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リベンジを誓う柏…カギはタレント軍団・広州恒大の強力攻撃陣を完封できるか

2015.08.25

ACL準々決勝で対戦する柏レイソル(上)と広州恒大(下) [写真]=Getty Images

文=鈴木潤

 2013年10月2日、AFCチャンピオンズリーグ準決勝第2戦で柏レイソル広州恒大に圧倒的な個の力の差をまざまざと見せつけられ、初のアジア制覇の夢は儚くも崩れ去った。そして、「広州恒大に勝ってACLで優勝する」とリベンジを誓った柏に、再戦の時が訪れようとしている。

 広州恒大の強力な外国籍選手は、エウケソンは現在も在籍しているが、ムリキとダリオ・コンカは移籍。替わってリカルド・グラール、パウリーニョ、ロビーニョというブラジル代表選手が加わった。メンバーの入れ替えがあったとはいえ、あれから2年たった今でも、圧倒的な個の能力を前面に押し出してくるスタイルは不変である。むしろ緻密な戦術家のマルチェロ・リッピ監督から、攻撃的なルイス・フェリペ・スコラーリ監督に替わったことにより、2年前よりも守備の局面では隙が生じやすいとの見方もある。

 柏も今季から吉田達磨監督が就任し、アカデミーから一貫した「ボールとスペースを支配するサッカー」をトップチームにも移行した。広州恒大戦の鍵は、この柏が標榜するスタイルにある。

 広州恒大をはじめ、ACLに出場しているチームは、どこも強力な外国籍選手が在籍し、彼らを中心に自分たちのストロングポイントを以って真っ向から勝負を仕掛けてくる。ただ、その外国籍選手が守備を怠る傾向が強く、守備の甘さに乗じた柏がボールを保持しながら生じたスペースを突き、相手のマーキングのずれと守備陣の破綻を引き起こしてきた。

 その点は、ラウンド16で水原三星と対戦した際に、鄭大世(現清水エスパルス)が柏の球際の強さと相手のプレスを剥がしていくサッカーについて「Jリーグにはないチーム」と評したように、アジアの他国目線では特殊なスタイルだと映るようだ。実際に柏は、水原三星だけでなく、Kリーグクラシック独走中で、“韓国最強”と言われる全北現代も下して、ここまで勝ち上がってきている。

 したがって相手が個の能力に長けた広州恒大とはいえ、柏のパスの起点となるアンカーとCBへのプレスがなければ、柏がボールを保持する展開となるのは間違いない。「必ず点は取れると思っている」と鈴木大輔は自信を覗かせており、相手の守備陣形に生じる隙を的確に突ければ、柏にとってゴールを奪うことは、おそらくそれほど難しくはない。

 気を付けなければならないのは、広州恒大のカウンターだ。ロビーニョは今回の柏での第1戦には帯同せず、エウケソンも負傷との情報が入ってきているが、それでもリカルド・グラールや中国代表FWガオ・リンなど、個の力に長けたアタッカーを擁するため、広州恒大は少ない人数でも決定的なシーンを生み出せる。

 J1リーグ2nd ステージで首位の鹿島に勝ち点差1の3位につけ、2ndステージで挙げた6勝の全てが完封勝利と守備面に安定感の増した柏。ボールを保持して得点の機会を窺いながら、Jリーグでも見せるようにコンパクトな陣形を崩さずにリスクマネジメントを徹底し、広州恒大の前線にスペースを与えないようにしたい。

 理想は相手にアウェーゴールを与えず、無失点での先勝である。

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