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[大分]“6年間指導”と“加入組”で県内のタイトル独占…攻守に隙なく漂う充実感【高校サッカー選手権】

2019.12.27

攻守に隙がない大分が県勢初の選手権ベスト4を狙う [写真]=柚野真也

 大分県内の主要タイトルを独占した大分は、延長戦までもつれ込んだ県予選決勝を制し、2年連続11回目の優勝を飾った。昨年の選手権に出場した主力が残り、新チーム発足後も強豪校が揃う九州大会でベスト4、インターハイではベスト16と結果を出したことで得た経験は大きかった。

 中盤から前線にかけてよくパスをつなぐポゼッションサッカーが大分のスタイルだ。小気味良いパスワークを駆使して、相手を動かし、空いたスペースを狙う。パスを出したら止まらず、リターンをもらいにいく。あるいは2本、3本先のパスを受けるために動き出す。「ウチはサッカーの基本を忠実に守っているにすぎない」と小野正和監督が話すように、相手のマークをきれいに外すこともあれば、何度も繰り返すこともある。そうした過程を経て、最終的にはフリーで軽くゴールに流し込む状態を作り出してしまう。

 培った経験に基づいた試合運びやコントロール能力は高い。MF重見柾斗をはじめ、FW菊地孔明やMF永松恭聖、DF佐藤芳紀(いずれも3年)らが試合状況をしっかり把握しながら、慌てて勝負せず、自分たちの時間を長く持たせる術を知っている。菊地は「(選手間で)すごくコミュニケーションを取っているわけでもない。だけど、誰かがスペースを空けたら、必ず誰かがそこに入る。そういうプレーが上手くできているのかなと思う」と話すが、当の選手たちも驚く会心のゴールは多い。

 中高一貫校であるため大分の選手たちは、中等部から一緒にプレーしている選手が多く“6年間指導”を受けている。中学で受けた指導をそのまま高校サッカーで反映することは容易ではないが、河井寛次郎部長は、「中学の財産で勝てるほど高校サッカーは甘くない。チーム内の競争も必要だし、スピードのある選手や体が強い選手、巧い選手が加わることでワンランク上のチームを作る」と話す。

 一方、大分県予選を振り返ると、5試合7得点で大会得点王となった瀬藤聖人(3年)や、準決勝、決勝で途中交代ながら2点ずつを奪った大神颯汰(3年)は高校からの“加入組”で、大活躍を見せた。大神は卓越したスピードと決定力を持つFWで、途中交代が多かったが “切り札”として活躍。瀬藤はボランチとして加わったが、豊富な運動量とキックの精度が認められ、サイドバックとして起用された。夏前からチームの得点力向上を最優先し、菊地をFWではなくウイングで起用すると、重見、永松と形成する中盤は大分の要となっている。

 攻撃のイメージが強いが、大分県予選では5試合で1失点。さらに、今夏のインターハイでは3試合無失点と堅守も光る。計算できる守備を構築しなければ勝てない」という小野正和監督に守備意識を叩き込まれたチームは、キャプテンの佐藤を中心にラインコントロールを行い、中盤の選手とともに中央に穴を開けることはない。佐藤も「ボールを失わないことが一番いいが、失い方には気を配っている。攻めているときこそ守備の準備をしている」と守備意識の高さを強調する。

 攻守のバランスが良く、調整も順調だ。ベンチメンバーの2年生が急成長したこともあり、メンバー選考に頭を抱えるほどチーム状態の良さが伺える。小野監督は「大分高校最高のベスト4にチャレンジしたい。全国高校総体で手応えを感じている。先制点が取れれば流れができる」と充実感を漂わせた。

取材・文=柚野真也

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