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フットサル日本代表・星翔太が日本のスポーツ文化を変えていく…新プロジェクト「アスラボ」が超豪華な顔ぶれでスタート

アスリートと社会がつながるスポーツ文化を

「スポーツをリノベーションする」を合言葉に、フットサル日本代表の星翔太が起業して立ち上げたプロジェクト「アスラボ」のキックオフイベントが、10月1日(日)、東京都江東区豊洲にあるMIFA Football Parkで開催された。

 近年、プロアスリートの「セカンドキャリア」に焦点が当たる機会が増えているが、星自身は、アスリートとしての“今”の人生も、引退した“その後”の人生も、あえて分けずに同時に生きるという「デュアルキャリア」の考え方を推奨し、自ら実践してきた。

 アスリートであると同時に、社会との接点を持ち、社会で通用するスキルを身に着けながら、選手としてのキャリアを重ねていく。そうるすることで、現役を退いてからも、選手として培ってきた経験と社会人としてのスキルを兼ね備えた“ビジネスアスリート”として、新たな舞台でも活躍できる。星は、そんな生き方をしていくための手段を模索し、自分だけではなく、同じような状況に直面するアスリートのサポートを考えるようになった。

 その答えの一つが「アスラボ」だ。アスラボは、アスリートと一般の人(社会)を結ぶプラットフォーム。アスリートが企画したレッスンやイベント、講座などの開催要項をアスラボのWEBサイトに掲載して、利用者が受講できる仕組みだ。また利用者が、チームや個人など、それぞれの目的に応じて実践的なサポートを依頼できるサービスも用意している。

 アスリートにとっては、競技を続ける中で培ってきた成功・失敗体験やスキル、メソッドなど、自分自身のアスリートとしての価値を認識することができる。利用者にとっては、スポーツを通してアスリートの魅力を再確認するとともに、自分の人生をより豊かなものにできる。そうやってアスリートと社会がつながり、日本にスポーツ文化が築かれていく。それこそが、アスラボが目指す「スポーツをリノベーションする」ということに他ならない。

 そうしたアスラボの思いを伝えるために、また子供たちにスポーツ、引いては体を動かすことそのものの楽しさを伝えるために、星はこのキックオフイベントを企画した。

遊びの延長で知る、スポーツの楽しさ

 今回、星の他にゲストとして登場したのは8名。北原亘(元フットサル日本代表)、永里亜紗乃(元女子サッカー日本代表)、君島良夫(元ラグビートップリーガー)、荒川優(プロスプリントコーチ)、和田賢一(ビーチフラッグス世界選手権銀メダリスト)、小坂悠真(元競泳日本代表)、辻秀一(スポーツドクター)、牧野講平(アスレチックトレーナー)、スポーツ界であらゆるバックボーンを持つ、そうそうたる顔ぶれだ。

 彼らによって、超豪華で盛りだくさんなイベントとなった。コンテンツは以下の通り。

・【午前の部】90分で3種目!プロアスリートから学んでスポーツ万能になろう!
・【特別クリニック】ジュニア期の子どもを支える大切なポイント
・【トークイベント】スポーツ業界、アスリートの抱える課題と将来の可能性
・【午後の部】一流アスリートの心得を知って、好きなスポーツで実践してみよう!

 午前の部は、小学校低学年向けのイベント。陸上、フットボール、ラグビーの3種目を30分ごと、合計90分にわたって、プロアスリートから学べるプログラムだ。

 まずは陸上から。荒川氏が、「足が速くなりたい人?」と問い掛けると、子供たちはみんな元気に手を上げる。「じゃあ、30分でみんなを速くします」。現役時代に100メートルを10秒56で走った荒川氏は現在、プロのスプリントコーチとしてのべ3万人以上のランナーに指導を行ってきた。そこで培われたノウハウは、まさに実践的なものだった。

 短期間で様々なメニューをこなした子供たちはみな、最初に測ったタイムを縮めていた。「これをスポーツに生かしていってください」。そうして、荒川氏から今度は、星、北原氏、永里氏にバトンタッチ。フットボールの時間へと移った。

 イベントはその後、君島氏が担当するラグビー、和田氏が担当するレクリエーション(ビーチフラッグス)を経て、午前の部は終了となった。その中でも特に印象的だったのは、短時間ながらも、子供たちと同じ目線で汗を流していた和田氏の姿だった。和田氏は現在、ビーチフラッグス日本王者でありながら、高校までは野球を続け、大学時代はテニスやレスリング、トライアスロンなど、様々な競技を経験してきたという。

 一つの競技を極めるのはもちろんすごいこと。一方で、いろんな競技に触れ、それぞれの特徴を学びながらアスリートの高みを目指していくのもまた、価値のあること。特にキッズやジュニア年代の子供たちにとっては、そうした様々な動きを知り、遊びの延長でスポーツの楽しさを肌で感じることこそが大事なのだと、和田氏が伝えているようだった。

スポーツとアスリートの価値とは何か?

 今回のイベントの大事なポイントの一つは、アスリートや、そのアスリートをサポートするトレーナーやドクターが、自身のスキルや考え方、ノウハウを伝えること。そしてもう一つは、それを参加者、今回の場合は、子供や保護者たちに体感してもらうことだった。

 その意味で、特別クリニックとトークショーも、意義深いものだった。

 森永製菓株式会社のウイダートレーニングラボに所属するアスレチックトレーナーの牧野氏は、フィギュアスケートの浅田真央やゴルフの有村智恵、メジャーリーガーの前田健太、スキージャンプの高梨沙羅、フェンシングの太田雄貴など、名だたるトップアスリートを支えてきた。そんな牧野氏が、保護者に向けて大切なポイントをいくつも伝えていた。

「それぞれの時期に習得すべきことがある」、「成長とは個性。子供に応じた特徴がある。では、どうやって運動を教えるのか?」、「筋肉は記憶を司ってないため、運動は体が覚えるわけではない。運動は、脳、神経系がコントロールしている」、「12歳までに運動しないと一流になれないわけではない」、「低年齢で競技を始めることが、将来、優秀な選手になれるということではない」、「9歳~12歳は、見たり教わったりすることを即座に習得できる時期。それまでは、いろんな運動を通して基礎的運動能力を高めるべき」

 数値やデータを使った科学的な根拠に基づく話から、実際のプロアスリートの実例などを踏まえた話に、参加した保護者は、何度も何度もうなずいているようだった。

 続いてのトークショーもまた、奥深いテーマの話が繰り広げられた。

「アスリートの環境とはどういった現状にあるのか」、「トップ選手たちは日頃からどんな悩みを持っているか」、「選手が引退すると、最初にどんなことに気がつくのか」、「アスリートが培ってきた経験やスキルは、社会においてどんな価値を持つのか」

 現役選手、元トップ選手、トレーナー、ドクターなど、様々な境遇を持ち、立場の異なる彼らから発せられる数々の言葉には、その一つひとつに重みがあった。

「スポーツとは、社会と人生の縮図のようなもの。『コーチング』や『マネージメント』など、スポーツ用語はビジネスの世界でも活用されている。アスリートが持つ、自分自身をマネージメントするための『ライフスキル』は、社会が求めているものだ」(辻氏)

「アスリートは存在そのものの価値が高い一方で、まだスポーツ界でしか認められていない部分がある。それは現役の頃から社会と接点を持つ機会が少ないからだと思う」(牧野氏)

 スポーツの価値とアスリートの価値。これを再定義して、社会に伝えていくことこそ、まさにアスラボが立ち上がった背景でもあった。

子供も保護者も、参加者全員が笑顔に

 イベントの最後は、午後の部のプログラム。2時間のうち前半のおよそ50分は、辻氏による、保護者と子供が一緒になって参加できる実践的な講義から始まった。

 辻氏は、ジャパネットたかたの創業者・髙田明や、俳優の要潤、EXILEの橘ケンチなど、アスリートだけではなく、ビジネスパーソンからアーティストまで、様々な業界人のパフォーマンスを高めてきた人物。さらに、ベストセラーとなった「スラムダンク勝利学(集英社インターナショナル)を始め多数の著書を持つ文筆家でもある。

 そんな辻氏のプログラムは、スポーツをするにあたって、また日々の生活を送る上でも心掛けたい、“大切なこと”を伝えるものだった。

 辻氏は、「仲良くなる」、「一生懸命楽しむ」、「感謝すること」という3つのキーワードに沿って、参加者をごちゃ混ぜにしながら「チーム」をつくっていった。誕生月や趣味、好きな食べ物、好きな季節など、共通点を見つけながら、参加者は互いに距離を縮めていく。そして最後は、「自分の年齢の数だけ、誰かと『ありがとう』と言いながら握手をしてみてください」と促す。すると参加者はみな、笑顔でこれをこなしていった。

「みんな良い顔をしていますね。これが大事なんです」。ご機嫌な日本を創る『Japanご機嫌プロジェクト』、スポーツは文化だと言える日本にする『日本スポーツ文化プロジェクト』。そんな志を持って活動を続ける辻氏のプログラムで、参加者は笑顔になった。

 最後に、小学校高学年向けのプログラムが行われた。午前の部と同じように、各種目をプロアスリートが担当し、子供たちは好きな競技を選んで90分間のレッスンへ。陸上、ラグビー、フットボール、それぞれのトップ選手のスキルや考え方、競技の楽しさを味わった子供たちは、充実した表情を見せて、最後にゲスト陣とハイタッチをして会場を後にした。

 このイベントを皮切りに、アスラボではあらゆる競技の、あらゆるアスリートによる講座を各地でスタートさせた。「スポーツをリノベーションする」――。日本のスポーツ文化は、こうして少しずつ、アスリートと社会をつなぐ新たな時代を築いていくのだろう。

取材・文・写真=本田好伸

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