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[國學院久我山]武器は多彩な攻撃パターン…「美しく勝て」を胸に挑む集大成【高校サッカー選手権】

2019.12.25

インターハイ予選で公式戦16戦連続ゴールを決めたFW山本航生 [写真]=平野貴也

 國學院久我山高校の歩みを振り返る中で、忘れられない年が2つある。

 1つは、全国高校選手権の開幕戦で散った2013年度。FW富樫佑太(岐阜)、MF渡辺夏彦(VfRアーレン)、MF平野佑一(水戸ホーリーホック)を擁し、非常に質の高いパスサッカーを披露していた世代だが、全国では結果を残すことはできなかった。もう1つは、4年前(2015年度)の準優勝世代だ。巧さのあるチームではあったが、実力を考えると東京都1部リーグ4位は妥当な成績だった。ところが、全国大会では勢いに乗って大化け。MF名倉巧(V・ファーレン長崎)とFW渋谷雅也(国士舘大)を中心とした攻撃で快進撃を見せた。

 今年は、3つ目の忘れられない年になる。清水恭孝監督は、夏のインターハイ予選の際に「準優勝したときは、そんなこと考えてもみなかった。日本一に近付けそうだと思ったのは、富樫や渡辺、平野がいた世代。一番近かったと思う。でも、まだ足りない部分が多いと思わされた。あのときほどのタレントはいないと思うし、まだ完璧ではないけど、今年はチームとしては、僕が見た中では一番良くなっている」と手応えを話していた。インターハイでは初戦敗退で課題を突きつけられたが、関東大会予選、インターハイ予選、東京都1部リーグ、高校選手権予選のすべてを勝って東京都では4冠を達成。チーム力の高さは、成績が実証している。

切れ味鋭い突破からゴールを狙う戸坂隼人 [写真]=平野貴也

 中盤の底にアンカーを置く4-3-3の布陣は伝統だ。アンカーの福井寿俊(3年)が最終ラインからの攻撃の組み立てをフォロー。ボールコントロールに長けたMF田中琢人とMF大窟陽平の2年生コンビは相手守備網の間に入り込んで福井からのパスを受け、相手が寄せるタイミングでスルーパスを放つ。右FW戸坂隼人(3年)は、切れ味鋭い突破からゴールを狙う。右利きだが左足のキックも得意で、最も安定して好機を生み出す選手だ。そしてFW山本航生(3年)は、夏のインターハイ予選決勝で公式戦16戦連発という驚異的な得点力を披露。パスを回すだけで終わるチームではない。

 攻撃のバリエーションが豊富であることは、最大の特徴と言える。DF山本献(3年)は、4年前に準優勝したチームの左DFでベンチ入りをしている山本研コーチの弟。「兄の代は、セットプレーの得点などが多く、得点パターンが少ないと言われていたけど、自分たちは攻撃に特化させて、オフェンスのパターンを増やしていければいい。サイドからの得点が多いけど、選手権までに中央の連係も増やして差をつけたい。今年は延長戦とか、先制された試合も勝って精神的な強さもついてきているかなと思うし、自分たちも(粘り強かった兄の世代に)負けずにやっていきたい」と攻撃の特長を生かして兄の世代を超える意欲を見せていた。

 サイドチェンジから縦への突破、クロスはマイナス方向もシャドーストライカーが狙っている。長身DF保野友裕(3年)は、守備で空中戦などのマッチアップを制するだけでなく、DF加納直樹(3年)とともにセットプレーでの得点が期待できる選手でもある。2シャドーの田中と大窟が得点力を課題としているが、全国大会で彼らが得点を決めるようなら、ブレイクの可能性大だ。

 巧みな位置取りと距離間で織りなすパスサッカーが、「美しく勝て」のスローガンを体現し切れるかどうか。今季で退任する清水監督は「私が来たばかりの頃の久我山よりは、ちょっと進化したかなと思う。“上手い”というところから、“強くて上手い”に変革しようとしてきた。そこが出せれば良い」と集大成の舞台に臨むチームに期待を託した。過去最大のインパクトを残す可能性は、十分にある。

取材・文=平野貴也

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