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25年間愛される『ウイイレ』の“これまで”と“これから”

[画像提供] =コナミデジタルエンタテインメント

 25年という月日は、相当に長い。人生に当てはめれば、「オギャー」から「まあ、社会に出て3年? そろそろ一人前っていう感じ?」だから、やっぱり相当に長い。それと同じ時間だけ、サッカーファンに愛されてきたゲームがある。

 自信を持って言うが、サッカーファンで『ウイニングイレブン』という名前を聞いたことがない人はいない。あの中村俊輔も、ロナウジーニョもきっと夢中になった。そんな『ウイイレ』が25周年を迎えたという。

 この節目に、『ウイイレ』開発の“中の人”を直撃しない手はない。そう鼻息荒く、『ウイニングイレブン』統括プロデューサーの細田真規人さんに話を聞いた。徹夜でエディットに明け暮れた、あの日の情熱を携えながら。

中村俊輔から言われた「俺、そんなに足遅くないよ」

――まずは『ウイニングイレブン』の25周年、おめでとうございます! 細田さんは2013年に『ウイニングイレブン』のプロデューサーに就任されたそうですが、それまではどんなことをされていたのでしょうか?

細田 もともとはアミューズメント機器販売の営業や、マーケティング・プロモーションをしていました。初めて『ウイニングイレブン』に関わったのは、マーケティング・プロモーション業務をしていた時です。それから今日までの約15年間、ずっと『ウイイレ』に携わっています。

――2000年には『Jリーグ 実況ウイニングイレブン 2000』で初めて実際のJリーガーの試合写真をパッケージに使用したり、2005年の『ワールドサッカーウイニングイレブン8 ライヴウェアエヴォリューション』でシリーズ初のオンライン対応が実現するなど、25年の間にはたくさんのハイライトがあると思います。細田さんにとって、最も印象に残っている作品は?

細田 『ワールドサッカー ウイニングイレブン6』(2002年)ですね。この頃は『ウイイレ』の仕事はしていませんでしたが、中山雅史選手の裸のパッケージがものすごいインパクトで(笑)。日韓ワールドカップの開催時期だったのもあって、ずっと友人と代表チームで対戦していました。

2000年6月に発売した『Jリーグ 実況ウイニングイレブン 2000』 [画像提供]=コナミデジタルエンタテインメント

――どの作品にもさまざまな思い出が詰まっていると思うのですが、「今だから話せる裏話」があればぜひ教えてください。

細田 数年前、『ウイイレ』の発売以来ずっと実況をしていただいているジョン・カビラさんを招待し、スタッフとの懇親会を開催しました。その時に『ウイイレ』の“生実況”をしてもらったんですよ。素晴らしい実況だったのはもちろんなのですが、テレビやメディアには出せない“裏実況”もしてくれて、ものすごく盛り上がりました(笑)。

――めちゃくちゃ気になります(笑)。

細田 あとは、中田英寿さんを制作スタジオにお呼びした時の話ですかね。顔の3Dスキャンを行うために来ていただいたんですが、スタッフ全員でスタンディングオベーションをしながら出迎えたんです。そしたら、「俺はこういうのが嫌いなので。皆さん仕事をしてください」と。「中田英寿さんらしいな」と感動しました。FCバルセロナのジェラール・ピケ選手やロナウジーニョ選手がスタジオに来た時は、殺到するスタッフと気軽に写真を撮ってくれました。

――ちなみに、選手から「俺の能力値をもっとこうして!」みたいな要望が届いたりすることはないんですか?

細田 『ワールドサッカー ウイニングイレブン 10』(2006年)の時の話なんですが、メインキャラクターとしてパッケージやテレビCMなどに出演していただいた中村俊輔選手に、「俺、そんなに足遅くないよ」と言われたことがありますね。『eFootball ウイニングイレブン 2020』(2019年)では、FCバルセロナのアントワーヌ・グリーズマン選手から「もっと能力を上げることはできないか」という相談と、「myClubモードで自分を使いたいから配信してくれないか」という依頼がありました。実現には至りませんでしたが(笑)。

――それだけ選手にも注目される、愛されるタイトルであるとも言えますね。『ウイイレ』がこれだけ愛され続けてきた理由は何だと思いますか?

細田 日本においては、Jリーグや日本代表と一緒に成長できたことが大きいですね。海外を含めて考えれば、選手の再現やアニメーションを含めて、海外のサッカーファンも楽しめるような試合ができることだと思います。それと、操作方法です。安易にボタンやスティックを使用した追加操作を増やさないこと、操作における“世界観”を作り、それを守ることを意識してきました。

――「誰でも簡単に操作できる」というのも、世界中のサッカーファンから長く愛される理由の一つなんですね。

中村俊輔はPS2で初登場した2001年3月発売の『ワールドサッカー ウイニングイレブン5』でもメインキャラクターを務めた [画像提供] =コナミデジタルエンタテインメント

世界一のクオリティを目指すことに変わりはない

――「今さら?」と言わずに聞いてほしいんですが、「プロデューサー」のお仕事がどんなものか正直よく分かっていません……。過去のインタビューで細田さんは、プロデューサーの役割のひとつとして「メディアの枠を超えたプロモーションの展開」を挙げていますが、これは具体的にどういったことを指すのでしょうか?

細田 一般的にプロモーションというのは、「メディアや媒体にコンテンツを掲載していただき、それを見た方々にコンテンツを認知してもらう」ことが基本です。一方でプロデューサーの役割は、『ウイイレ』でいえばサッカーファンの方々が「面白そう」と感じる“仕掛け”や“企画”をつくることです。海外を含めたプロサッカー選手やクラブを巻き込んで展開し、世界中のサッカーファンに楽しんでいただけるようにする。これが「メディアを超えたプロモーション展開」ですね。

――もう一つの役割として、「クリエイターのスキル向上のための研修・勉強会の企画・開催」を挙げています。

細田 これは、社内での定期的な研修や、スタッフによるCEDEC(コンピュータ・エンターテインメント・デベロッパーズ・カンファレンス)、GDC(ゲーム・デペロッパーズ・カンファレンス)などでの講演を指し、これらを推進していくことが役割となります。

――後進の育成もお仕事の一部である、と。現在の『ウイイレ』には何人くらいのクリエイターが関わっているのでしょう?

細田 具体的な人数は言えないのですが、『ウイイレ』が誕生した頃と比べると数倍には増えています。

――開発に携わる方の人数も増え、ハードの進化もあってリアリティやクオリティは作品を追うごとに向上していますが、「今でもここの再現が難しい」といった点はありますか?

細田 まずは選手の感情です。サッカーゲームは選手22人に審判と登場する人物が多く、技術的な制限があります。選手一人ひとりの表現に割ける割合が少ないため、表情や動きに制限がかかるんです。それと、状況による選手の動きです。

――というと?

細田 当然ながら、試合中は選手全員が違う動きをしていますよね? ボールに近ければ機敏に動きますし、ボールから遠ければ歩いたりもする。勝っている時と負けている時、前半と後半など、シチュエーションによっても動きは変わります。こうした状況の変化による選手の動きを表現するという部分は、今でも課題です。選手同士の接触、衝突、押さえつけ、つかみなどの物理表現。ボールのスピードや回転、バウンドなどの物理挙動といった面も実現し切れていません。

――近年の『ウイイレ』は「もうこれ実写やんけ」という感じですが、まだまだ進歩の余地があるということですね。細田さんは、ユーザーに今後どんなものを提供していきたいと考えていますか?

細田 制作コンセプトである“The Pitch is Ours”のとおり、試合、ゲームプレイで世界一のクオリティを目指すことに変わりはありません。さらに、ゲーム内はもちろん、ゲームの外も含めて新しい楽しみ方、面白さを提供していきたいと考えています。かつてはすべてがゲーム内で完結していましたが、今はリーグ、選手、クラブなどを、デジタルの世界でゲームにつなげることができる。これらを巻き込んで新しいエンターテインメントを展開していきたいと考えています。

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