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【インタビュー】柏田知大「ぜひ一度『FOOTISTA』に触れてみてください」【前編】

 サッカーファン、ゲームファンに長らく愛されてきた『WORLD CLUB Champion Football』(以下、「WCCF」)の後継ゲーム、『WCCF FOOTISTA 2019』(以下、「FOOTISTA」)が、いよいよ3月14日に稼働開始となる。『WCCF』を刷新するに至った理由とは? そして『FOOTISTA』の魅力とは? 柏田知大プロデューサーに話を聞いた。
※『サッカーゲームキング』2019年3月号に掲載された記事を再編集したものです

インタビュー・文=関口剛
写真=野口岳彦

オンデマンド印刷によって、“遊び”の幅が広がった

──昨年12月に2回目のロケテストが行われ、いよいよ『FOOTISTA』の稼働が迫ってきた感がありますね。かなり時間を遡ることになってしまうのですが、そもそも16年もの長い間愛され続けてきた『WCCF』を刷新しようと決めた理由は何だったのでしょうか?
理由はふたつあります。ひとつはプロダクトライフサイクルのリセット。もうひとつはビジネスモデルの改善です。まずひとつ目ですが、どんな製品にもライフサイクルがあります。『WCCF』の場合は成熟期を過ぎ、衰退期に入ろうとしていました。そのサイクルは時間とともに必ず進んでいくもので、そこに抗ってきたのがここ数年だったと認識しています。個人的にはよくここまで維持できたなという感想を持っています。この点については、今遊んでくださっているプレイヤーの皆さんのおかげです。ただ、徐々に縮小をしていくなかでそれを維持していくよりも、ここでもう一度ライフサイクルをリセットして、新鮮で、より楽しめるコンテンツにするほうが健全だと考えたことがひとつ目の理由です。それと同時に、現状の『WCCF』がオペレーターさんにとって“優しくないビジネスモデル”であるという点も改善し、アーケードゲーム業界に対して、少しでも良い影響を及ぼしたいと考えたことがもうひとつの理由です。

──優しくないビジネスモデル……ですか?
もともと『WCCF』は1プレイ200円という前提で収益構造が考えられていたんです。プレイヤーさんから200円をいただく。オペレーターさんはそこからネットワーク利用料やカードの購入費を引いた利益を手にして、人件費や家賃などを賄う。ですが、今は価格競争によって1プレイ100円がベースになってしまっていて、収益構造が大きく変わってしまったんです。私たちのビジネスは「BtoBtoC」という形ですが、B(オペレーター)、C(プレイヤー)の両面において改善する必要があったんです。

──なるほど。それでも、息の長いファンが多くいる『WCCF』を変えることに抵抗というか、難しい部分はあったかと思います。
もちろんありました。『WCCF』は中身があまり可視化されないゲームなので、プレイヤーさんそれぞれがいろいろな解釈を持って接していたと思います。たとえばカードを頻繁に動かす方もいれば、全く動かさない方もいますよね。同じように、開発チームの中でも『WCCF』の捉え方はさまざまでした。関わる方それぞれが“自分なりの『WCCF』”を持っているという状況の中で、“『FOOTISTA』はこの形で”と一本筋を通すのはなかなか難しい作業でした。ただ、もちろん開発チームは皆ゲームが好きなので、『WCCF』がゲームとして問題を抱えていることは認識していました。試合中の駆け引きに乏しいこと、「こうしたら勝てる、負ける」というロジックが薄いこと。そういう問題意識は一致していたので、それを解決する方向で調整をしていきました。

──開発にあたって特に大事にしたことは何でしょうか?
変えてはいけないところは変えない、ということですね。プレイヤーさんへのリサーチで『WCCF』の一番の魅力を聞いたところ、やはり「カードの収集」が大半を占めていたんです。なので「カードを集めるのが楽しい」という部分は維持していこうと決め、「フラットリーダーとカードを使う」という形は引き続き軸にしました。ただ実を言うと、開発チーム内ではここに対してもいろいろな意見があったんです。「フラットリーダーにデジタルカードを映せばいいんじゃないか」という意見もありました。でも、物質的なカードが手元に残るのはアーケードゲームならではの強みだと思い、継続する結論に至りました。

──フラットリーダーと実物のカードを使うという根本は維持しつつも、それ以外で変わった部分は多いですよね。
「オンデマンド印刷」と「駆け引き」、「情報の可視化」。大きくはその3つですね。オンデマンド印刷を導入した理由のひとつは、ビジネスモデルの改善をしたかったからです。『WCCF』ではVer.が変わるごとにカードがどんどんリニューアルされていきますよね。そのたびに前Ver.のカードは不良在庫になってしまう。オンデマンド印刷にすれば、その不良在庫をゼロにできます。ただ、僕自身は当初オンデマンド印刷に反対していたんです。

──それはなぜでしょうか?
クオリティが足りていなかったからです。カード収集が最大の魅力なので、そのクオリティが極端に落ちることは何としても避けたかった。なので、オンデマンド印刷を導入する条件を考えました。ひとつはクオリティを担保すること。もうひとつはオンデマンド印刷を生かした新しい遊びを導入すること。クオリティの面は半年から1年くらいの時間をかけて紙やプリンターのメーカーさん、社内の筐体開発担当者と吟味を重ねて、ようやく満足のいくレベルにたどり着くことができました。

──あらかじめ印刷されたカードが筐体にセットされていた『WCCF』では実現できない仕組みですね。
そうなんです。それと、『プレイヤーズサイト』というこれまでの『WCCF. NET』にあたるサイトで、1日1回、選手を配信するという仕組みを導入します。配信された選手をカード化したいという方は、ゲームセンターに足を運んで印刷していただく。「ゲームセンターに足を運ばない限り、日々コンテンツに触れられない」というのはアーケードゲームの弱点だと思うんです。それが離脱の要因にもなってしまいますしね。『プレイヤーズサイト』での選手配信はその弱点を克服するという狙いもあります。もうひとつはトレードですね。カードにはシリアルコードが記載されていて、その番号さえ知らせることができれば、遠く離れた人とでもトレードすることができます。

──それはうれしい機能ですね。
もっと言うと、オンデマンド印刷であれば、できるだけ被りにくいカードの排出ができるようにもなります。もちろん完全にコントロールできるわけではないのですが、特定のレアリティまでは比較的容易に集めることができるはずです。かつて『WCCF』をプレイしていて今は離脱してしまっている方を対象にリサーチすると、「生活が変わって時間やお金が使えなくなった」という理由を挙げる方が多いんです。なので、よりコンプリートしやすくなったというのはポジティブな要素なのかなと思います。

──「限りある時間とお金を使ったのに、カードが被った……」ということが起きにくくなる。
そうですね。将来的には現実のサッカー界と連動させて、「この大会で活躍したこの選手を1週間後に配信します」というようなこともやりたいなと思います。

試合面における最大の変更は、情報の可視化と駆け引きの導入

──その他の変化についてはいかがでしょうか?
これまでの『WCCF』には目に見えて分かりやすい駆け引きがありませんでした。どちらかと言うと、駆け引きというよりは「アクション」と「リアクション」の色が強かったと思います。

──新たに導入された「ホットライン」や「マンマーク」、「ブレイク」といった要素は、まさに試合中の駆け引きを実現していますね。
これらを導入するうえで大事にしたことは、操作が簡単であることです。操作に至る思考は深くてもいいと思っていたんですが、操作は簡単にしたかった。それは、幅広いプレイヤーさんに受け入れてもらえるようにしたかったからです。『WCCF』はカードを頻繁に動かす方と、全く動かさない方の両方を抱えているタイトルなので、操作を難しくして後者のプレイヤーさんを切り捨てることは避けたかったんです。

「ホットライン」によって、プレイヤーは『WCCF』以上に試合に直接関与できるようになった印象だ(ゲーム画面は開発中のものです)

守備側は「マンマーク」や守備スキルを使って、相手の「ホットライン」や「スキル」の解除(ブレイク)を試みる(ゲーム画面は開発中のものです)

──新要素によって試合に駆け引きが生まれたと同時に、多くの情報が可視化されるようになりました。
可視化については、プレイヤーさんに対して「今はこういう状態ですよ」というのを見えるようにすることで、「自分がこういう操作をしたからこういうプラスがあった、マイナスがあった」というのがちゃんと分かるようにしたかったんです。

──勝敗に対する納得感が得られる、ということですかね。
そうです。実はこれまでの『WCCF』ではあえて可視化をしていませんでした。それは「プレイヤーさんにいろいろなことを感じ取っていただいて、それぞれの解釈で楽しんでいただこう」というコンセプトがあったからです。でも、先ほどもお話ししたように『WCCF』が衰退期に入ろうとしているという事実があるので、そのコンセプトが今の時代とマッチしていない可能性があると考えました。ただ一方で、可視化されすぎることも問題で……。たとえば、当初は「スキル」に制限時間を設けていたんです。「スキル」を発動して選手の能力がアップするまでの時間、能力アップが終了するまでの時間、そういった情報を選手ごとに出していたんですが、そうなるとプレイヤーさんが処理しないとならない情報量が大幅に増えてしまう。それでハードルが上がってしまうのは避けたかったので、今回は「スキル」の時間制限はなくしました。そういった細かい部分はいろいろと調整を試みましたね。

──なるほど。ちなみに、プレイヤーさんにとっては「可視化されていないからこそ研究のしがいがある」という面もあったと思うのですが、そのあたりはどうお考えでしょうか?
プレイヤーさんがどの部分を探求していたかにもよるんですが、基本的にはこれまでにあった研究要素は引き継がれていると思っています。これまでどおり選手はAIで動きますから、「それぞれの選手がどういう局面でどう動くか」、つまり“使用感”という部分は変わらず探求要素として残っています。「ホットライン」についてもピッチ上の11人から3人を選ぶ組み合わせはたくさんありますし、フォーメーションも多く用意していますので、そのあたりの研究はできるのかな、と。

──ちなみに、1回目のロケテストの時と2回目のロケテストの時とでは、ボタンの割り振りや「スキル」のラインナップが変更されました。これはどういった理由からでしょうか?
最初のロケテスト後に行ったリサーチで、「もっと操作したい」「もっと十字ボタンを使いたい」というご意見を多くいただいたからです。「ホットライン」のような駆け引き、読み合いで得られる快感というのは、試合が始まって少し経ってからしか得られないですし、1試合を通じてその快感を得られないこともある。そこで十字ボタンの上を「ホットライン重視」、下を「プレス」ボタンにすることで、駆け引きよりも前に訪れる“手間の気持ちよさ”みたいなものを作ろうと考えたんです。

──「スキル」についてはいかがですか?
これはプレイヤーさんのご意見というよりも開発側が感じていたことなんですが、チームの特徴を表す要素が弱くなってしまったな、という思いがあったんです。『WCCF』ではそれを「チームスタイル」で表現していたんですが、何かそれに近いものができないかと思い、「スキルコンボ」を考案しました。「スキル」の組み合わせを考えて「スキルコンボ」を発生させる。その「スキルコンボ」がチームの大まかな方針を示している、という形です。最初のロケテストで運用していた「スキル」では、コンボを作るための組み合わせがしにくいものが多かったので、数を減らしつつ、シンプルな「スキル」に変更しました。

──「チームスタイル」は『WCCF』の代名詞とも言えると思いますが、『FOOTISTA』ではそれが「スキルコンボ」になるわけですね。もうひとつ、忘れてはならない変化として筐体のデザインもありますね。どんなことを意識されたのでしょうか?
外からの見た目と、座った時に見える内側の見た目と、両方で意識したことがあります。まずは、外から見て「サッカーのゲームである」ということが明確に認識できるよう意識しました。それと目立つこと。中のデザインについては、プレイヤーさんが作ったチームのカラーに合わせてLEDが光るのが特徴です。まるでスタジアムにいるかのような体験をしていただきたいと思い、そういった意匠を取り入れました。(後編へ続く)

筐体もガラリと印象を変えた。屋根や外枠が設置されたことで没入感は高まり、LEDの演出が気分を盛り上げてくれる

インタビュー後編はこちら!

WCCF FOOTISTA 2019

稼働開始日:2019年3月14日
ジャンル:トレーディングカードアーケードゲーム
メーカー:セガ・インタラクティブ
公式サイト:https://www.footista.jp/teaser/
©SEGA ©Panini S.p.A. All Rights Reserved. The game is made by Sega in association with Panini.

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