文=サッカーキング編集部 写真提供=コンチネンタルタイヤ・ジャパン
10月6日(木)、埼玉スタジアムで「2018 FIFAワールドカップロシア」のアジア最終予選が行われ、イラク代表と対戦した日本代表は、この日26歳の誕生日を迎えたMF山口蛍のアディショナルタイム弾で劇的な勝利を収めた。
試合後、埼スタの観客席を埋めつくしたサポーターの表情からは、その劇的な幕切れによる興奮と、紙一重の勝利に安堵感が読み取れた。色々な意味で忘れえぬ一日となったが、スタジアムにはまた一味違う感動と興奮を味わった子供たちがいた。
キックオフの3時間前、埼スタのクラブハウスに6~10歳の少年と少女たちが興奮した面持ちで姿を見せ始める。今回の一戦で選手とともに入場する22名のエスコートキッズだ。
まず試合前に行われたリハーサルでグラウンドレベルに降り立つと、子供たちは「席がたくさんあった」、「芝がきれい」と、6万人近くを収容する日本最大のサッカー専用スタジアムに圧倒されつつ、コンチネンタルタイヤの看板やAFCのボードの前でポーズをとって記念撮影行った。
国際的なタイヤメーカーのコンチネンタルから支給された黄色のユニフォームに身を包んだ興奮気味の子供たちは、控室でもエンジン全開。今か今かと、入場のときを待ち受ける。
そんな子供たちに話を聞くと、最も人気のある選手は、「カッコイイ」、「左足のシュートが凄い」との理由でFW本田圭佑。次いで、MF香川真司を推す声が多かった。中には、エスパルスファンという理由で元清水エスパルスのFW岡崎慎司を応援する子供や、浦和レッズのGK西川周作やMF柏木陽介に「会いたい」と話す子も。
また、コンチネンタルタイヤのシュリケ社長が控室を訪問した際には、ドイツ人との紹介を受けた社長に対して「ボンジュール!」という言葉が飛び出すと、「それはフランス語だよ」と突っ込みを入れて周囲の大人たちを驚かせる少年もいた。
控室では元気が有り余った様子の子供たちだったが、本番が近づくとやや緊張した面持ちに。それでも、MF長谷部誠と握手し、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督に頭をポンポンされたという藤田吏絆(ふじたりき)くんは、キャプテンに心を整えられたのか、今回の経験を経てサッカーに取り組む姿勢に変化が見られたという。
その吏絆くんのお父さんが「良い経験になった。本人も日本代表になりたいと言っている。これからも励んでくれると思います」と話せば、以前からエスコートキッズの応募をチェックしていたという山本至音(やまもとしおん)くんのお母さんも「子供にとって忘れられない一生の思い出になった」と、貴重な経験になったことを強調。多感な時期を過ごす子供たちにとって、意義深い一日になったことは間違いないだろう。