2016.10.27

【コラム】フットサル日本代表に改革を! ブルーノ新監督が取り入れた“激しさ”と“緻密さ”とは

ブルーノ・ガルシア
初めてフットサル日本代表を指導したブルーノ・ガルシア新監督 [写真]=河合拓
フットサル専門誌Pivo!編集部⇒サッカーマガジン編集部を経て、フリーライター

 ブルーノ・ガルシア新監督率いるフットサル日本代表が、24日から26日まで愛知県のオーシャンアリーナで代表候補トレーニングキャンプを実施。正式に新体制を発足させた。

 今年2月にAFCフットサル選手権(アジア選手権)で5位以内に入ることができず、コロンビアで開催されたFIFAフットサルワールドカップに出場できなかった日本代表は、アジア選手権終了後にミゲル・ロドリゴ監督が退任。指揮官不在の状態だった。そして今回、新たにコロンビアW杯でベトナム代表を16強に導いたブルーノ・ガルシア氏が新監督に就任。今合宿はブルーノ監督の下での初めてのトレーニングキャンプとなった。

 今回の合宿はブルーノ監督の来日直後に行われたことで、日本サッカー協会に新設されたフットサルの強化部が選手選考を行った。メンバー構成は、アジア選手権に出場した選手が6名、アジア選手権に招集されなかった代表戦経験者が7名、初選出が5名。ブルーノ新監督はアジア選手権でベトナムを率い、準々決勝で日本を破っていたこともあり、ほとんどの選手たちについて把握。3日間のトレーニングキャンプではさっそく名前を呼び、選手たちに指示を送っている。

 3日間のトレーニングキャンプを通じて特徴的だったのが、“激しさ”と“緻密さ”だ。

 今回のチーム始動にあたって最も重点的に行われたのはプレッシングの守備。何となく相手に近づき、プレッシャーを掛けたつもりになっている『なんちゃってプレス』がフットサルはもちろん、サッカーを含めて日本のフットボールでは少なくない。だが、ブルーノ監督は明確に「プレッシングとは、相手に触れることができる距離まで寄せることだ」と、自身の定義を選手たちに伝えた。ボールを持つ選手と奪いに行く選手がこれだけ近くにいれば、当然ながら球際でボールを巡る争いは激しくなる。また、ボール保持者もプレスに捕まらないためにより早くプレーの判断を下すことが求められることになり、相乗効果的にトレーニングは熱を帯びた。

新監督の下では球際の激しさが増した [写真]=河合拓

新監督の下では球際の激しさが増した [写真]=河合拓

 そして“細かさ”の部分。例えばプレッシングの守備練習は、2対2、3対3、4対4と順にフィールドプレーヤーを増やし、2人の関係では何を注意すべきか、3人の関係では、4人の関係では……と、少しずつ考えさせる範囲を広げていった。その注意させる部分が、実に細かいのだ。

 2対2の練習では、ファーストDFがどこまで体を寄せているか。それによってボール保持者の体の角度はどうなるのか、その選手の利き足に応じてどこにパスが出る可能性があるのか。セカンドDFにはそれらを瞬時に判断した位置取りを求めた。この考え方は、当然ながら3対3、4対4と人数が増えるにつれて難易度が高まっていく。特に経験の少ない選手たちは頭を悩ませていた。

 もちろん、ブルーノ監督自身も一朝一夕でこの守備が習得できるとは思っていない。「今日のベースを頭に入れつつ、回数を重ねながら少しずつ消化してくれたらいい」と声を掛けた。そして初日の練習後、指揮官は「私たちの志向していきたい守備は、アクティブなディフェンス。ゲームを進めるにあたり、マイボールの場合は当然自分たちがイニシアチブを取っています。でも、相手がボールを持っている状況でも、自分たちが積極的にボールを奪う仕掛けをする。そういうディフェンスの形を作ることで、ゲームを通じて自分たちがイニシアチブを取っていく」と、プレッシングディフェンスがベースになることを明かした。

熱心に選手を指導するブルーノ・ガルシア新監督(左) [写真]=河合拓

熱心に選手を指導するブルーノ・ガルシア新監督(左) [写真]=河合拓

 攻撃面で特徴的だったのは、『ジョガーダ』と呼ばれる流れの中でのサインプレーを取り入れたことだった。攻撃をビルドアップする際に一人が合図を出して、それに合わせて全員が動き出す。相手の守り方や崩れた位置によってゴールに近い位置では変化がつけられるが、ミドルサードの位置で複数の形を持って相手を崩しにかかるものだ。

 アジア選手権の敗因の一つとして、日本がどんな相手に対しても、プレースタイルを変えずに戦ったことが挙げられる。アジアでは圧倒的にボールを保持できる日本だが、世界の強豪国との対戦では当然ながらボールを保持する時間は短くなる。簡単に言えば、そうした相手の状況に応じた攻め方、守り方ができるチーム作りが必要になってくるのだ。

 ブルーノ監督の綿密なスカウティングに基づき、選手たちが臨機応変な戦い方を実戦できるようになれば、アジア選手権で5位にも入れなかった惨劇は繰り返されないはず。2年後に行われるアジア選手権に向けて、日本のアジア王座奪還を目標に掲げたブルーノ監督。その最初のトレーニングキャンプは、規律とモチベーション、そして希望に満ちたものだった。

文=河合 拓

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