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中学同級生チーム「AC八雲」が11人制サッカーとバブルサッカーともに同時優勝!/COPA COCA-COLA 2015

2015.09.30



文=池田敏明 写真=勝又義人

 名古屋、大阪、福岡、札幌、浦和、横浜と、全国6会場で地区予選が行われた「COPA COCA-COLA 2015」。それぞれの優勝チームが静岡県御殿場市に集い、9月26日、27日の2日間にわたって「COPA CAMP」が開催された。

 26日12時50分、選手たちを乗せたバスが時之栖スポーツセンター裾野グラウンドに到着する。予選を経験していることもあり、顔なじみのスタッフと言葉を交わしたり、カメラマンの前でポーズを取ったりと、長旅の疲れもない様子で準備を整え、開会式に臨む。

「COPA COCA-COLA 2015」では、選手一人ひとりに「革命児」、「型破り」、「熱血漢」などのロールが与えられ、特に印象的な活躍を見せた選手は「ベストロール」として表彰された。今回の「COPA CAMP」では、元Jリーガー6名がベストロールの審査員を務めることに。これに選ばれた11名と、アンバサダー賞に輝いた1名、合計12名に、12月に日本で開催されるクラブW杯の3位決定戦、そして決勝戦のフラッグベアラーを務める権利が与えられることがここで発表された。

 地区予選では8人制サッカーとバブルサッカーそれぞれ2試合ずつ、合計4試合の勝ち点で順位を決めたが、今回の「COPA CAMP」ではフルコートでの11人制サッカーとバブルサッカーで順位が争われる。初日に行われるのは、6チームを2つのグループに分けての11人制サッカーだ。

 さすがに地区予選のチャンピオンチームが集結しているだけあって、どの試合も白熱し、見ごたえのある応酬が続いた。浦和地区大会チャンピオン「越谷市立西中学校シャーク」の「挑戦者」富永涼大君が2試合連続で決めた豪快なミドルシュートや、福岡地区大会チャンピオン「つばさアカデミア・サッカースクール」の「切り札」和田匡昭君が見せた直接FKによる得点、大阪地区大会チャンピオン「AC八雲」が2試合目で見せた終盤の逆転劇など、レベルの高いプレーも随所に見られた。

 松木さんと北澤さんによるライブ実況も会場を大いに盛り上げた。「選手と直接、交流できるのがこの大会のいいところだね!」と語る松木さんは、この日も“舌”好調。ゴールを決めた選手に対して「どうやって決めたの?」とたずね、各選手がフィニッシュシーンの再現で応える様子は、もはや大会の代名詞になっている。最終ラインを高く設定し、オフサイドの山を築いた札幌地区大会チャンピオン「ほりっしー」のスタイルには「74年西ドイツW杯でオランダ代表が見せた『トータル・フットボール』みたいだ!」(松木)、「古くないっすか? 選手たち、分からないと思いますよ」(北澤)と、かつて監督と選手としてヴェルディ川崎の黄金期を支えた2人ならではの掛け合いで爆笑を誘っていた。

 各チーム2試合ずつを戦ってグループ内の順位が決した後は、順位決定戦を実施。Aグループ1位「AC八雲」対Bグループ1位「越谷市立西中学校シャーク」による優勝決定戦は、両チームともに数多くのチャンスを作ったものの、守備陣の踏ん張りもあってゴールは生まれず、スコアレスドローで試合終了。両チーム優勝という形で1日目の試合を終えた。

 御殿場高原 時之栖にチェックインし、食事と入浴を済ませた後、20時からは室内でのミーティングが行われた。会場に集まった選手たちは、それぞれが小さな白い封筒を手にしている。各チームの代表者によるチーム紹介が終わった後、合図とともに封筒を開けると、中にはAからFまでのアルファベットが書かれた1枚の紙が。ここで発表されたのは、選手たちをシャッフルして新たに6チームを作り、翌日に試合を行うという緊急企画「SHUFFLE CUP」の開催。各チームの監督にはベストロールの審査員を務めていた元Jリーガーが就任し、その場で早速、新チームが始動した。

 新しいチームごとに集まって自己紹介を済ませた後、チーム全員の団結心が問われる「スピードリフティング」や「ジェスチャーゲーム」が実施され、チーム内の交流を深めていく。最初は戸惑い、どこかぎごちない雰囲気だった選手たちも、時間の経過とともに少しずつ打ち解け、チームとしてのまとまりが生まれ始めていった。翌日に向けて選手全員にオリジナルユニフォーム一式がプレゼントされ、1日目が終了となった。



 迎えた大会2日目、最初に開催されたのは、前日夜に結成された新チームが激突する「SHUFFLE CUP」。グラウンドに登場した選手たちは、早速、元Jリーガーの“新監督”の元に集結した。声を掛け合いながら握手をするチーム、早速ボール回しを始めるチーム、念入りにミーティングを行うチームなど、各監督が独自のカラーを出しながら準備を進めていく。

「SHUFFLE CUP」も、初日の11人制サッカー同様、各チームがグループリーグ2試合と順位決定戦、合計3試合を戦った。最初はなかなか連係が取れず、苦戦するチームもあったが、試合を重ねるたびに声が出るようになり、お互いに指示を出し合ったり、控えのメンバーが大声で激励したりと、チームとしてまとまっていく姿を見せてくれた。

 迎えた決勝戦は、塩川岳人監督が「ネガティブ禁止!」をうたった「メローイエロー」と、海本幸治郎監督が入念な戦術指導とフィジカルケアを行った「Co-labo」が対戦し、0-1で「Co-labo」が勝利。「徐々にやりたいことができるようになっていった感じがしましたね。いい経験になったと思います」と海本監督が選手たちを称えれば、「守護神」の森本勝凱君(越谷市立西中学校シャーク)も「だんだん打ち解けていって、話もするようになりました」と、チームが一体になっていく様子を実感した模様。「切り札」和田匡昭君(つばさアカデミア・サッカースクール)は「シャッフルチームでプレーすることで、個性を生かすことの大切さを教えてもらいました」と、貴重な体験から多くを得たようだ。

「SHUFFLE CUP」終了後は元のチームに戻り、バブルサッカーが実施された。地区予選を経験していることもあって、どのチームもバブルの使い方に慣れ、初戦から激しくぶつかり合い、バブルごと転げ回る派手な攻防が連続した。ロングシュートを狙ったり、GKがしゃがみ込み、バブルでシュートをブロックしたりと、競技への高い適応力を見せる選手もいた。

 バブルサッカーの優勝決定戦は、「AC八雲」と「つばさアカデミア・サッカースクール」の対戦となり、両チームが1点ずつを奪い合って両チーム優勝という結果に。これで2日間にわたって行われた「COPA CAMP」の全競技が終了した。

 表彰式では、クラブW杯の3位決定戦、決勝でフラッグベアラーを務める権利が与えられるベストロール賞11人と、アンバサダー賞1名が発表された。名前を呼ばれた選手はガッツポーズで喜びを表現し、引率責任者や、遠路はるばる応援に駆け付けた保護者の方々からは大歓声が上がる。アンバサダー賞を受賞したAC八雲の「切り札」阿部亮太郎君は「めっちゃ楽しかった! クラブW杯なんて、テンション上がりますね。横浜行きが楽しみです!」と、興奮気味に受賞の喜びを語ってくれた。憧れの選手たちと同じピッチに立つという夢の権利を授かった12人の選手たちは、みな晴れやかな表情を浮かべていた。

 そして「COPA CAMP」を制し、金色に輝くトロフィーを手にしたのは、11人制サッカー、バブルサッカーでともに同時優勝を飾った「AC八雲」。同じ中学の同級生で結成され、部活サッカー部出身者とクラブチーム所属者にバスケットボール部の出身者2人を加え、女子選手3人はバドミントン部2人、ソフトボール部1人という構成の彼らは、参加した6チームの中でも全員の仲の良さが際立っていた。「SHUFFLE CUP」で海本監督率いる「Co-labo」に振り分けられ、3競技での優勝を経験した「切り札」丁野梨奈さんは「シャッフルチームでの優勝もよかったけど……やっぱり八雲で優勝できたのがうれしかったです」と笑顔。気心の知れた仲間たちが、チームワークで大きな勝利をつかんだ。

 サッカーは仲間との絆を深め、新たな仲間と出会う機会を与えてくれる。そこで新たな繋がりが生まれ、サッカーを続ける限り、ネットワークはどこまでも広がっていく。日本各地で行われた地区予選を勝ち抜き、「COPA CAMP」に参加した選手たちは、そのことを身をもって体感したことだろう。

 8月2日の名古屋地区予選で大会が幕を開けてから、約2カ月。「COPA COCA-COLA 2015」は、選手たちに最高の思い出と最高の笑顔を与えてその幕を下ろした。最後に、松木さんは選手たちにこのような言葉を送って大会を締めくくった。

「この2日間で見せてくれた笑顔や頑張りは、君たちにとってプラスになるでしょう。我々も力をもらいました!」

By サッカーキング編集部

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