自身の誕生日を祝う得点を決めた大阪の清水(左)と駆け寄る甲林 [写真]=SHOKO
7月13日から15日の3日間にわたり、Fリーグ2024-2025ディビジョン1第7節の6試合が行われた。
前節、今季初黒星を喫した立川アスレティックFCは、ホームに湘南ベルマーレを迎えた。開始13秒で湯浅拓斗がファーストシュートを放ち立ち上がりから積極的にゴールを狙う立川は4分、中村充のパスに後方から走りこんだ横山巧が合わせ先制に成功する。9分には、チーム屈指の体力を誇る酒井遼太郎が追加点を挙げ、湘南を突き放した。
2-0で迎えた第2ピリオド、巻き返しを図りたい湘南はGKフィウーザがハーフまで上がるなど攻撃のバリエーションを増やすと、32分には高橋広大が1点を返す。しかし36分、立川は自陣でのキックインからGK西滉太も使いボールを回すと、湯浅のアシストから南雲颯太が追加点。再び2点差とされた湘南はタイムアウトを取り、牛迫蒼海をGKにパワープレーを開始する。残り55秒、山﨑歩夢のシュートがオウンゴールを誘発し1点差に迫った湘南だったが、その後は得点が生まれず3-2で試合終了。接戦を制した立川が勝ち点3を獲得した。
敗れた湘南の伊久間洋輔監督は「立川のホームでの勢いに非常に押された感じはある。2点先行されたが、我慢して試合を壊すことなく得点したことにはチームの成長が見えた。ただ、多くはないとはいえゴール前でのチャンスがある中で決めきることができず、立川はトランジションが速いと分かっていながらやられてしまえば、当然こういう結果になる。もっと走らなくてはいけないし、強度を高めていかなくてはいけない」と試合を振り返った。
高橋広大主将は「立川のほうが試合巧者だった。前半は特にカウンターを狙っていたと思うが、奪われ方が悪く相手の意図する形で失点を重ねてしまった。パワープレーで点は取れたが、試合を通して踏ん張りどころや決めきる力が足りなかった。ただ、まだみんなの目が死んでいるわけではない。名古屋オーシャンズに勝てる力も持っていると思う。切り替えて次は勝ちたい」と試合を振り返った。次戦は数々のドラマが生まれた小田原アリーナでの名古屋オーシャンズ戦だが、意気込みを問うと「これまでいろいろな歴史があるが、今シーズンの「今」を見たら負けてはいけない。本当に優勝したいと思っているので、連敗してはいけない場所。相手も素晴らしいチームだが、勝つ気しかない」と決意をのぞかせた。
立川のサバス監督は「試合の後、とても怒った。勝ったけど、とても悪いプレーをした」と、複雑な表情を見せ「湘南のスタイルはスペースがある。しかし、私たちは守備ラインの高さでスペースを与えず、定位置攻撃も防ぐことができ、ディフェンスはよかったと思う。でも、マイボールからのオフェンスはとても悪かった。ただ、試合は経験が必要。次節のペスカドーラ町田戦では100%を出す。80%ではチャンスはない。でも、そんなことは起きない」と次戦への意気込みを語った。
この日キャプテンマークを巻いた中村充は「勝てたことが一番だと思うが、後半は自分たちのミスで相手にチャンスを作らせてしまった。前半はサバス監督のゲームプランのとおりにできていたと思うが、後半は自分たちで自分たちの首を絞めた。そこをしっかりと修正していかないといけない」と試合を振り返った。
ここまで5勝1分と無敗のしながわシティは、連勝中のシュライカー大阪と対戦した。序盤から積極的に先制点を狙うしながわの攻撃を大阪もしっかりと跳ね返し、引き締まった立ち上がりを見せる。6分、しながわは自陣でカイオがパスをカットすると、新井裕生、田村龍太郎とつなぎ、山田凱斗がミドルシュートを突き刺す。FP全員が絡み、スペインリーグから復帰した山田の初得点を演出した。13分には大阪GK樋口就大のロングスローを受けた田村友貴が、ダイレクトで逆サイドにボールを送る。これをこの日26歳の誕生日を迎えた清水寛治が受けると、しながわGK黒本ギレルメとの1対1を制して試合を振り出しに戻した。16分にはしながわがオウンゴールで1点をリードし、2-1で第1ピリオドを折り返した。
第2ピリオドでは、大阪の井口凛太郎が立て続けに警告を受け、退場処分となる。数的優位のチャンスを生かしたしながわは、カイオのゴールでリードを広げた。残り6分を切り、2点ビハインドの大阪は加藤未渚実がGKユニフォームを着用してパワープレーの準備に入る。しかし、タイミングを窺う中、加藤翼、安彦憲史郎が得点を挙げ、わずか40秒で同点に追いついた。38分、大阪が5ファウルとなると、しながわは平田ネトアントニオマサノリをGKにパワープレーで勝負に出る。しかし、得点には結びつかず、大阪もラストワンプレーでパワープレーを仕掛けるがスコアが動かないまま試合終了。勝点を分ける結果となった。しながわは無敗記録はつづくものの、2試合連続の引き分け。次節では、ペスカドーラ町田を5-0で完封し波に乗る首位・バルドラール浦安と対戦する。
一時は2点をリードしながら同点に追いつかれたしながわの比嘉リカルド監督は「5勝したあとに引き分けてしまい、今日はすべてを出したかった。ただ、いつものリズム、強度よりも体が動かせていなかった。3-1にすることはできたが、最後には集中が切れてしまった。それでも上位にはいるので、次戦では浦安に勝てるように切り替えていきたい」と悔しさをにじませた。
サカイ・ダニエル・ユウジ主将は「臨んだ結果とはまったく違った。3-1にできる流れを作り落ち着いた試合ができそうな雰囲気になったが、やはり大阪は名古屋オーシャンズ以外で唯一優勝している歴史のあるチーム。最後の最後まで油断をしてはいけない相手だった。ただ、私たちはまだ上位陣にいる。タイトなスケジュールだが、次の試合に切り替えていきたい」と振り返った。
勝ち点1をもぎ取った大阪の高橋優介監督は「今シーズンのしながわは、選手の構成も含めて常に上位にいないといけないチーム。先週引き分けていることもあり、モチベーションの高い試合だったと思う。僕たちはまず、試合の立ち上がり5分を大事にするプランだった。しながわは、戦う姿勢を見せないと飲み込まれてしまうような攻撃的なチーム。そこをかわしながら、自分たちも出ていくというメンタリティ、判断基準を意識して臨み、先に失点はしたもののいい流れだったと思う。ただ、相手のほうが決定的なシーンが多いので「相手の攻撃を減らし、自分たちが出ていくことができればふたつプラスになる」というイメージを選手に伝え後半を進めた。退場も出て、勝ちには届かないゲームだったが、一時の悪かった時期に比べるとポジティブな結果だと思う」と試合を振り返る。
清水寛治と加藤翼というピヴォの2選手を軸にセットを構成し、しながわのベースである2セットにどうぶつけるかを読みながら進めた試合だった。守備的なポジションであるフィクソを務めることの多い田村を右のアラとして起用し、相手のダブルピヴォのオプションにもしっかり対応した。その田村が同点弾をアシストするなど選手起用が機能し始め、3戦無敗の結果につながっている。敗戦がつづいたシーズン序盤、「主体的に振る舞うチームを目指したい」と話していた高橋監督だが、ピッチ内外でのコミュニケーションも増え、今後の躍進が期待される。
▼Fリーグ2024-2025 ディビジョン1第6節 結果
立川アスレティックFC 3-2 湘南ベルマーレ
ヴォスクオーレ仙台 3-4 ボルクバレット北九州
名古屋オーシャンズ 9-0 フウガドールすみだ
バサジィ大分 3-1 Y.S.C.C.横浜
バルドラール浦安 5-0 ペスカドーラ町田
しながわシティ 3-3 シュライカー大阪
By サッカーキング編集部
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