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始まりは「情報が集まる場所を作る」こと 中田英寿が感じ、動かしたアスリートの社会貢献のカタチ

2025.12.17

基調講演を実施 [写真]=HEROs AWARD 2025

 スポーツやアスリートの力を活用して社会貢献活動を推進する日本財団のプロジェクト『HEROs ~Sportsmanship for the future~」は15日、スポーツを通じた社会貢献活動のロールモデルを表彰する『HEROs AWARD 2025』を開催した。9回目となる今回は、アスリートの社会貢献をさらに促進するため、「スポーツ×社会貢献」をテーマにしたトークプログラムも実施された。基調講演『世界を変えるスポーツの価値』では、元サッカー日本代表でHEROsアンバサダーを務める中田英寿氏をはじめ、元ラグビーニュージーランド代表(オールブラックス)でローレウス・スポーツ・フォー・グッド財団/ローレウス・ワールド・スポーツ・アカデミーのチェアマンを務めるショーン・フィッツパ
トリック⽒、日本財団の笹川順平理事長らが登壇し、スポーツやアスリートが持つ社会的価値とその未来について議論が交わされた。

 中田氏は、『HEROs AWARD 2025』設立のきっかけとして、自身がヨーロッパでのプレー経験を通じてチャリティーマッチに頻繁に参加し、引退後も国際連合の活動などでスポーツが持つ多様な力を目の当たりにしたことを挙げ、「スポーツをただプレーするだけではなく、いろいろな使い方、やり方があるんじゃないか」と世界を巡る中で実感したと振り返る。

 日本で同様の活動をしようとした際、個々のアスリートは社会貢献活動を行っていても、その情報が集約されていないという課題に直面。「情報が集まる場所を作ること」、そして「アワードを作るのがいいのではないか」という発想に至った。アスリート同士のコラボレーションをうながし、より大きな力を生み出すための第一歩として、日本でチャリティーなどの社会貢献活動をしている最大規模の団体である日本財団に構想を持ちかけたのが『HEROs』の始まりとなった。

 中田氏は、『HEROs AWARD』の真の目的は表彰そのものではなく、「誰が社会貢献に興味があるのかという情報を集める作業」にあると強調する。アスリートには「何百万人、何千万人の人を動かす力がある」と指摘し、その影響力を個人としてではなく、集団として社会のために有効活用する仕組みの重要性を訴えた。「スポーツ選手が社会貢献を1人の人間としてやっているのではダメ」と述べ、個人の活動を超え、いかに多くの人々を巻き込むかが鍵だと語った。

 笹川理事長もこの点に同意し、『HEROs AWARD』を続けているこの9年間で、アスリートの力はさらに社会にとって不可欠なものとなり、特に能登半島地震の復興支援ではHEROsの活動が大きな役割を果たしたと述べた。

 今後の展望について、中田氏はスポーツの枠を超えた活動の可能性に言及。「人を動かす力がある人たちが集まって、さらに大きな力をつけて世の中を変えていく」のが根本的なアイデアであり、社会貢献という明確な目的の下に集まった力を、農業や地域活性化など、他の分野にも展開できると語った。

 成功の鍵は「明確な目標と向かう先がみんな同じになること」だとし、共通の意思を持つことで、スタジアムに集まる何十万人もの人々のパワーを巻き込み、さらに大きなムーブメントを起こせるとした。笹川理事長も、日本のユニークなアスリートの力を世界に示すことへの期待を口にしている。中田氏は、競技を超えたアスリート同士の繋がりがもたらす楽しさこそが、活動を推進する原動力になると締めくくった。

By サッカーキング編集部

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