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準優勝の神戸が見せたベンチワークとアスリートの魂/PUMA CUP 2015

神戸は今大会で最も際立つベンチワークを見せ決勝の舞台まで駆け上がった [写真]=本田好伸

 PUMA CUP 2015 第20回全日本フットサル選手権大会においてクラブ史上初の決勝戦に進出し、初の準優勝を手にしたデウソン神戸。彼らは1次ラウンドからベンチの一体感、そしてチーム力を見せ付けて勝ち進んだ。その姿はどのチームよりも熱い気持ちを感じさせるものであり、どのチームよりも象徴的な光景だった。それを見せた彼らには、やはり並々ならぬ思いがあった。

 大会終了翌日の16日、クラブはHPで小川亮監督の契約満了を発表。それと同時に、準決勝で対戦した相手でもあるペスカドーラ町田のトップチームコーチ、育成組織であるアスピランチの監督に就任することも発表した。さらに17日には、チームを7年間にわたって支えてきたキャプテンで日本代表の西谷良介を始め、渡井博之、須藤慎一、田中智基の退団情報もリリースした。PUMA CUPはシーズン最後の公式戦であるために、選手、監督は来シーズンの契約更改を胸に秘めながら大会を戦うことも珍しくない。だからこそ、各チームの選手たちは「このメンバーで戦う最後の大会」ということを強調する。

 ただ今回の神戸ほど陣容が大きく変わるチームはない。監督も主力も抜け、まだ発表されていない選手の退団も噂されている。来シーズンは全く別物のチームになるだろう。それゆえに、神戸で戦ってきた誇りや、ファンやサポーターへの感謝の気持ちを最後に示したいという思いを背負っていた。「リーグでは下位に沈んだが、自分たちはもっとやれるはずだと思っていた。1次ラウンドでそれを示せて自信になり、試合に出ていない選手もベンチから声を出して仲間を鼓舞してくれた。それには本当に勇気付けられた」(西谷)。決勝戦を前に、西谷は改めて神戸のベンチワークを誇っていた。

 決勝戦で名古屋には敵わなかったが、神戸は存在感を十分に示した。エースの森岡薫や個人能力に優れる各選手を止めるために体を張り、全員が試合終了の瞬間まで集中して走り抜いた。これまで日の目を見ることのなかったGK小野寺優介も、大会を通じてシンデレラボーイのように活躍し、それに呼応するようにチームも勢いに乗っていった。誰が見ても神戸の選手が同じ方向を見ていることは明らかであり、観客も思わず声援を送りたくなるような戦いを披露していた。

 勝てずに終わった試合後、ベンチでは呆然と座り込む多くの選手たちの姿があった。出し切った、でも届かなかったという、やり切った思いと悔しさが同居しているようだった。「盛り上げてくれたファンやサポーターに感謝しているからこそ、そのお返しをしたかった。喜びを分かち合えなかったことが悔しい。でも新しいチャンレンジができたので、新たな気持ちで次に進んでいきたいと思う」(西谷)。選手たちは当然、今大会がこのメンバーで戦う最後の舞台だと分かった上で試合に臨んでいた。選手の“ノリの良さ”と“仲の良さ”が象徴的なチームカラーの神戸にとって、「最後」というのは最大のモチベーションになっていたのだろう。

 振り返ってみれば、小川監督が最後の記者会見で発した言葉は、チームを去る選手と自分へのメッセージだったのかもしれない。「決勝戦で敗れたが、今度はその上の結果を出すという新しい目標ができた。決勝戦という舞台を知り、そういうモチベーションを作れた。またこの舞台に戻ってきたい」。選手や監督は散り散りになっても、フットサルを辞めるわけではない。「またこの舞台で会おう」。そんな手向けの言葉だったに違いない。トップリーグというものは当然、シーズン毎にクラブに変革があり、選手もチームも変わる。今大会で神戸が示したものは、離合集散というアスリートとしての宿命を背負って戦う、アスリートの魂だった。

文・写真=本田好伸

PUMA CUP 2015 第20回全日本フットサル選手権大会
優勝
名古屋オーシャンズ(3年連続3回目)
準優勝
デウソン神戸(初受賞)
3位
ペスカドーラ町田

MIP
森岡薫(名古屋オーシャンズ)


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