2015.06.24

【平畠啓史氏はこう見る!】リーグ戦12試合負けなしの5連勝中と絶好調…地に足がついた大宮の勢いはまだまだ続く!?

リーグ戦12試合負けなしと好調を維持する大宮  [写真]=Getty Images

 アウェー側ゴール裏のスタンドで、小さな男の子を抱いた30代ぐらいであろう男性と立ち話をすることになった。本当は、ホームチームを応援するゴール裏でサッカーを見たいけれど、子供が小さいということもあり、あえてアウェー側のゴール裏で静かにサッカーを見るそうだ。関西弁が言葉の端々に出ていたため、出身を聞くと、兵庫県は明石とのこと。その頃は、現在のノエビアスタジアム神戸に足を運び、神戸を応援していたそうだ。しかし今は転勤し、週末にはこのスタジアムに必ず足を運んでいる。その理由を聞くと、「このスタジアム最高ですよね」とのことだった。

 そのスタジアムとは、NACK5スタジアム大宮。コンパクトなスタジアムで、ピッチとスタンドの距離が近く、臨場感が魅力だと言う。そして、その男性は耳からダイレクトに色んな情報が入ってくることが気持ち良いと感じるそうだ。ボールがポストに当たる音。ボールを蹴った音。選手や監督が発する声。もう少し子供が大きくなり、大宮サポーターが集うゴール裏で観戦することを楽しみにしているそうだ。

 声と言えば、試合中に負傷者が出て、治療に少し時間を要する場面があった。そのため、応援の声が鳴りやんで、一時的にスタジアムに静寂が訪れた。その時、大きな声がピッチに響き渡った。声の主はゴールキーパーの加藤順大。その大きさが半端なかった。声の発信源はゴールマウスからだったが、スタジアムにいる少なくとも8割の人には、その声が聞こえていたはずだ。チームメイトに対して、ゲームに集中を促すための声だったが、後ろの声は神の声。チームを引き締める大宮の守護神の声は、本当に力強い。ただ、あの声量だと内緒話は無理だろう。

 ここ最近の大宮は攻守に充実。5連勝中である。そして、その5試合はいずれも無失点。引き締まっているし、なおかつ浮かれた感じもない。開幕からずっと調子の良いシーズンがあった。2013年、ベルデニック監督が指揮していたシーズンだ。開幕から好調で、前半戦を首位で折り返したが、その後に5連敗もあって失速。ベルデニック監督は解任され、チームも終わってみれば14位という成績だった。チームスタッフによると、あの経験が今、生きているという。シーズンは終わるまでわからない。いくら調子が良くても、浮かれてはいけないことを身に染みて知っている。地に足をつけて、クラブのスタッフの人たちも業務に邁進している。

 そして、前線で身を粉にして働くのが播戸竜二。相手ディフェンダーと駆け引きし、相手にボールが渡るとすぐさまチェイシング。守備のスイッチを入れる。スタメンであろうと、途中出場であろうと、自分の仕事を全力で全うする。ミックスゾーンで播戸と話していると、泉澤仁が記者と朗らかに話す様子が目に入った。その光景を見て、播戸は冗談交じりに泉澤に声を掛けた。

「調子に乗るなよ!」。

 こういうことを、さらりと言える播戸竜二は本当に素晴らしい。そして、こういうことができる選手こそチームに不可欠だ。もちろん、泉澤が調子に乗っているわけではない。記者の人たちを和ませようとして、楽しく話していただけだ。だが、「調子に乗ってはいけないよ」、「いつ何時も、気を引き締めていないとだめだよ」と、さりげなくアドバイスできる。“名トレーナー”エディ・タウンゼントのような大人の優しさと厳しさ。こういう選手が一人いるだけで、チームはぐっと引き締まる。ボールが動いていないところでも、大宮は地に足をつけて戦えているようだ。

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