若手をけん引する町田の伊藤圭汰主将 [写真]=SHOKO
1月6日から8日の3日間にわたり、愛知県・金城ふ頭アリーナでFリーグ2023-2024ディビジョン1ファイナルシーズン名古屋ラウンドの12試合が行われた。
今シーズンから導入されたレギュレーションにより、レギュラーシーズンの上位6チーム、下位6チームがそれぞれ1回戦総当たりを戦うファイナルシーズン。名古屋ラウンドではリーグ優勝、リーグ最下位が決まる可能性があり、大きな注目を集めた。
初日の初戦では、ディビジョン1残留にわずかな望みを残す下位6位のエスポラーダ北海道と同5位のボルクバレット北九州が対戦。試合前には1月1日に発生した能登半島地震の犠牲者に向け、黙とうが捧げられた。
自力での残留の可能性は絶たれ引き分け以下で最下位が決定する北海道にとって、必ず勝利を収めたい試合だったが、先制したのは北九州。しかし、第1ピリオド終盤にはセットプレーが北九州のオウンゴールを誘発し、第2ピリオド序盤に堀米将太のゴールで逆転に成功する。1点リードの時間が長くつづきこのまま逃げ切りたい北海道だったが、残り35.3秒でパワープレーからゴールを許し、2-2で試合終了。北海道のリーグ戦最下位が決まり、ディビジョン2の優勝チーム、ヴォスクオーレ仙台との入替戦に臨むこととなった。
中1日で臨んだフウガドールすみだとの試合では、生き生きとした表情でピッチに立った北海道の選手たち。0-2で敗れたが、試合後の会見では「最下位が決定し、残留というミッションがはっきりした分、切り替えて戦っているように見えたがチームの雰囲気は?」と問われた鈴木裕太郎主将が「試合前や試合の入り方を見て、自分もピッチに出ているなかで、いい意味でリフレッシュし、気持ちも楽になり生き生きとしているように感じた。ただ抜けすぎてはいけない。北海道に戻ってからも、締めるところは締めて練習していきたい」と答えた。
クラブ事情によりコーチ不在のままシーズンを戦ってきた嵯峨祐太監督は「やはり目の届かない部分もあり、そこを補ってくれるメンバーがいれば選手ももう少し気持ちよくプレーができたのではないか」としながらも、およそ1カ月後に控える入替戦に向け「自分たちが1年間、どんなことに取り組んできたのかを考えながら、練習の計画を立てたい」と展望を語った。
首位のペスカドーラ町田は、初日に勝利し後から試合を行う名古屋オーシャンズが敗戦すると優勝が決まる状況で名古屋ラウンドに臨んだ。優勝決定を阻止したい立川アスレティックFCとの試合は激しい攻防戦。先制こそ許したものの、10分にGKジオヴァンニが起点となり山中翔斗が同点弾。第2ピリオドではショートカウンターから荒川勇気のゴールで逆転すると、立川の仕掛けたパワープレーに対し今シーズン限りでの引退を表明している髙橋裕大がダメ押しの追加点を挙げ3-1で勝利を収めた。
16シーズン中15回の優勝を誇り、7連覇を目指す名古屋オーシャンズは、年末に行われた町田ラウンド終了時点で自力での優勝の可能性が途絶えていた。名古屋ラウンドでは先に町田が勝利したため、優勝に望みをつなぐために引き分け以上が絶対条件。緊迫した状況の中、シュライカー大阪との一戦に臨んだ。大阪が加藤未渚実のFKで先制すると、14分には甲斐稜人のゴールで名古屋が試合を振り出しに戻し、両者譲らぬ攻防を見せる。1-1の同点で迎えた第2ピリオドではなかなかスコアが動かず終盤を迎えると、またも加藤(未)がFKを決め大阪が勝ち越しに成功。名古屋がパワープレーを仕掛けると清水寛治がパワープレー返しを決め、さらにリードを広げる。2点ビハインドの名古屋はその後もパワープレーをつづけ、吉川智貴がミドルシュートを突き刺し1点差に迫ると、残り40.7秒でアンドレシートが同点弾。最終盤にタイムアウトを取り最後のチャンスに懸けた大阪だったが、ゴールをこじ開けることができず3-3の引き分けで勝点を分けた。
3日目の試合では、先に試合を行う名古屋が勝利しても、町田は引き分け以上で優勝が決まる状況。まずは勝利し優勝の可能性を残したい名古屋は、立川との一戦を迎えた。これまで数々の緊迫した試合を経験してきた名古屋は、ここで勝負強さを見せる。7分にアンドレシートが先制点を挙げると、9分には清水和也が右サイドから強烈なシュートを突き刺す。さらに15分にはアンドレシートのカウンターから鬼塚祥慶のパスに水谷颯真が詰め3点をリード。終盤には新井裕生に第2PKを決められ3-1で第1ピリオドを折り返すが、第2ピリオドでも試合巧者ぶりを見せた名古屋が4-2で勝利し、優勝への望みをつないだ。
初優勝に意気込む町田の対戦相手は、バルドラール浦安。2シーズン前に名古屋に敗戦し、その節での優勝を決められた経験のある浦安の小宮山友祐監督は「あのような思いはしたくない」と万全の対策をして町田戦を迎えた。第1ピリオドで2点を先取した浦安に対し、第2ピリオド序盤にはこの日に成人の日を迎えた20歳の中村心之佑が1点を返す。その後、1点を失った町田はパワープレーを仕掛けると、野村啓介のゴールで再度1点差とした。しかし、最後の1点が遠く2-3で敗戦。優勝のゆくえは1月14日に行われる名古屋オーシャンズとの直接対決に委ねられることとなった。
町田の優勝を阻止した浦安の小宮山監督は「空気が読めないと言われようと、試合をやる以上はひとつでも上の順位にいく。選手たちも人生を懸けているので、簡単に負けていい試合は1試合もないと常々話してきた。あとは町田、名古屋にタイトルがかかった最後の試合で、素晴らしいフットサルを見せてほしい」とエールを送った。
9シーズン在籍した古巣の優勝を阻んだGKのピレス・イゴールは「今シーズンで一番いい試合」と振り返り「勝ってうれしかったけど、彼たちのことを思うと残念な気持ちもあった。でも、浦安のエンブレムをつけている以上はここで戦わないといけない。今日の試合は絶対に勝たないといけなかったけど、次の試合は応援している」と思いを語った。
「最終戦の名古屋に勝ってこそ本当のタイトル」と話す町田の甲斐修侍監督は、いつもどおりの力が出せなかった選手がいたことも「タイトルを争うゲームでこのような課題に直面するのは、今の順位にいないとできないこと」と前向きにとらえている。「今シーズン積み重ねてきた町田が名古屋に対してどういう戦いをできるかを楽しみにしているし、選手たちにも迷うことなく存分に戦ってほしい」と期待を込めた。
伊藤圭汰主将も「名古屋が強いのは分かっているし、経験も僕らよりはるかに多い。そこは僕らにはない部分かもしれないが、今季開幕から積み上げてきたものがあるので自信を持って戦いたい」と意気込みを見せた。
奇しくも優勝決定戦となった最終戦を含めた墨田ラウンドのチケットはすでに完売。引き分け以上で優勝決定のアドバンテージを持つペスカドーラ町田が悲願の初優勝を遂げるか、名古屋オーシャンズが勝利し逆転優勝を収めるか、最後まで目が離せない。
【Fリーグ2023-2024ディビジョン1ファイナルシーズン墨田ラウンド】
1月13日(土)下位リーグ/墨田区総合体育館
11:00 湘南ベルマーレ vs Y.S.C.C.横浜
13:30 エスポラーダ北海道 vs しながわシティ
17:00 フウガドールすみだ vs ボルクバレット北九州
1月14日(日)上位リーグ/墨田区総合体育館
11:00 バサジィ大分 vs 立川アスレティックFC
13:30 シュライカー大阪 vs バルドラール浦安
16:00 名古屋オーシャンズ vs ペスカドーラ町田
画像:
① F1-26-machida-eyecatch
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② F1-26-machida-mokutou能登半島地震の犠牲者に黙とうを捧げた北海道と北九州の選手たち
③ F1-26-naogya名古屋ラウンドで2試合連続ゴールを挙げた名古屋のアンドレシート
④ F1-26-machida-nakamura「フットサル選手になる」という夢を叶えた20歳の中村心之佑(中央)
クレジット:©SHOKO
By サッカーキング編集部
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