2018.05.09

「たくさんの人が元気に」 パラリンアート グランプリ受賞者が作品に託した思い

朝日新聞。2010、14年W杯、07、15年アジア杯などを現地で取材。ゆるくつぶやいています(ツイッターアカウント:@nakagawafumi)。

 長野県の山あい、穂高というのどかな町は知られざるワサビの産地だ。澄んだ空の下、深い緑の切れ間を北アルプスの雪解け水がつたう。

 そんな自然豊かな色彩に包まれた地で、奔放な色彩の絵は生まれた。

 描いたのはカミジョウミカさん(41)。「みんなでなかよくサッカーしよう」と名づけた作品は昨年、障害のある人たちによるコンテスト「SOMPOパラリンアートカップ2017」でグランプリを受賞した。

 大きな大きなサッカーボールを、くの字に体を曲げた2人が両足でツインシュート。周りを囲むのは、赤に青に黄色に紫、ヒトやらウサギやらネコやら何やら不思議な生き物やら。ボールに駆け寄ってきたというか、ボールを凝視しているというか。「人間も動物も一緒になって楽しめるのがサッカーというスポーツ。テロや核の不安は広がるけれど、どの国に暮らす人も一緒になってボールを蹴って、仲良く平和に暮らせる世の中になればいいなって」。託した思いをミカさんが説明する。「多様な個性を認め合える社会であってほしい」とも。

 骨に先天性の異常があり、14歳の頃から車いす生活を送る。高校卒業後、病状は悪化。一度は寝たきりになった。入院し、お世話になる看護師さんの似顔絵をなんの気なしに描いてみた。いまに通ずる華やかでポップな作風の笑顔を、モデルになった当の本人が喜んでくれた。「私の絵で、誰かが笑ってくれるなんて」。その日からミカさんはパラアーティストになった。

 画集を買って独学を突き詰め、県内で個展を開くようになった。手が不自由なのでパソコンを駆使する。鉛筆、絵の具、クレヨン。気に入った色をスキャンしてパソコンに取り込んで「みんなでなかよくサッカーしよう」を染め上げた。

「これからも体調がいい時に、マイペースで描いていきたい」。病気の苦労はおくびにも出さない。「たくさんの人に元気になってもらえるような作品を」。いま、新たにトライするのは、木製パネルにパテを塗りつけていく技法だ。「なんか、楽しそうだったから」

 山あいの自宅、ぬいぐるみのコレクションが並ぶ一室で、好奇心のかたまりが、自身の「好き」と向き合っている。打ち込めるものに巡りあえた人生は、何があろうと輝いている。

 そんなの当たり前だと言われるかもしれない。

 でも、だから尊い。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

「SOMPOパラリンアートカップ2018」は、全てのスポーツをテーマに作品を募集中です。締め切りは9月14日。詳細は公式サイト(http://www.asahi.com/sports/events/pacup/)へ。

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