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「世界一になりたい」という強い思い/堀春菜

2016.02.10

 2011年にスタートし、年に一度サッカー&映画ファンが集う一大イベントに成長、今年も2月11日(木・祝)~14日(日)の4日間で11作品を上映する「ヨコハマ・フットボール映画祭2016」。さらに全国12都市で映画を上映するジャパンツアーも開催されます。

 そこでサッカーキングでは映画祭の開催を記念し、豪華執筆陣による各作品の映画評を順次ご紹介。

 今回はフットボール映画祭公式アンバサダーを務める俳優の堀春菜さんに、ブラインドサッカー日本代表のエース黒田智成選手を追ったドキュメンタリー『ノンフィクションW 盲目のストライカー 世界へ ~ブラインドサッカー日本代表 闘いの軌跡~』についての映画評を寄稿いただきました。

世界一になりたい」という強い思い/堀春菜

「トモ!トモ!」そう呼ばれているブラインドサッカー不動のエース、黒田智成選手。この作品を見終わる頃にはトモ選手、そしてブラインドサッカーのことが好きになっているでしょう。

私がブラサカ体験をした時「その場で目をつむって片足で一分間、立ってみて」と言われ、私は「一分間?なんだ、簡単じゃん」と思いました。しかし、実際にやってみると何故だかすごくフラフラする。目を開けている状態であれば一分間でも三分間でも立っていられそうなのですが、目をつむるだけで途端に平行が保てなくなってしまい、とても驚きました。

人間は情報を得るときに五感による知覚の割合は、視覚器官が83%、聴覚が11%、臭覚が3.5%、触覚が1.5%、味覚が1.0%であるとされています。

そんな全体の83%を占める視覚器官を閉じて行うスポーツが「ブラインドサッカー」です。最近、テレビでブラインドサッカーを取り上げた番組も増えたため、知っている方も少しずつ増えてきているのではないでしょうか。

ブラインドサッカー、通称“ブラサカ”とは、全盲の選手4人と目の見えるGKの選手1人の5人制サッカーで「音」「イメージ」「声」を頼りに行います。ボールの中には鈴が入っていてどこにあるか分かるようになっているんです。

トモ選手がブラサカに出逢ったのは2002年の時。小さい頃から体を動かすことが好きで柔道、陸上、グラウンドソフトボールなどたくさんのスポーツを経験していますが、6歳の頃から全盲となったトモ選手にとって制限なく自由に思いっきり走り回ることが出来るブラサカは大きな魅力だったそうです。

現在、日本のブラサカには「プロ」がないため、トモ選手は普段、東京都立八王子盲学校の社会科教員をしながら合間合間に学校の体育館で練習を重ねています。2005年にはクラブチーム「たまハッサーズ」を発足しました。「たまハッサーズ」の監督はトモ選手の妻である黒田有貴監督。有貴監督はトモ選手に出逢い、ブラサカに出逢いました。「自分の声がチャンスにもピンチにも繋がるのが楽しい」という言葉に、本当にブラサカが好きなんだろうな、誰かのために頑張りたいと思えるって素敵だなと思いました。

私は、トモ選手の練習や試合風景を観ていると、トモ選手のブラサカに対する真っ直ぐな思いと「世界一になりたい」という強い思いを感じます。

試合が終わるとトモ選手はもう次の試合に向けて考えていました。今の試合は何故うまく実力を出せなかったのだろう、今の自分に足りないものはなんだろう、補うためにはどんな練習をすれば良いのだろうか、と。

私は現在、役者として活動しています。勉強の毎日です。私はトモ選手のように自分に足りないもの、求められていることをきちんと向き合って考えられていたかな。自分に足りていないことをまず認めることって大事だけどなかなか難しいから逃げてしまいがちになっていた気がします。それではいけないなとトモ選手を見ていて思い、もっと頑張って私も上に上がっていこうと決意することができました。

トモ選手、そして他のブラサカ日本代表選手は今日も鈴の音を鳴らしながら世界一を目指しているんだろうなぁ。

ブラインドサッカー。

もっと多くの方に魅力を知ってもらいたい。凄いスポーツがあるんです。私は上手な文章は書けないですが、この文章を読んでブラサカを知ってもらうきっかけになって頂けたら一生懸命書いて良かったなって思います。一緒にブラサカを応援出来ることを楽しみにしています!フットボール映画祭に是非、遊びに来てください。

堀春菜(ほり・はるな)
俳優/1997年3月17日、神奈川県生まれ。2014年、映画『ガンバレとかうるせぇ』(佐藤快磨監督)主演で映画デビュー。釜山国際映画祭での上映をはじめ、国内外の映画祭で賞を受賞。その後も『time』(中川駿監督)、『楽になりたい』(松田遥平監督)、『ぼくらのさいご』(石橋夕帆監督)と立て続けに主演として出演。2016年は『空(カラ)の味』(塚田万理奈監督)、『全力で走る』(加藤大志監督)等3本の主演映画が公開待機中。4月には、舞台『解体されゆくアントニン・レーモンド建築 旧体育館の話(演出:冨樫森)』に主演・息吹役で出演。今後も映画を軸に活動の幅を拡げていく。

【映画詳細】
『ノンフィクションW 盲目のストライカー 世界へ ~ブラインドサッカー日本代表 闘いの軌跡~』
2015年 日本/ドキュメンタリー/43分
監督:橋脇隆
製作:WOWOW エネット

【ヨコハマ・フットボール映画祭について】
世界の優れたサッカー映画を集めて、2016年も横浜のブリリア ショートショート シアター(みなとみらい線・みなとみらい駅から徒歩6分)にて2月11日(木・祝)、12日(金)、13日(土)、14日(日)の4日間開催!全国ツアーの日程も含め、詳細は公式サイト(http://2016.yfff.org/)にて。

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