今節先発が濃厚のルーキー中野嘉大 [写真]=Getty Images
■ヴァンフォーレ甲府 伊東の不在が痛手も、新戦力マラニョンの調子は上々
1stステージでの対戦では、圧倒的にボールを保持され、終始相手を追い掛ける展開。試合後は、疲労で息も絶え絶えだった甲府の選手たちの姿ばかりが記憶に残る完敗だった。だが、あの時とはチーム状況が大きく異なる。リーグ戦3連敗中の川崎に対し、甲府は前節で今季初めて2点のビハインドを追いつき、勝ち点を積み上げた。また、そのスピードと決定力に、散々苦しめられてきたレナトが中国へ移籍。もちろん「レナトがいなくなったからといって、川崎のチーム力が落ちるとは思っていない」(松橋優)のだが、組織だった守備網を個の力で無力化してきたアタッカーがいなくなったのだから、その影響は小さくもないだろう。
一方で、甲府の攻撃陣にも不安材料が生まれている。天皇杯の試合中に、伊東純也が左太もも裏を強く打撲。今節の出場が難しくなった。ルーキーながら、ここまで4ゴールと攻撃陣を牽引してきたアタッカーの一人だけに、欠場の影響はやはり小さくないはず。その穴埋めを期待されるのが、新戦力マラニョンだ。8月31日に行われた城西大との練習試合で、90分間フル出場。3ゴール2アシストと、コンディションを上げてきた。得点が欲しい試合状況での、途中起用が濃厚だが、5年ぶりの帰還となる中銀スタジアムで、健在ぶりをアピールしてもらいたい。
「川崎はボールを失った瞬間に奪い返したい攻撃陣と、ラインの裏を取られたくないディフェンス陣との間に、齟齬がある印象。そこで生じるスペースが必ずある」と、佐久間悟監督。1stステージに受けた“屈辱の記憶”を払拭するチャンスは、大いにありそうだ。(渡辺功)
■甲府予想スタメン
3-4-2-1
GK
河田晃兵
DF
土屋征夫
山本英臣
津田琢磨
MF
松橋優
マルキーニョス・パラナ
下田北斗
阿部翔平
稲垣祥
阿部拓馬
FW
バレー
■川崎フロンターレ 復帰を果たした田坂と小林も存在感を発揮、大久保とのコンビネーションに期待
リーグ戦3連敗中だったが、天皇杯2回戦の松江シティ戦で3-0と完勝。相手を考えると手放しで喜ぶわけにはいかないものの、チームが上昇の兆しをつかむことをできたのも確かだ。
具体的な収穫としては、復帰した田坂祐介と小林悠が前線で存在感を見せたこと。背後に抜ける動きで相手の最終ラインを揺さぶる小林、巧みな状況判断でボールを引き出して仕掛けもできる田坂、そしてフィニッシャー大久保嘉人の流動性は見事で、3選手とも一様に手応えを口にする。今週のトレーニングでは、中盤の選手が前線に厚みを加えて崩すコンビネーションも増加。人数をかけて守る相手をこじあけるイメージは、チーム内で共有できつつあるようだ。
注目としては、ここ数試合、途中出場が続いていた新人中野嘉大の先発だろうか。ドリブラーとして試合の流れを変える役割を担ってきたが、巡ってきた先発のチャンスに「もっとインパクトを残したい」と本人も意気込む。周囲も期待を寄せる彼の仕掛けには注視したい。
守備面では、GK新井章太が「厄介な選手ですね」と東京V時代の同僚でもあった阿部拓馬の名前を挙げて警戒。バレーを中心としたカウンターを含め、抜かりない対応が求められる。
復調の兆しがあるとはいえ、リーグ戦3連敗中という事実を忘れてはいけない。しっかりと白星を挙げて巻き返しといきたい。(いしかわごう)
■川崎予想スタメン
3-4-3
GK
新井章太
DF
武岡優斗
谷口彰悟
小宮山尊信
MF
エウシーニョ
中村憲剛
大島僚太
中野嘉大
FW
小林悠
大久保嘉人
田坂祐介