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名波監督、天国の仲間に捧げる開幕戦白星「ようやく勝利を報告できた」

開幕戦を勝利で飾ったジュビロ磐田の名波浩監督

 ジュビロ磐田の名波浩監督が、2015シーズンの初勝利を亡きチームメートと恩人に捧げた。

 ジェイの2ゴールを含む3得点でギラヴァンツ北九州に快勝し、J1復帰を目指す新シーズンを好発進した磐田。実はこれが約4カ月半ぶりの公式戦勝利だった。

「これだけ勝てなかったのは、自分のサッカー人生で初めて。大介と荒田さんが亡くなってから一つも勝てていなかった。自分の中では歯がゆさがあって、ようやく天国に向けて勝利を報告できた。開幕戦で勝てたことは良かったが、今はその安堵感のほうが強い」

 昨年10月17日、名波監督とともに磐田の黄金時代を築き上げた奥大介さんが、沖縄県宮古島市で交通事故により急逝。「同じ釜の飯を食って、一緒に『てっぺん、取りに行こうぜ』って話して、公私ともに同じ時間を過ごしていた」という奥さんは、名波監督にとっては心強い仲間であり、強力なライバルであり、かわいい弟分でもあった。

 1995年に順天堂大から加入した名波監督に対し、奥さんは94年に神戸弘陵高から磐田入り。プロとしては奥さんが1年先輩だったが、面倒見のいい兄貴分を慕い、現役を退いた後も折を見て連絡を取り合っていたという。

「大介と一番長く電話で話したのは俺が監督に就任した時かな。『お前も磐田に帰ってきて、今度は俺を支えていくんだぞ。いつかそういう状態を必ず作るからな』って話した時に、大介が電話口で声にならない状態になって……。その時は『ありがとうございます』って言ってたね」

「自分の中では将来的にはハット(服部年宏)がGMをやって、大介が強化部長になるのが理想だった。大介にもいつかジュビロに戻ってきたいって気持ちはあったんだろうな。育ててもらったクラブだからね。大介も『前を向いて進んでいってほしい』と思ってくれているだろうし、俺たちもあいつの気持ちを背負いながら戦っていかなきゃいけないって思いはある」

 昨年11月11日には、指揮官がプロ入り当時に社長を務めていた荒田忠典氏の訃報も届いた。在任期間の95年から2001年は、まさに磐田の黄金時代。名波監督は「日本人だけでアジア王者になる」という荒田氏のビジョンが加入の大きな決め手になっており、就任に際して「強いジュビロをもう一度作りたい」と語った強固な意思は、荒田元社長が支えたチームが原点にある。

 たかが1勝。されど1勝――。もどかしい思いで突入していた長いトンネルを、名波ジュビロがついに通り抜けた。開幕戦はあくまで長いリーグ戦の42分の1でしかない。だが、指揮官にとっては前に進むための大きな勝利となったことだろう。奇しくも開幕戦で大活躍を見せたジェイの背番号は、奥さんと同じ「8」だった。

 指揮官として初めてキャンプからチーム作りに挑む今シーズンは、2人の“仲間”への思いを込めた戦いでもある。「上がってもすぐに落っこちるようなサッカーはやりたくない。それじゃ俺のサッカー哲学にも反するから」というスタイルは、奥さんや荒田元社長とともに築き上げ、結果を残したサッカーだ。シーズン終了後に「いい報告がしたい」と語る名波監督が、実りの秋に向けて素晴らしいスタートを切った。

文=青山知雄

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