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[前原]沖縄を制した堅守速攻…「持ってる」キャプテンを中心に悲願の初勝利へ【高校サッカー選手権】

[写真]=仲本兼進

 注目が集まる開幕戦のくじを、2年連続で沖縄のチームが引き当てた。平成最後の大会となった昨年は那覇西が1-1の末、大熱戦となったPK戦で駒大高を10-9で破り初戦突破を果たしている。

「あれを見て沖縄のチームも全国でやれるんだという勇気をもらったし、今年も沖縄のチームが勝って勢いづけたいですね」

 そう意気込むのは前原のボランチ平川龍(3年)。令和最初の大会で開幕戦のくじを引いたキャプテンだ。「持ってるね」と問うと、自然とはにかんだ表情を見せた平川は、チーム内でも選手たちをポジティブにさせようと愛嬌のあふれる姿勢で接しながら常に先頭に立っている。

 前原では各学年でキャプテンを指名しており、平川は3年間キャプテンを務めた。その経験値の高さからか、立ち居振る舞いも堂々としている。

「1,2年のときにキャプテンをしていた頃から『下級生から盛り立てていこう』と言って声を出していくことを意識していましたし、最上級生になってからも『どうやったらチーム全体をまとめられるのか、どうやったら勝ちにつなげられるのか』というところの責任感を覚えていました」

 選手権の沖縄県予選で5年ぶり3度目の優勝を果たし全国の切符を手にした前原だが、そこに至るまでの道のりは実に険しかった。昨年のインターハイでは代表権を得て、山梨学院(山梨)と相対すも0-5で大敗を喫した。当時2年生で先発出場した平川にとっても衝撃的だった出来事には「体の強さとパススピードに大きな差がある」と、格の違いを見せつけられた。この試合を経験したからこそ平川は、全国に対応し得る強靭さとチェイシングで走り切るチームになるべく先陣を切ることに躊躇せずまとめ上げようとした。

 しかし、昨年の選手権予選での準決勝敗退以降、新チームとなって迎えた新人戦では3回戦で姿を消し、ベスト4に与えられる「沖縄県高校招待サッカー大会」の出場権を得られず。全国レベルのチームと対戦できる貴重な経験を積むことが出来なかった。そして、前年度王者として臨んだ地元開催のインターハイでも2回戦敗退という屈辱を味わった。

前原のキャプテンを務める平川龍 [写真]=仲本兼進

 キャプテンとしての試練を与えられた平川。しかし、1人で苦しむ姿に同級生が駆け寄ってくる。

「普段からみんなとは仲が良くて、本当に助けられました」

 インターハイ終了後、今まで背負ってきた重責を同級生たちが率先して分担。キャプテン依存のチームからの脱却を図るべくチーム全体の自立心を高めていった。練習中だけではなく学校生活の行動にも目を配り模範となった。

「普段がだらしないと応援してもらえる選手にはなれないし、それが伝染すればチームの和は崩れてしまう。仲間同士が助け合い、最後まで全力で走り切る体力と気力を鍛錬して初めて、粘り強い守備と攻撃を最後までやり切るという前原のサッカーが生み出されていくと思っています」

 今までの経験を伝える責任はもちろんのこと、それ以上に重要としたのは“チームの和”をサッカーに活かすこと。それが前原の最大の戦術となると、平川はそう強く思うようになった。

 6年目の和仁屋恒輝監督が作り上げた前原の代名詞ともなっている4-3-3のシステムは、チームの心臓となるボランチの平川を中心に、CB津覇勇気(3年)、FW島袋吏生(3年)のセンターラインが軸となる。攻撃能力の高い池根翼(3年)と新里美雅(2年)の両MFが攻撃に厚みをもたらせば、ウイングに立つ大城魁人と山内佑馬(ともに3年)の上下動も重要で、相手の攻撃時に敷く4-5-1の守備陣形で耐えた後、日々の持久走で鍛え上げた豊富な運動量とスピード感あふれる攻撃につなげる“堅守速攻”でゴールに迫る。ストライカーを担う島袋は上背はないものの、相手の裏を狙う動きで果敢にゴール前に顔を出し、準決勝の那覇西戦では先制弾、決勝の普天間戦では2ゴールを奪い、大舞台での強さを証明した。

[写真]=仲本兼進

 選手権1回戦の相手は國學院久我山(東京)に決まった。「自分でも持ってるな」とはにかむ平川は開幕戦を引き当てただけでなく、もうひとつの奇跡を起こしていた。

「抽選日の2日前から東京にいて、そのとき國學院久我山が勝った(都大会の)決勝を見に行っていたんです。そのときに和仁屋監督に『國學院(久我山)引きます』って冗談で言ったら本当に引いたんでビックリしました(笑)」

 実は前原は5年前も選手権の1回戦で國學院久我山と対戦している。そのときは0-1で敗れ、選手権初勝利とはならなかった。「そのことは知っていましたし、監督が(1年目のときに)初めて対戦した全国の相手なので、やってやるぞという気持ちで溢れています」。因縁の相手と再び激突することが決まり、勝ちへの意欲はさらに高まった。

「(負けてしまった)先輩たちの借りを返したいと思います。そして感謝の気持ちと沖縄県代表としての自覚を持って全力を出し切れるよう、前原らしい豊富な運動量とサイド攻撃で最後まで走り切るサッカーを見せられるよう頑張ります」

 笑顔でそう話す平川は、チーム3度目となる「選手権初勝利」への挑戦へ、キャプテンマークを巻きピッチに立つ。

取材・文=仲本兼進

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