FOLLOW US

【選手権インタビュー】imase ~自身も目指した夢舞台 選手や支える人々の想いを乗せて~

2024.12.28

[写真]=須田康暉

 第103回全国高校サッカー選手権大会の応援歌は、国内だけでなく海外でもリスナーを多く広げているimaseの『アウトライン』に決まった。

 2022年に発表した『NIGHT DANCER』が海外を含めロングヒットするなど、2021年に音楽活動を始めてから3年という短い期間で音楽界のフロントラインに立った。一方で学生時代は高校選手権、プロ選手を目指すほどサッカーに打ち込んでいたというimaseに、当時を振り返ってもらうとともに、楽曲への想いを聞いた。

インタビュー=小松春生
写真=須田康暉

■自分も夢見た舞台

―――応援歌に起用されることが決まったとき、どのような気持ちでしたか?

imase 僕自身も中学生まではクラブチームでプロ選手を目指していて、高校では楽しくやろうという気持ちでプレーしつつ、選手権出場を目指していました。選手権を目指している方は、学業などもありつつ、毎日一生懸命にほぼすべての時間をサッカーに向けるくらい全力でやっていて。僕の友達でも選手権に出ている子がいて、日々すごく頑張っていました。そういった姿を間近で見てきた自分が、今回は曲を通じて応援する立場になれたことは本当に光栄なことですし、純粋にすごくうれしいです。

―――「まさか」という感じですか?

imase まさかですね。高校時代は選手権の県代表になれたらと思って頑張っていましたが、まさか自分が音楽で携わることができるなんて思ってもいませんでした。

[写真]=須田康暉

―――応援歌『アウトライン』は作詞・作曲もされています。サッカーのストーリーを感じる楽曲となっています。

imase 一斉にコーラスで歌う感じは、高校サッカーもそうですし、個人的にはワールドカップなどのイメージも持っていました。みんなで一緒に歌い、ドラムもどんどん激しくなっていくあたりは、初めて聞いた方にも「サッカーの曲だな」と思っていただけるように意識しました。楽曲全体のストーリーで言うと、最初のサビ部分は落ち着いた雰囲気になっていて、ロッカールームや日々の練習、試合での悔しいシーンにも合うように意識しています。後半になるにつれて、ドラムも激しくなっていき、ゴールを決める、勝って喜ぶといったシーンに合うようにイメージして制作しました。

―――歌詞についてはいかがでしょうか?

imase 個人的にですが、ずっと攻撃されていても耐えて、耐えて、最後の最後で逆転する可能性があるところがサッカーの醍醐味の一つだと思っています。自分がプレーしていても、観戦していても感じることが多くて。ピッチの中の選手はもちろん、応援している方、観戦している方など、全員が最後まであきらめずにやり切ることが勝つ要素にもなりますし、あきらめないことを大切にしてほしいと思いこの歌詞を書きました。

―――ご自身の経験でもありますか?

imase ありましたね。競っているときこそメンタルが一番大事になってくると思います。勝っているときは隙も生まれやすいと思うので、押されていてもあきらめないことが重要だと感じていました。選手の皆さんはあきらめたりしないと思いますが、周りの方々も含めて、みんなで最後まで頑張れたら、少しでも背中を押せたら、という気持ちで作りました。

■プロを目指して頑張ろうと

[写真]=須田康暉

―――サッカーを始めたきっかけはなんでしょうか?

imase スタートした年齢としては少し遅いのですが、小学5年生のときに地元の少年団に入りました。サッカーゲームをやり始めて、そこから自分でもやってみたいと思うようになった気がします。

―――そこからプロを目指すようになっていくと。

imase 小学生のときは運動神経が良かったので、上達も早い方だったのかなと。中学生の時にクラブチームに行きたいと思い、入団テストを受けました。プレーがうまくいったのか、倍率は2倍くらいでしたが無事に受かりました。クラブチームは少年団と比べてレベルも高かったので、せっかく受かったのだからプロを目指して頑張ろうと考えたんだと思います。

―――周囲の後押しも?

imase ありました。おこがましいですが、少年団では上手なほうだったと思いますし、普段から自主練もたくさんしていたので、周りも「頑張れよ」という感じでした。

―――どんな選手でしたか?

imase とにかくボールを持つのが好きでした。クラブチームもドリブルを重視している特化型の指導方法だったので、ドリブルの練習をよくしていました。ポジションは中盤でしたが、中学生のときはサイドハーフやサイドバックもやっていました。

[写真]=須田康暉

―――憧れていた選手はいますか?

imase リオネル・メッシ選手はもう…全員あこがれていたと思います。たくさん選手がいる中で、やっぱり圧倒的でした。あとはアンドレス・イニエスタ選手もかなり憧れていました。メッシ選手もそうですが、体格が大きい方ではなく、どちらかというと日本人に似ている体格で。スピードを生かしたプレーというより、ボールタッチの柔らかさや体の使い方、周りをすごく見てうまくポジショニングしたり、そういったところを自分のプレーにも生かせないかなとかなり勉強していました。バルセロナがすごく好きで、よく見ていましたね。

―――サッカーは見るのも好きで?

imase プレーの方が好きではありますが、バルセロナの試合は見ていて。プレミアリーグは当時あまり見ていませんでしたが、バルセロナとレアル・マドリードの試合を中心にラ・リーガをよく見ていました。

―――ご自身でプレーして、見て、サッカーの楽しさはどんなところに感じられましたか?

imase いっぱいありますが、一つ挙げるとすれば、どのポジションの選手も輝くところです。それぞれ役割が異なり、自分が持つスキルをちゃんと生かせる。体格が大きくなくても活躍できるし、そこに面白さがあると思います。僕自身、特に中学生のときはかなり小柄で、中学1年生のころは140センチちょっととかで。でもそういった選手も活躍できる。もちろん一定のフィジカルは必要だと思いますが、ポジションごとにさまざまな選手がさまざまな形で活躍できることが魅力ですね。もう一つ挙げるとすれば、何が起きるかわからない部分。「絶対に勝てるでしょ」という試合でも、一気に逆転されることがあり得るスポーツなので。ワールドカップのアルゼンチンとフランスの決勝でも「そこで延長までいく?」みたいな。高校選手権もギリギリで逆転する試合もありますし、最後まで何が起きるかわからない面白さがありますね。

■過去の自分に「良かったね」と言える

[写真]=須田康暉

―――高校ではプロを目指すことからサッカーを楽しむことにフォーカスしたとのことですが。

imase 中学のクラブチーム時代、Jリーグの下部組織という強い相手と試合をしたことがきっかけで、「プロは厳しいな」とあきらめてしまいました。中学3年生の夏くらいにクラブチームを辞め、高校のサッカー部で楽しくプレーしようと。でも、高校でも結局やり始めたら本気で(笑)。強い高校ではなかったですが、僕の代はちゃんとサッカーをやっていた仲間が集まったこともあり、すごく充実していました。所属していたリーグは下位でしたが、上位リーグの相手にも守備で耐えて、いい試合をしたりして。得点することはもちろん必要ですが、しぶとく粘り強くディフェンスして負けないということができることも、面白さの一つだと感じました。

―――そういう経験が今に生きたり、仲間意識が生まれたりもしますね。

imase 当時のサッカー部の仲間は今でも友人ですし、サッカーが好きなもの同士が集まっているので一致団結できますよね。

―――今もプレーはしていますか? SUMMER SONIC 2024出演の際に、パナソニックスタジアム吹田でキレキレのドリブルをされている動画も見ました。

imase あれ、めっちゃ久々でした(笑)。1年ぶりぐらいにボールを蹴りました。去年の夏くらいにフットサルはしたんですが、今年はガッツリできていなくて。感覚は取り戻さないといけないですが、やりたいですね。

[写真]=須田康暉

―――国立競技場での決勝戦で『アウトライン』を披露する予定です。

imase 場所は違っても(※)、決勝戦の舞台は自分が高校時代に目指していた場所です。サッカーをやっていた身としてもうれしいですし、アーティストとしても国立競技場で披露できることはすごくありがたいです。過去の自分に「良かったね」と言えますし、今の自分にとっても本当に光栄なことだと思っています。
(※高校時代の選手権決勝会場は埼玉スタジアム2002)

■少しでも背中を押したい

―――最後に、選手権に出場する選手もいれば、敗退した3年生は新たな進路へと進んでいたりもします。現役高校生へのメッセージをお願いします。

imase これから本大会もありますし、出場する選手の皆さんは自分やチームを信じて頑張ってほしいです。負けてしまった方々も、どんな進路を選んだとしても全力で何かに打ち込んできた経験は必ず生きるということを信じていてほしいです。僕自身もサッカーに打ち込んだ後に音楽活動を始めましたが、全力で打ち込んだ経験があったからこそ今も頑張れています。何かに熱中できるのは一つの才能だと思うので、これからもぜひ頑張ってください。

―――今回の応援歌を契機に、imaseさんの存在を知るサッカーファンもいると思います。サッカーファンへのメッセージもお願いします。

imase 今回、第103回全国高校サッカー選手権大会の応援歌『アウトライン』を書き下ろさせていただきました。この楽曲は、ピッチに立つ方や応援している方々の背中を少しでも押せたら、という気持ちで制作しました。出場する選手だけでなく、サッカー以外の何かと向き合っている方の背中を押せたらと思っているので、この曲を聞いて少しでも前向きになっていただけたらうれしいです。

■imase
岐阜出身、24歳の新世代男性アーティスト。音楽活動開始わずか1年でTikTokで楽曲をバイラルさせ2021年12月にメジャーデビュー。「NIGHT DANCER」は韓国配信サイト“Melon”でJ-POP初のTOP20入りを果たし、SpotifyバイラルチャートTOP50に31カ国ランクインするなど世界各国でもバイラル。「第65回 輝く!日本レコード大賞」にて優秀作品賞を受賞し、韓国で開催されたMMA 2023、CCMA 2023に日本人アーティストとして初出演、初受賞を果たすなど国内外で活躍の場を広げ続けている。

5月には待望の初アルバム『凡才』をリリース。2024年には初のアジアツアー『imase 1st Asia Tour “Shiki”』とホールツアー『imase Hall Tour 2024 “Shiki-Sai”』を完遂。2025年4月からは初の全国ホールツアーの開催も決定している。

■INFORMATION

e-Single『アウトライン』Out Now


『アウトライン』Streaming & Download

『imase Hall Tour 2025』


2025年4月19日(土) 千葉・市川市文化会館
開場17:00/開演18:00
2025年4月27日(日) 福岡・福岡市民ホール 大ホール
開場17:00/開演18:00
2025年5月11日(日) 広島・広島文化学園HBGホール
開場16:00/開演17:00
2025年5月15日(木) 愛知・愛知県芸術劇場大ホール
開場18:00/開演19:00
2025年5月18日(日) 大阪・フェスティバルホール
開場16:00/開演17:00
2025年5月21日(水) 東京・LINE CUBE SHIBUYA
開場17:30/開演18:30
2025年6月8日(日) 宮城・トークネットホール仙台(仙台市民会館) 大ホール
開場16:00/開演17:00
2025年6月19日(木) 北海道・カナモトホール(札幌市民ホール)
開場18:00/開演19:00
2025年6月28日(土) 岐阜・土岐市文化プラザ サンホール
開場16:00/開演17:00
ツアーなど最新情報へ(imase公式HP)

By 小松春生

Web『サッカーキング』編集長

1984年東京都生まれ。2012年よりWeb『サッカーキング』で編集者として勤務。2019年7月よりWeb『サッカーキング』編集長に就任。イギリスと⚽️サッカーと🎤音楽と🤼‍♂️プロレスが好き

SHARE

RANKING国内その他のニュースアクセスランキング

SOCCERKING VIDEO