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【インタビュー:後編】中村憲剛が「ウイクラ」で見せた“名将”の素質…日本屈指の戦術マニアが「ウイクラ」で監督に

2017.03.04

インタビュー・文=いしかわごう
写真=野口岳彦

 サッカーオタクである中村憲剛は、「ウイイレで育った」と公言するほどのウイイレマニアでもある。ウイイレの前身とも言えるスーパーファミコンのソフト「実況ワールドサッカー(1994年発売)からプレイしているというのだから、ウイイレ歴も筋金入りだ。

「家では息子とやっているから、二世代でプレイしてますよ。どんどん進化してますよね。最近はグラフィックがリアルすぎて、ゲーム性よりもそっちに目がいってます(笑)。中村家でウイイレはやって良いゲーム。自分がそういう子だったし、それでサッカーを覚えて、イメージも膨らんでいくので」

 ウイイレのプレイは自宅だけにとどまらない。日本代表の合宿やクラブでのキャンプでも、チームメートと興じる機会は多いという。ゲームを通じてサッカー観もわかるので、選手間のコミュニケーションツールにもなり、一石二鳥なのだ。

「対戦も含めて、いろんな選手とやってきましたね。『そこ、つなぐんだ!」、『そこでタックルするんだ?』って、センスが出るじゃないですか。ゲームで無理にタックルして退場しちゃう選手は、練習でもバーンとタックルしますから(笑)。同じチームで4人一組で世界と戦うというモードもあって、『いま、右に出せよ!」とか言いながらやってましたよ。それって、実際のサッカーと変わらないですよね。それぞれのクセが出るんで、面白いです。自分は『(パスを)つなぎ過ぎ!』ってよく言われます(笑)。ボールは取られないものという信念でやってますから!」

 そこで今回は中村憲剛にシミュレーションアプリである「ウイニングイレブンクラブマネージャー」をプレイしてもらい、監督して采配を振るってもらうことにした。

「ウイニングイレブンクラブマネージャー」のダウンロードはこちら!

中村憲剛監督”が「ウイクラ」でバルセロナの監督に挑戦

「ウイニングイレブンクラブマネージャー」こと通称「ウイクラ」は、全世界の累計ダウンロード数が2,000万を超える『ウイニングイレブン』シリーズのクラブマネジメントゲームだ。リアルな3Dグラフィックで展開される試合と変化する戦況データを読み取り、自分が監督となって戦術を駆使して、クラブを勝利へと導く醍醐味を味わえる。対戦だけではなく、選手の獲得・育成や、クラブ施設の発展・拡充など、チームの経営が楽しめることも魅力である。

 中村憲剛が使用するクラブは、もちろんバルセロナ。ドイツのドルトムントとフレンドリーマッチを実施する。タブレットを渡されると、早速、ゲーム画面に釘付けとなり、表情も試合モードになった。

 まずはフォーメーションの選択だが、ここはバルセロナの基本である〔4-3-3〕の一択だ。続いて、選手の選定とポジションを配置。メッシのスタート位置を右ウィングから中盤に移動してみたり、セルジ・ロベルトをあえて右サイドバックに配置して能力値の幅を確認しながら進めている。スタメン選考の際に重視しているのは調子だと語る。

「調子はかなり大事ですよ。多少、能力の数値が低くても、絶好調の選手のほうを使います。実際の試合では、ゲームが始まったら、急に調子が悪くなる選手もたまにいますけどね(笑)」

 戦術やメンバー選定には細かいところまでこだわるタイプだ。試合開始まで時間がかかるため、周りからは「長い!」とクレームを受けることもあるらしい。

「ウイイレで、いろんなシステムを試しましたよ。極端な4トップとかもやりました(笑)。ゲームだけのシステムで、実際の試合でやったら機能しないんですけど、意外と勝ってましたよ。あと戦術をハイプレイスにして、ラインをひたすら高くして、全体をコンパクトに戦っていたんです。あとはオフサイドトラップのボタンがあったので、それもひたすら連打して、ボールを取ってショートカウンター。つまり、ペップがやった戦術をウイイレですでにやっていたんですよ!もしかして、大学生のときの自分のプレイを見ていたかな?(笑)」

 そんな昔の思い出を語っていると、キックオフの笛が鳴った。中村憲剛監督が指揮する「ケンゴ・バルサ」の強さはいかほどだろうか。

 ケンゴ・バルサは、序盤からテンポよくパスをつないでいく。攻守の切り変わった際には、憲剛監督の指示で、戦術のゲージを素早く変更。すると前半15分にそれが奏功する。中盤でボールを奪うと、超攻撃的に戦術をチェンジ。メッシからのロングボールにうまく抜け出したネイマールが、マークをかわす絶妙なトラップ。さらにカバーリングにきた相手DFも切り返しで外すと、そのまま右足を一閃。ゴールネットを揺らして、ケンゴ・バルサが幸先よく先制に成功した。

 そしてリードしてからが、憲剛監督の腕の見せ所だ。「ポゼッション」から「カウンター」、「フォアチェック」から「リトリート」に戦術を変更。ゲージを超守備的にすることで、しっかりと構えながら、ボールを奪っても攻め急ぎをせず、自陣でのパス回しを展開させたのだ。「仕掛けてもいいけど、そこでボールを取られたらダメ!無理しないで。そう、そう!相手にボールを触らせない。そうしたら相手がしびれを切らすので」と、ボールを失わないサッカーを指示。ボールを保持することで時計の針を進めていく作戦だ。

 前半終了間際には、ボールを取りに来た相手を、ブスケッツとイニエスタが中盤のパス交換でいなし、前線のMSNに配球。中盤で受けたスアレスが前を向いてネイマールへ。最後は抜け出したメッシが左足で冷静に流し込んで、鮮やかに追加点を挙げた。

 バルセロナの肝であるブスケッツを起点にした狙い通りの崩しに、「ブスケッツが相手を引き出して、始まったんですよ。監督の采配が的中している!やりがいありますね。完璧です」とご満悦だった。

 2点のリードで迎えたハーフタイム。早速、各選手の体力のゲージに目を配り、「ブスケッツは減ってない。ポジショニングがいいからね」と状態をチェック。「ただ相手も(体力は)減ってないですね。後半は攻撃的に来るかもしれないので集中しないと」と、後半のマネジメントを練っていた。

 後半になっても、ボールを大事にしたサッカーで、安定感のある試合運びを見せるケンゴ・バルサ。ときおり、試合展開に飲めり込むあまり、「そう!そう!そのパス一本で全然、変わってくる!」などとプレイ中に言葉が止まらなくなり、思わず「・・・これ、外でやってたら超怪しい奴ですよね?」と一言。その場にいたスタッフを笑わせていた。

 後半の終わりには、勝利を決定付ける3点目も獲得。ネイマールのシュートがポストに当たった跳ね返りを、再びネイマール。中央へ折り返しをメッシが流し込んだ形だ。選手が思い通りに動いてくれないからこそ、ネイマールが拾った瞬間、「中にいるよ!メッシに出して!」の指示が通じたかのように決まったゴールには、「名将説が出ちゃうな、これ」と満足げだった。

 その後も手堅い試合運びを見せていると、ロスタイムには、ドルトムントのビシュチェクがファウルで一発退場。そのままタイムアップとなり、3-0で完勝を収めた。

 試合後、勝利を飾った中村憲剛監督にコメントを求めると、よどみなくポイントを振り返ってくれた。

「ボール支配率58%。少し落ちましたけど、まぁ、そこは相手にボールを持たせる狙いもありました。今日の試合に関しては、先制点を取ったことが全てですね。これで相手が攻めてこないといけない状態になり、ブスケッツに取りにきたところで、その背中を取って前の3人で決めました。2点目はチームとして狙いとしている形です。選手交代を行わなかったので、体力的に厳しいと思いましたが、次の試合まで1週間空いているので、そこは問題ないかと思います。今日は選手が頑張ってくれました。私は何もしていないです(笑)。ただただ選手を褒めたいです」

 最後の締め方などは、すでに名将の風格たっぷりである。

 MOMに輝いたのは、2得点を挙げて採点7.5点のメッシだ。これには憲剛監督も納得の表情を見せた。そして試合後に表示されるスタッツやデータを眺めながら、自分の采配した試合を楽しそうに振り返っている。

「パス数も多いですね。もう気持ち、パス数も多いと良いですけど、今日は守備に重心を置いたのでね。ロングパスの比率も、戦術の設定で随分と変わるんですね。あとはやっぱり真ん中を攻めないと、外も開かないので。最終ラインもほぼ競り勝っている・・・・これは面白いですね。というか、データが詳細すぎるでしょ!わずか5、6分の試合なので、これだけデータを正確に出してくれるなんてすごいな」

“監督気分”が味わえるスマートフォン向けクラブマネージメントゲームに、中村憲剛も舌を巻いた。誰よりも戦術に対するこだわりが強いだけに、試合前の選手セレクトから、試合後のスタッツチェックまで渾身の采配を振るいインタビューは終了。サッカー好きなら、日本屈指の戦術マニアも本気になれるスマホアプリをダウンロードして、監督気分を味わってみてはいかがだろうか?

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