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鉄壁の守備で2連勝…矢板中央が1点を守りきり準々決勝進出

2019.01.04

堅守を武器に矢板中央がベスト8進出を果たした [写真]=山口剛生

取材・文=篠幸彦(提供:ストライカーデラックス編集部)

 県予選を無失点で勝ち上がった矢板中央の堅守は伊達ではなかった。「相手のディフェンス力は相当高かった」と、圧倒的な攻撃力で勝ち上がってきた立正大淞南の南健司監督も開口一番そう漏らした。その堅守をより際立たせたのは開始早々の先制点だ。

 2分、左サイドからのFKでボールが流れ、それを拾った望月謙は後方に走り込んだ五十嵐磨於へバックパス。五十嵐はそれをダイレクトでシュートを打つがゴールからやや外れていた。しかし、そのボールを中央にいた白井陽貴が右足のヒールでコースを変えてゴールイン。矢板中央があっさりと先制点を奪った。

 ただ、この早すぎる先制点がアグレッシブに仕掛ける立正大淞南にとっては“行くしかない”という吹っ切れる状況を作り、矢板中央にとってその後の長い劣勢の時間帯を作るきっかけとなった。また「あれがオウンゴールや自分たちのミスからの失点であれば、さらに追加点を奪われている可能性があった。ああいったスーパーゴールはあまりダメージを受けない」(立正大淞南・南監督)と、奪われたゴールが“仕方ない”と思える形であったことが立正大淞南イレブンの気持ちをすぐに切り替えさせ、攻撃へと意識をシフトさせた。

 立正大淞南はスピードのあるトップの鶴野怜樹や右サイドの大西駿太を中心に矢板中央のゴールを目指した。とくに後半からは右サイドバックを交代するなど、右サイドの攻撃に活路を見出した。しかし、そこから上がってくるクロスに対しても「彼がすべてのチームの核」と高橋監督が全幅の信頼を寄せる白井を中心に鉄壁の守備陣は跳ね返し続けた。

「押し込んでいる形にはなっているけど、決定打に至らなかった。振り切るだけの攻撃力があると思ったが、相手のディフェンス力のほうが上だった」(立正大淞南・南監督)。矢板中央のゴールは近いようで遠く、幾度もゴール手前までは侵入するが決定機はほぼなかった。「プレミア参入戦(※)のときもあんな感じでした」と、南監督は肩を落とす。

 長い劣勢の時間帯も相手のロングボールの出所にプレッシャーをかけ、蹴られても粘り強く跳ね返し、とにかくセカンドボールの回収に集中した。「後半はいつ取られてもおかしくない危険な場面もあった。そこをゼロで帰ってきてくれて彼らは成長してくれたと思う。よく耐えたと褒めてあげたい」(矢板中央・高橋健二監督)。

 強固な守備にさらなる自信を得た矢板中央。次は埼玉スタジアムへの切符をかけた準々決勝で、強豪・青森山田に磨き上げた矢板中央伝統の堅守速攻をぶつける。

※2018年12月14日のプレミアリーグ参入戦では矢板中央が1-0で立正大淞南に勝利

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