EURO2016特集|UEFA欧州選手権
2016.03.01

出場枠確保は使命…中国の躍進脅威のアジアサッカー、日本の勢いをACLから

スポーツライター。日本代表の国際Aマッチは、2000年3月からほぼ全試合を現地取材。
ACL初戦のシドニーFC戦で熱い応援をする浦和サポーター [写真]=Getty Images

 Jリーグ勢は1勝1分2敗に終わった。AFCチャンピオンズリーグの第1節である。

 大会は始まったばかりだ。昨年のガンバ大阪は、2分1敗から3連勝を飾って首位でグループステージを突破した。黒星スタートとなったサンフレッチェ広島とFC東京も、巻き返しは十分に可能だ。Jリーグ勢の先行きを不安視するのは、まだ少し早い。

 それでも、胸騒ぎがする。

 今シーズンのACLに出場する4チームは、アジアの頂点を奪い返すための戦いに挑むと同時に、出場枠を確保する使命も帯びている。

 現在の日本、すなわちJリーグは3チームがグループリーグにストレートインし、1チームがプレーオフから出場している。しかし、今シーズンの結果次第ではストレートインできるチームが減ってしまう可能性がある。その場合は、中国が出場枠を増やすことになるだろう。

 Jリーグ全体の競技力と選手の意識の向上を促す機会として、ACLは意義のある大会と言っていい。日本代表に選ばれていない選手が国際経験を積むことができる、貴重な舞台である。国内リーグの合間を縫ってアウェイゲームに挑んだり、短い試合間隔で公式戦を消化したりしていくことは、日本代表の常連にとっても意味がある。ACLを経験することで、心身ともにタフになるきっかけをつかむことができる。

 広州恒大が牽引する中国リーグは、近年のACLで主役を演じている。Jリーグ勢の行く手に立ちふさがっているが中国代表のレベルアップとは歩調が揃っていない。

 ロシア・ワールドカップのアジア二次予選グループリーグでは、カタールの独走を許しているだけでなく、香港の後塵を拝して3位に甘んじている。先のリオ五輪アジア最終予選でもグループステージで3連敗の最下位に終わった。ACLの成績と代表チームの成績には、はっきりとした乖離がある。

 なぜか。中国のクラブの躍進は、外国人によるところが大きいからだ。先の第1節で広島を下した山東魯能の決勝点は、ブラジル代表歴のあるジエゴ・タルデリがあげたものだった。とはいえ、中国人選手がタフな勝負をくぐり抜けているのは間違いない。個人の経験値は上がっているはずだ。やがては代表チームも力をつけてくる可能性は否定できない。アジアの経験値で遅れを取らないためにも出場枠を減らすわけにはいかないのだ。

 もちろん現在進行形の戦いとしても、簡単に引き下がれない。

 大会の歴史を振り返れば、ACLの主役は韓国だ。彼らに続くのがサウジアラビアやイランなどの西アジア勢であり、中国が急迫しているのが近年の勢力図である。浦和レッズとガンバ大阪がアジアの頂点に立ったのは、歴史の一部分にすぎない。

 日本サッカーはブラジルW杯から停滞感に包まれていたが、1月のリオ五輪予選でU-23世代がくさびを打ち込んだ。さらなる勢いを、ACLから吹き込みたい。Jリーグのアジア戦略に照らしても、ACLでの上位進出は利益になる。Jリーグのコンテンツとしての価値を、高めることにつながる。日本サッカーの対外的魅力の向上においても、韓国や中国の後塵を拝するわけにはいかないのだ。

文=戸塚啓

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