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【平畠啓史氏はこう見る!】リーグ戦連勝で下位脱出に明るい兆し…“闘う集団”に変貌する大分が残留を目指す

 初めてこの選手を見た時、驚きを通り越して少し笑ってしまった。ヘディングが強い。そして、そのヘディングしたボールが尋常でないくらいに飛ぶ。なおかつ、頭でボールをヒットした時の音がすこぶるデカい。かつては甲府に、現在は大分トリニータに所属するダニエルだ。今もなお、対人能力は衰えていない。

 ダニエルは、中断明けの第31節熊本戦からスタメンに復帰。ディフェンスラインを安定させた。ただ、この熊本戦で大分は敗れている。良い守備からペースを奪い、良い攻撃を生み出す好循環。いつゴールが生まれてもおかしくない展開。そして私が見る限り、熊本のシュートは前半に1本、後半に1本だった。しかし、その後半の1本が決まってしまう(今回は大分について書くつもりですが、後世に語り継ぐためにも少し熊本の話を)。このアディショナルタイムに決まった、熊本の田中達也のゴールを生み出した、嶋田慎太郎のクロスが“超絶クロス”だった。右サイド、クォン・ハンジンが下げたボールを、左足アウトサイドで切るようにキックし、キーパーとディフェンスラインの間を通した。このクロスの話だけで、ボトル1本は確実に空いてしまうし、是非映像を見て、後世に語り継いでほしいほどのクロスだった。

 では、大分の話に戻ります。大分は熊本と対戦時、最下位に沈んでいた。そして内容十分なゲームで敗れてしまうという結果。嫌な流れである。兎にも角にも結果が欲しい時期。結果を欲するがあまりブレてしまいそうな時期。しかし、大分はブレなかった。キーパーに武田洋平を復帰させ、FWの一枚を伊佐耕平から後藤優介に変更したものの、ベースは変えなかった。内容という核があるため、結果によってブレることはなかったのである。その後、岐阜戦、北九州戦と2連勝。ようやく明るい兆しが見えてきた。

 ボランチでゲームを司る兵働昭弘は、岐阜戦終了後、厳しい表情を崩さず、残留争いを勝ち抜く意志を強い口調で語った。J1昇格の切り札として大分にやってきた兵働にとって、この現状は受け入れ難いに違いない。このチームへと誘ってくれた田坂和昭監督は、もう大分にいない。しかし、悔しさや葛藤を乗り越え、現実を受け入れた兵働は、岐阜戦で先制点を決め、大分反撃の狼煙を上げた。自分たちの戦いが間違っていないことを証明するきっかけを作ったのだ。

 ホーム大分銀行ドームでの北九州戦。キックオフ前、円陣がとけて、各選手はピッチに散らばった。タッチラインに向けて走り出したのは為田大貴。ドリブル中も体がブレず、相手の逆をとる。そして、ドリブルから左45度のシュートへの流れは絶妙。相手ディフェンスがいようがいまいが、絶妙のタイミングでシュートを放つ。為田大貴は、キックオフ前、ポジションに着くと胸を力強く叩いて気合を入れた。そして、左胸にある大分のエンブレムを強く握りしめた。シュートを決めて、これ見よがしにエンブレムを掴んだのではない。それはたまたま映像に映っていただけで、為田大貴も誰かに見せるためにやった行為ではないと思う。だからこそ、それが素晴らしいと思う。チームに対する、クラブに対する忠誠心、戦い抜く覚悟が見えた瞬間である。大分は今、“闘う集団”へと変貌を遂げている。

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