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「努力次第で変わる」悔しい“銅”を輝かせるため…福田師王、決意を胸にドイツへ

2023.01.07

神村学園FW福田師王 [写真]=金田慎平

「神村にたくさんのものを残してくれて、ありがとう」

 試合終了後、神村学園(鹿児島)のFW福田師王は、有村圭一郎監督からそんな言葉をかけられていた。チームの看板選手というだけでなく、無類の努力家であり、チーム随一の成長株。「彼のそういう姿を観て、後輩たちも大きくなっていった」(有村監督)からこその言葉だろう。

 ただ、当然と言えば当然だが、「優勝しか考えていない」と公言してきたエースは「もっともっと残せるものがあったと思っています」と悔しさを噛みしめた。

 岡山学芸館(岡山)との第101回全国高校サッカー選手権大会準決勝、福田はこぼれ球に鋭く詰めるストライカーらしい抜け目なさを発揮して1ゴールを記録したが、そこにも満足感は皆無。

「もっと点を決めたかったですし、もっと特長を出したかった。(1点では)足りないです。チームも勝ってないですし、満足なんてできません」

 そんな福田の様子を観ていてあらためて「満足しないのがアイツのいいところなんですよ」と語っていた有村監督の言葉が思い出された。悔しさを味わうたびに自分で課題を見つけてきて、自己進化を始めるメンタリティー。指揮官はそれこそが福田の持つ最大の魅力だと評価していた。

 敗れたとはいえ、厳しいマークを受ける中で持っている能力の片鱗は確かに見せた大会だったとは言えるだろう。ただ、本人が目指すラインはそこではないし、課題があるのも分かっている。あらわにした悔しさは、さらなる成長への原動力とするのみだ。

 有村監督は試合後、選手たちに「君たちが手にしたのはブロンズメダルだけれど、今後次第でその色はシルバーにもゴールドにも変わっていく」という話を告げた。その言葉の意味は、福田にも伝わっている。

「自分の結果とか努力次第で変わってくるものだと思っています。いまはブロンズですけど、将来的にはゴールドにしたい。結果を残すことしか考えていない」

 神村学園での中高6年間を通じて福田師王は大きく開花した。自分で自分を磨きながら、ライバルと切磋琢磨しながら、そして指導者の言葉に耳を傾けながらの変貌ぶりは、こちらも大いに驚かされたものだった。

 これからドイツへと渡り、ボルシアMGでの新たな挑戦をすぐに始めることとなる。

「(ドイツ行きは)本当に楽しみでしかない。この悔しさをしっかりぶつけて結果を残してトップチームに早く上がりたい」

 進化し続けたストライカーが、異国の水と空気の中でどういった変貌を見せるのか。見守るこちらも、楽しみでしかない。

取材・文=川端暁彦

By 川端暁彦

2013年までサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で編集、記者を担当。現在はフリーランスとして活動中。

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