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ハイレベルな“矛と盾の対決”は1年生アタッカーのドリブルで決着

星稜が明秀日立に1-0で勝利し、昨年のリベンジを果たした [写真]=野口岳彦

取材・文=本田好伸(提供:ストライカーデラックス編集部)

 星稜の河﨑護監督は61分、夏のインターハイで10番を背負っていた中軸・有馬大勢に代えて、1年生の川本虎太郎を投入。結果的に、この試合で星稜の唯一となった交代が、勝敗を大きく分けた。

「相手の空中戦は激しいですし、(クロスを上げるのではなく)うまく中で切り返して逆を取りながら、仮に前に抜けなくても(エリア内でファウルを誘って)PKをもらうこともできるとアドバイスしました」

 川本は、そんな指揮官の期待に堂々としたプレーで応えた。右サイドでボールを持つ度に果敢に仕掛ける姿勢を見せると、決勝点を生んだ場面でも、エリア内に侵入して相手守備陣を誘い込み、フリーで走り込む尾﨑佳洋にドンピシャのクロス。この試合で初めて明秀日立の守備がほころんだシーンだった。

 展開的には、星稜が最初から最後まで押し込んだゲーム。しかし、1回戦でも際立った明秀日立の守備力はこの日さらにパワーアップした威力を発揮していて、彼らのゴール前には、センターバックの高嶋修也、深町琢磨、それにGK木村謙一による強固なトライアングルが形成されていた。

 明秀日立にとって「前半に風上に立ちたくはない思惑は裏目に出て、そこで点を取りたかったものの相手の技術が高く思うようにいかなかった」(萬場努監督)ことは痛手だったが、信条とするチャレンジ&カバーを存分に発揮した守備力で終盤までスコアレスで持ちこたえたことは想定内だったはず。GK木村が前半のPKのピンチで相手シュートを読み切ってセーブした“いいイメージ”も重なり、PK戦にもつれ込めば、勝負強い明秀日立に分があるのではないかと思われた。しかし、彼らの“盾”は1年生アタッカーに破られた。

「川本は、スピードで勝負するタイプではなく、ドリブルで緩急をつけて、ボールを足元に置いて運ぶ選手です。(最後に仕掛けた場面は自分で)シュートに行ったのかクロスを狙ったのかよくわからなかったのですが、最後、吸い込まれたなと。(フリーで走り込んだ尾﨑も)あそこにうまく入ってくれた」

 河﨑監督が「吸い込まれた」と振り返ったが、あのときの明秀日立の守備陣は逆に、川本に“吸い寄せられて”いた。高嶋も深町も対応に追われ、気がつけば星稜の尾﨑と西部悠大に対して、明秀日立の守備は遅れながらカバーリングに入ってきた右サイドバックの飯塚翼だけだったのだ。

 甲乙つけがたい、ハイレベルな攻防は、まさにラストワンプレーで決着。「同じチームに2年連続で負けるのは悔しいですから、OBが一番、喜んでくれたのかなと思います」(河﨑監督)と、星稜にとってはリベンジ成功となった。昨年は1-0で勝利した明秀日立がベスト8へ、そのちょうど1年後、1-0で勝利した星稜は、この先どこまで勝ち上がれるか。次は、今大会の優勝候補・流通経済大柏に挑む──。

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