きだったが、王様ゆえにうまくいかないと苛立っているように見えることもあった。2012年、シーズン途中に磐田に移籍。埼玉スタジアム2002でJ1デビューを飾った。その数日後に話を聞いた際、何万人もの前でプレーできた喜びと、J1の実感を包み隠さず話してくれた。そして、その日は初めてヤマハスタジアムで練習できるとあって、少しばかり興奮していた。それはサッカー小僧そのものだった。その後、磐田でプレーするうちにサッカー小僧は我慢を覚えた。パスアンドゴーで走り出す彼の背中には迫力が生まれ、献身的に守備をする姿勢に迷いはない。態度や仕草で王様然とするのではなく、背中と立居振舞から、“真の王様”になりつつあることを感じさせるのだ。

 東京Vの下部組織出身ではないが、チームの核である中後雅喜と、東京Vの下部組織出身で磐田の攻撃を牽引する小林祐希のマッチアップは、いろんな意味で興味深い。そして、もう一つの注目ポイントは井林とジェイのマッチアップ。安定感抜群の働きを見せ、競り合いにも強さを見せる井林。ただ、少しでも気を抜くと、いや気を抜いていなくても、ジェイには打ち砕く力がある。「どうやったら勝てるんやろ?」もそうだが、「どうやってジェイを抑えるんやろ?」も気になるところ。その答えは味の素スタジアムで。


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