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“ダークホース候補”浜松開誠館 静学攻略の「圧縮型ハイプレス」で上位狙う

2022.12.30

選手権初戦では大津と対戦する浜松開誠館

 101回目となる高校選手権の優勝候補の一角である昌平(埼玉)の藤島崇之監督は、12月のプレミアリーグプレーオフで競り勝った直後、「本当に素晴らしいですね。球際の感覚というか、密集具合とか、関東プリンス(リーグ1部)をやっていた中でもこういうチームは無いというくらい強かった」と対戦相手に賛辞を送っていた。その相手は、東海王者の浜松開誠館(静岡)。今回の選手権でダークホースになりうる可能性を秘めたチームだ。

 2005年度創部、中高一貫指導で強化する浜松開誠館は、2018年度に選手権初出場。全国大会の出場回数は1回で未勝利だが、プリンスリーグ東海では毎年のように上位につけている実力派だ。今年は同大会で8連勝フィニッシュを果たし、初優勝。また選手権予選では、J1内定2選手を擁した静岡学園に快勝し、高校サッカーファンを驚かせている。

 静岡学園戦はチームを率いる元清水エスパルスFWの青嶋文明監督が「圧縮型ハイプレス」と説明する守備で技巧派軍団の攻撃をほぼ完璧に封鎖。相手をサイドへ追い込むようにプレッシングをかけ、そこでボールを奪い取って速攻、サイド攻撃に結びつけた。

 指揮官はこの守備について「相手に変えさせないようにすることで、我々の走る距離も短くなる」と説明。ドリブル、ショートパスを特長とする静岡学園戦では、走らされて終盤に息切れすることが多かったという。だが、「圧縮型ハイプレス」によって守りの時間を短縮。最後まで落ちることなく走り切った。

 この試合、攻撃に移った際には右の若尾直哉(3年)と左の前田康尋(3年)の両ウイングバックが勇気を持ってロングスプリントし、数的優位を創出した。そしてセットプレーとショートカウンターのゴールで逆転勝ち。相手を分析し、自分たちの強みを出しながら上回る戦略は昌平戦でも見られた。

 静岡予選MVPのMF今井航(3年)とMF岡田海人(3年)のダブルボランチを中心に、コンパクトな守りで昌平得意のドリブルを封じ、攻撃面でも切り替え速く奪い返しに来る相手のプレスを前田や注目MF菅原太一(2年)のテクニックで剥がして前進。また、試合終盤はハードワーカーのFW坂上輝(3年)や切り札のFW山口莉生(3年)の推進力を生かした攻撃で相手ゴールを脅かした。

 静岡学園や昌平という今年の全国トップクラスの2校相手に真っ向勝負で内容あるゲーム。青嶋監督は「(個人の)能力で勝負できないですから」と厳しいが、チーム力だけではなく、個々のベースも高いチームだ。今大会は前回準優勝の大津(熊本)戦からスタート。初戦を突破すれば王国の新鋭が一気に大会を駆け抜けても不思議ではない。

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