EXILE CUP 2023 北信越大会を制した長野アンビシャスFC [写真]=山田 毅
6月11日、株式会社LDH JAPANが主催する小学4年生から6年生を対象としたフットサル大会「EXILE CUP」の北信越大会が、長野県長野市の長野オリンピックスタジアム野球場で行われた。
2010年からスタートした「EXILE CUP」は、コロナ禍の影響で2019年大会を最後に中断していたため、今年が11回目。今大会はこの北信越大会を皮切りに、9地区10会場で予選大会を戦い、各大会で優勝した計10チームが愛媛県今治市で行われる決勝大会に進出する。北信越大会には会場の地元・長野県のチームを中心に、全36チームが決勝大会への切符を懸けて真剣勝負に挑んだ。
開会式では「EXILE CUPはサッカーを通じて夢に挑戦してもらう大会です。ぜひ仲間との思い出を作ってほしい」と、大会に挑む子どもたちにエールが送られた。続いてEXPG STUDIOに所属するEPIインストラクターのASAMIさんが登場し、子どもたち全員でウォーミングアップ。EXILE TETSUYAさん監修のもと、日本サッカー協会が開発した「クラッキ!ダンス」を踊って体をほぐすと、いよいよ予選リーグがスタートする。4チームずつ9ブロックに別れた予選リーグは、各ブロック1位の9チームと、2位の成績上位7チームが決勝トーナメントに進出する。
4年ぶりの開催とはいえ、予選リーグでは過去の大会で好結果を残してきたチームが順当に実力を示した。Aブロックは2013年と2018年の2回、決勝大会に出場したアンテロープ塩尻ジュニア(塩尻市)が3試合で計22得点を挙げ、全勝で予選リーグを通過。2018年の北信越大会で準優勝、2019年は3位という実績を持つ長野アンビシャスFC(長野市)は4つのチームを組んでエントリーしたが、そのうち3チームがそれぞれのブロックを勝ち上がって決勝トーナメントに進み、層の厚さを印象づけた。
Eブロックでは個人能力の高さが目立った屋代スポーツ少年団サッカー部 ホワイト(千曲市)が3連勝を飾り、Hブロックは粘り強い戦いで接戦を制した塩尻アルマーレサッカースポーツ少年団(塩尻市)が首位通過。そしてIブロックでは、2015年に北信越大会を制した木曽フットボールクラブ(木曽郡)が個人技による仕掛けでゴールを積み重ね、決勝トーナメントに進んだ。ほかにも、福井県から唯一の参加となったAwara Hanks Football Club(あわら市)のようにピヴォを活用して組織的にボールをつなぐなど、個性的なスタイルで勝負する好チームの活躍が目立った。また、女子選手の参加者が確実に増加していることも近年の特徴だろう。
抽選会ではEXILEの橘ケンチさんが駆けつけ、選手たちを激励した。この時間から一気に雨足が強くなったものの、16チームが出そろった決勝トーナメントは、分厚い雨雲を吹き飛ばすような熱い試合が相次ぐ。1回戦の8試合中3試合がPK決着だったことは、出場チームの実力が拮抗していた証拠だろう。その中でも特に個々のスキルが光ったのが木曽フットボールクラブ。組織的にプレッシャーをかけ、ボールを奪った選手がそのままドリブルを仕掛けて攻撃に転じるスタイルで快進撃を見せた。準々決勝では篠ノ井ジュニアサッカークラブC(長野市)を4-0、準決勝では東北デルソーレFC(長野市)を4-0と、安定したスコアで決勝に駒を進める。
決勝に進んだもう1チームは長野アンビシャスFC BLUE。準々決勝ではともにBブロックを勝ち上がった昭和FC(長野市)と再び対決し、予選リーグで2-3と敗れた相手を4-0で圧倒した。長野アンビシャスFC BLUEは攻守の切り替えが早く、セットプレーを活用しながら遠目でも強気にシュートを打っていくスタイルが特徴で、試合を重ね、自信を深めるごとに勢いに乗った印象だ。準決勝ではアンテロープ塩尻に2-0と勝利を収めて決勝に挑んだ。
決勝はお互いが持ち味を発揮し、ハイレベルな熱戦となった。前半は木曽フットボールクラブの背番号10、原瀬爽那(そな)君がドリブルでゴール前に切れ込み、立て続けに2ゴールを挙げる。対する長野アンビシャスFC BLUEは何度も惜しいシーンを作るものの得点を奪えず、2-0で前半を終了。しかし、後半開始からペースを握ったのは猛攻に出た長野アンビシャスFC BLUEだった。上野心之助君が左サイドからミドルシュートを決めて1点を返すと、その後も力強いシュートを重ねて守りを固めた相手を崩していく。最終的にはキャプテンの市川心瑶(こよう)君が一人で3ゴールを決める大活躍を見せ、スコアは4-2。劇的な逆転勝利で北信越大会の王者となった。
「優勝することよりも、勝つために練習すること、選手が成長することを目的としてEXILE CUPに参加しています」と語るのは、優勝した長野アンビシャスFCの堀澤秀太監督。普段から「ゴールを目指す」という本質を外れないように指導しているというが、その精神は今大会で選手たちが見せた積極的な姿勢からも十分にうかがえた。決勝大会についても「ハイレベルな試合で選手たちが自分磨きをできるように、精一杯チャレンジしてくれればいいと思います」と、選手の成長を強調した。
決勝戦で逆転勝利の立役者となった長野アンビシャスFCの市川君は、決勝戦を振り返って「先に2点を取られても、アンビシャスは弱気になるようなチームではないです」と力強く答えてくれた。「決勝大会では相手も強くなると思うので、何があってもあきらめずに戦いたいと思います。目標は優勝です!」。どの選手も高い集中力を保ち、素早い攻守の切り替えから積極的にシュートを狙っていく。その勇敢なスタイルを全国の舞台でも存分に披露してくれることを期待したい。
文=坂本 聡 写真=山田 毅
By サッカーキング編集部
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