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G大阪JYの同期を越えるために頑張った3年間 履正社FW古田和之介、成長示す舞台へ

2022.12.25

履正社の主将・古田和之介 [写真]=森田将義

 田中駿汰北海道コンサドーレ札幌)や林大地(シント・トロイデン)を擁し、2013年から2年連続で高校選手権ベスト8まで進んだ時代の履正社は、DFラインからテンポよく繋いでゴールを目指すポゼッションスタイルが代名詞だったが、今は違う。前線から積極的にボール奪取を狙い、ゴールを目指すアグレッシブなスタイルが強みだ。

 そのスタイルの強さは、高校年代最高峰のリーグであるプレミアリーグWESTでも証明している。Jリーグのアカデミーなど格上が揃うリーグで、8勝4分10敗と善戦を繰り広げ、8位での残留を掴み取った。川崎フロンターレ内定のMF名願斗哉(3年)と、徳島ヴォルティス内定のDF西坂斗和(3年)が組む左サイドに話題が集まる中、ピッチで彼ら以上の存在感を見せ続けてきたのが、ゲームキャプテンを任されるFW古田和之介(3年)だ。

 中学はガンバ大阪ジュニアユースに所属したが、同期に世代別代表に選ばれる南野遥海と鈴木大翔がいたため、ほとんど試合に絡めなかった。当時について古田は「ガンバの時は全くダメだった。長所もなくて、ホンマにしょぼかった」と振り返る。ユースへの昇格を果たせず進んだ履正社では、「いつかは絶対に遥海と大翔を越えようと3年間頑張ってきました」。

 迎えた最終学年は、そうした努力が実りつつある。主将がなかなか試合に出られないため、ゲームキャプテンを務めることが多いが、チームの全てが見渡せる後方の選手とは違い、最前線の選手が引っ張るのは簡単ではない。「センターバックとは違う形で、チームが目指す“奪う”を一番体現しなければいけないと思っている。背中で見せるキャプテンになれたら、『あいつが頑張っているから、俺らもついて行かなアカン』と思ってもらえる。だからこそ、全力で守備をやっています」。そう口にする古田はボールを失ったら、素早く全力で守備に行く。味方がボールを持てば、相手DFの背後へと何度も飛び出して行く。決してプレーは華やかではないが、泥臭く実直なプレーは、相手にとって嫌で、効果的だ。プレミアリーグで奪ったリーグ2位の14得点というスコアが、彼の成長を示している。

 古田の成長に驚きを隠せないのは、G大阪JY時代のチームメイトだった静岡学園のMF髙橋隆大(3年、G大阪内定)だ。「和之介の成長が一番ビックリした。中学時代は、ほとんど試合に出られなかったのに今では、ゲームキャプテンまでやっている。チーム引っ張っているし、気持ちも強い。静学の選手に今の履正社で誰が良いと聞いたら、9番(古田)と10番(名願)が挙がる。和之介があんなスーパーになるとは思わなかった。凄く良い刺激になっています」。

 高校最後の晴れ舞台である選手権は、成長を多くの人に示す格好の舞台だ。「国立で勝って日本一になるとずっと言ってきた。今回が自分たちにとって最後のチャンスでもあるので、何としてでもどこが相手でも必ず勝って、日本一を達成したいです」。今年の履正社は、古田がいるから強いと言っても過言ではない。彼が今まで通り泥臭く献身的に戦えるかが、チームの白星に繋がる。

取材・文=森田将義

By 森田将義

育成年代を中心に取材を続けるサッカーライター

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