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試行錯誤と積み上げの差で東福岡撃破…勝敗分けた静岡学園の急造2ボランチ

東福岡の赤木翼と競り合う静岡学園の後藤真(右)[写真]=平山孝志

 2015年1月3日、関東各地で第93回全国高校サッカー選手権大会の3回戦が開催された。

 中でも注目を集めたのは、ニッパツ三ツ沢球技場(横浜市)を舞台に開催された東福岡高校(福岡)と静岡学園高校(静岡)の一戦だろう。ともに優勝経験を持つ伝統校が矛を交えた結果、夏のインターハイを制していた優勝候補筆頭・東福岡が0-3の大差で敗退となった。

 東福岡と静岡学園。この強豪校の対峙は、19年前の高校サッカー選手権準決勝でも実現していた。当時1年生だったMF本山雅志(現・鹿島アントラーズ)を擁した東福岡は、同じく当時1年生だった静岡学園GK南雄太(現・横浜FC)の活躍もあってPK戦の末に苦杯。勝った静岡学園は、決勝で鹿児島実業との両校優勝という形で初優勝を大会史に刻み込むこととなった。

 今大会の静岡学園はこの19年前のユニフォームを模した「復刻ユニフォーム」で優勝旗の奪還を目指しているが、今シーズンは春先から思うような戦いができずに苦しんできた。県新人大会では8強で敗れ、インターハイ予選でも聖隷クリストファーに同じく8強でPK負けを喫してしまった。こうした結果を受けて川口修監督が方針を転換。「『ガクエンらしくない』と言われるのは分かっているし、自分もやりたくはないんだけれど、今年は泥くさくやる」と宣言。県予選では堅守速攻をベースに勝ち抜き、本大会に向けてもチームを再編し続けた。

 その象徴が[3-4-1-2]システムの中枢を担う2枚のボランチだ。3年生のMF後藤真と2年生のMF鹿沼直生の2人はともに県予選では登録外だった選手。普通のチームならノーチャンスに近い状況だが、川口監督は本大会まで競争を続ける方針を堅持し、新たな選択肢を模索し続けていた。その中で対人プレーに強い鹿沼と、動けて技術もある後藤に白羽の矢が立った。直前の練習試合でこのコンビを試せたのは、わずかに2試合。「『いやでも……』とは思ったんだけれど、練習試合で使ったらやっぱり良かった」と決断。佐賀東戦で二人を「初先発」させたのは博打に近かったが、2人はその期待に見事に応えた。

 東福岡との3回戦でも攻撃のキーとなる二人のインサイドハーフに粘り強く対応し続け、勝利に貢献。東福岡・森重潤也監督は「夏で優勝した後、騒がれすぎてしまったかもしれない。夏のインターハイに出られず、選手権にもずっと出られないでいた静岡学園は選手権に向けて積み上げていた」とこぼした。夏の優勝時から、戦術的にも戦力的にも大きな変化のなかった東福岡に対し、必死の試行錯誤で戦術を練り、新戦力を積み上げた静岡学園。冬の明暗を分けたのは、夏以降の積み上げの差だったと言えるかもしれない。

文=川端暁彦

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