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【第780回開催】J1クラブ番記者情報

2015.07.17

浦和-広島

■浦和
自分たちのスタイルに対する自信が、時に落とし穴となってしまう。浦和のその欠点はかなり改善されてきた部分だったが、前節の山形戦では悪い癖が顔を覗かせた。浦和対策を敷く山形に対し、攻めあぐねるなか冷静さを欠いたのか、雨でピッチコンディションが悪化しているにもかかわらずリスクの高いパスを出して相手の罠にハマり、カウンターで何度も危ない場面を作られた。ペトロヴィッチ監督が試合後に話したように、「引き分けでこのゲームを終えられたことは幸運だった」。
ただ、不甲斐ない出来でも負けなかったことは大きい。「最低のゲーム」(柏木陽介)をしてしまったことで選手たちの気持ちも引き締まったはずだ。今節は因縁深い広島との一戦となるが、広島にはペトロヴィッチ監督就任1戦目となった2012年3月の開幕戦以来、6試合負けなし。その内実を見ると5勝1分と相性は良い。また、この一戦は今季リーグ戦全勝中のホームゲームとなる。
懸念材料となるのは那須大亮の不在。山形戦で退場処分を受けた不動のレギュラーリベロの穴をどう埋めるのか。また、コンディション不良で山形戦に帯同しなかった梅崎司の状態も気がかりだ。チームメートに「キレ崎」と言われるほど好調の背番号「7」を2試合連続欠くことになれば、攻撃の迫力低下も心配される。(totoONE編集部)

■広島
年間順位首位と2位の対決だが、広島にとっては「鬼門克服」の旅でもある。
埼玉スタジアムでの戦績は1勝1分8敗、対浦和戦は15勝4分26敗。最近6試合連続勝利なしで3試合連続無得点中。2012年開幕戦で佐藤寿人がゴールを決めて以来、セットプレー以外でのゴールは1点もない。昨年のナビスコ杯準々決勝では、野津田岳人と佐藤寿人がゴールを決めているが、その時のGKは西川周作ではなかった。“鬼門中の鬼門”。それが埼玉スタジアムであり、かつての指揮官であるミハイロ・ペトロヴィッチが率いる浦和なのである。
ただ、今の広島はこれまでとは少し様相が違う。何よりも際立つのは、圧巻の得点力だ。最近5試合で20得点。その20得点中、佐藤寿人が6得点を稼ぎ、12年連続二桁得点という前人未到の記録にあと1点と迫った。シャドーの位置でプレーする柴﨑晃誠とドウグラスの2人も、19試合で2人合わせて12得点9アシスト。昨年の高萩洋次郎(現ソウル)と石原直樹(現浦和)の2人の「34試合13得点10アシスト」という数字に早くも並ぼうとしている。前節の松本戦でも2人で3得点。佐藤も、得点こそなかったが柏好文のゴールを演出するなど、好調を維持。前の3人を動かす青山敏弘も5試合で1得点6アシスト。ワイドのミキッチ、柏好文も2人で2得点3アシスト。中からも外からも攻撃が創れる広島の破壊力が浦和に牙を剥けば、2010年7月24日以来となる埼玉スタジアムでの勝利に大きく近づく。(紫熊倶楽部 中野和也)

湘南-甲府

■湘南
アウェイに乗り込んだ前節の神戸戦では、先制を許したものの前半のうちに追いつき、1-1で勝ち点1を積み上げた。チャンスは互いにあり、決め切れない場面もあった。だが一方で、相手の攻撃のタレントに見せ場を与えないなど、粘り強い戦いを演じた。前々節名古屋戦の勝利に続き、連勝とはならなかったが、高温多湿の厳しい環境、連戦、アウェイといった要素を踏まえても、前向きなドローと言える。
今節ホームに迎える甲府とは今季、リーグ戦とナビスコ杯予選で対戦し、いずれも1-0で湘南が勝ち点3を手にしている。ただ、佐久間悟監督にタクトが移ったのはJ1・1st第11節の勝利の直後だったため、監督交代以降、最下位からの立て直しを図った甲府とは初対決となる。
1stステージの対戦では、風の影響もあり、相手のロングボール攻勢に押し込まれる時間帯もあった。GK秋元陽太を中心に全員守備でこれを防いだように、今節もチームとして相手の時間帯を封じたい。一方、安定が図られた甲府の守備に対し、精度を高めているリスクマネジメントとともに、攻撃力を発揮したいところ。リーグ随一の走力を背景に、試合を重ねるごとに磨かれている連係をゴールに結びたい。
今季ホームでは3勝3分4敗とまだ負け越している。成長を着実に結果へと映している湘南にネガティブな要素は見出しにくいが、よりシビアに勝ち点3に向かいたい。(隈元大吾)

■甲府
今季、湘南とは2戦2敗。ただし、3月のナビスコ杯では押し込みながらもCKでの失点に泣き、5月のリーグ戦も曺貴裁監督が「力関係で甲府の勢いを受けてしまった」と振り返るほど、甲府が優勢にゲームを進めていたのに、大槻周平のミドルシュートで苦杯を嘗めさせられた。どちらも力の差と言うよりは、細かな勝負のアヤの部分で敗れた印象だ。
チームカラーは対照的。Jリーグがまとめた「トラッキング・データ」によれば、1stステージでスプリント回数の最も多かったのが湘南で、最少だったのが甲府。その差は1試合平均30回以上あったと集計されている。
一方、佐久間悟監督が就任したJ1・1st第12節以降、甲府が勝利した4試合のうち、対戦相手より走行距離が少なかったケースが3度あった。また、佐久間体制下ではアウェイで3勝1敗と、1勝3分のホームゲーム以上の高勝率。相手に動かれても自陣で守備ブロックを固め、相手のミスや焦りを誘う--。敵地ではより割り切って、そうした戦い方を実行していると推測できる。今節も堅牢な人垣で、湘南のスプリント力を封じ込めて、勝機を手繰り寄せることになりそうだ。
タイトなスケジュールを考慮して、15日の仙台戦はスタメンを一部入れ替えたのだが、しっかり無失点で乗り越えた。ただ、負傷明けのバレーの状態がいまひとつだったのは気掛かり。G大阪戦、仙台戦と徐々に出場時間を伸ばしたことで、そろそろ完全復調が待たれるところ。いずれにせよ、1年に3回、同じ相手に負けるわけにはいかないだろう。(渡辺功)

松本-鹿島

■松本
迷い込んだトンネルはかつてないほど長く、そして暗い。15日の松本はアウェイで広島に挑んだが、前半19分までに2つのオウンゴールを含む3失点。「隙を見せないように」と繰り返し説く反町康治監督の取り組みも空しく、この時点で試合の大勢は決した。その後も5-4-1のブロックからショートカウンターを繰り出す広島の術中にはまり、J1昇格後最多となる6失点での大敗。これでリーグ戦の連敗記録は「7」、ナビスコ杯も含めると9連敗となった。
チームは試合翌日の16日朝から移動を開始し、午後に体力回復を主眼としたリカバリーの練習を実施。さすがに硬い表情で足早に引き揚げる選手もいたが、飯田真輝ら主力メンバー数人は練習後に自主的なボール回しをエンジョイして笑顔を取り戻していた。このほか、選手だけの緊急ミーティングを開く案も浮上しており、指揮官は「選手は懐疑的にプレーしているわけじゃない」などとして容認。わずか「1」でも勝ち点さえ積み上げられれば、雰囲気が一変する可能性はある。
そのために必要なのは、やはり失点を抑えることに尽きる。「一分の隙も見せずにハードワークする」という原点に立ち返り、少なくとも前半は無失点に封じたいところ。逆に攻撃面は途中加入の新戦力、安藤淳と工藤浩平が機能し、わずかな光明も。安藤は鋭い縦パスを通し、工藤は中盤で攻撃に厚みを生んだ。オビナにくさびを当てたポストプレーも、シンプルながら脅威になり得るだろう。(大枝令)

■鹿島
鹿島は昨季終盤に全治8カ月の大けがを負ったダヴィが復帰し、11日の新潟戦、15日の清水戦で途中出場。無得点に終わったが、試運転は完了した。スターティングメンバーに名を連ねるかは流動的だが、周知の圧倒的な得点力は、途中投入でも相手にとって驚異となり得る。
相手の松本は、2ndステージ2試合を終えて最下位。1stステージから通じて7連敗中と絶不調で、いかに敵地といえども取りこぼすことがあってはならない。5月30日にホームで行われた試合では3-1と完勝しており、その再現が求められる。ただ、左足を痛めている日本代表MF柴崎岳の復帰については流動的。新潟戦に続いて清水戦もベンチ入りメンバーから外れた。現在は患部の状況を見ながら、ランニングなどを開始し、慎重に復帰時期を見極めているところだが、司令塔を欠けば大きな痛手となる。
柴崎不在の影響もあり、清水戦では決定力不足に悩まされた。シュート数は20-6と相手を大きく上回りながらも無得点に終わった。頼みの小笠原満男がPKを外すなど、苦しい戦いを強いられた。いかに“格下”が相手とはいえ、スコアレスで試合が進めば、相手のカウンター一発に沈む可能性もある。チャンスを確実にモノにしていくことが重要だ。
いずれにしても、清水戦から中3日の過密日程。いかに疲労を抜くことができるか。トニーニョ・セレーゾ監督が効果的な選手交代をできるかどうかもカギとなる。(totoONE編集部)

G大阪-横浜M

■G大阪
前半に2点のリードを奪いながら逆転負けを喫した前節の名古屋戦から中3日で開催される今節。そのダメージを考えても、まずは精神的にしっかり切り替えて今節に臨めるかがポイントになるだろう。
思えば昨年の後半戦も、J1リーグ戦5連勝の勢いを名古屋戦で止められたが、その翌節の甲府戦で苦しい展開ながら勝ち点1を手にしたことが勢いになり、『タイトル』に繋がった。2ndステージはまだ2試合目だが、チームとして「年間勝ち点で首位に立つこと」を目標にしてきたG大阪のこと。この先の戦いを考えても、今季リーグ戦では一度も負けていない『ホーム万博』を追い風に、今節でしっかりと敗戦のショックを払拭したいところだ。
その相手は横浜M。1stステージは引き分けに終わったことや、近年の対戦成績、暑さや連戦ということを踏まえても厳しい試合になるのは間違いない。名古屋戦も内容は悪くなかった。リーグ最少失点で堅守を貫いてきた守備陣が今季初の3失点を喫したのも、個のミスが重なっての失点で、チーム全体がバランスを崩したわけではない。攻撃においても、課題とされていた「2列目の得点力」を払拭するべく大森晃太郎が得点を挙げたり、新加入の長沢駿が途中出場してデビューを飾ったり、新たな『厚み』も見られる。あとはチャンスで確実にゴールに収める決定力を高めるのみ。先手を取った戦いで試合を優位に運びたい。(totoONE編集部)

■横浜M
横浜Mは6試合連続で白星から遠ざかっている。J1・2nd第2節の柏戦は、28分にコーナーキックから失点し、これが決勝点となった。2ndステージは開幕2試合で1分1敗となっており、これ以上の出遅れは避けたいところだ。1stステージの終盤4試合でも失点していたセットプレーの守りは、依然として課題を残している。
ただ、柏戦でのシュート数は相手を上回る10本。押し込む時間帯がほとんどだった。司令塔の中村俊輔はボランチで先発復帰して今節が3戦目。コンディションは上がってきており、精度の高いロングパスは一瞬で局面を打開する。柏戦は負傷で先発を回避したアデミウソンだが、後半に途中出場すると、圧倒的な個人技でたびたびチャンスをつくった。中村も「アデミウソンの近くにいると、ボランチが(警戒して)下がる。そこで顔を上げることができる。それを(ボランチじゃなく)一個前(のトップ下)でやればゴールだからね」と感触をつかんでいる。好パフォーマンスで不安を一蹴したブラジル人が、中村とどう絡んでいくかは見ものだ。
一方で、J1・2nd第1節の山形戦で負傷した喜田拓也は今節も欠場が濃厚。不動の右SB小林祐三も出場停止となり、2人の主力不在の影響がどう出るか。G大坂との前回対戦はJ1・1st第14節。リーグ戦5連勝を懸けて臨んだが、試合終了間際のセットプレーでパトリックにゴールを許し、1-1の引き分けに終わった。チームはその後2分1敗で前半戦を終了。V字回復のきっかけになる白星を狙う。(totoONE編集部)

F東京-山形

■F東京
2ndステージ開幕戦は、4-3-1-2の布陣で前線からハイプレスをかけていったが、後半に陣形が間延びし、守備を崩されて完敗。シュート数も川崎の16本に対して6本に終わり、移籍した武藤嘉紀の“穴”の大きさをうかがわせた。
しかし、マッシモ・フィッカデンティ監督は、「試合への入り方、前半の戦い方は良かった。その後、ひとつのエピソードが勝敗を分けることになった」と冷静に分析。チャンスを活かしきれない時間帯に、バランスを崩して失点を喫したことを問題視した。
そこから中3日で迎えた新潟戦は、布陣を4-4-2とし、選手間の距離を近く保つことで修正。その結果、アグレッシブさと新たな連動性を発揮し、今季初ゴールを挙げた高橋秀人を含め、3得点をマーク。チームとしての自信を取り戻す勝利をつかんだ。
また、この2試合で新戦力のFW、ネイサン・バーンズとサンダサが途中出場を果たしている。ともにコンディションと戦術理解が万全でない中でも個性を発揮し、今後に期待できるプレーを見せた。
だが、新潟戦はアディショナルタイムにPKを与え、またもや無失点に抑えることができなかった。また、ここまで豊富な運動量で攻撃を支えてきた東慶悟が左足を負傷し、今節の出場が微妙に。現在のチームは計算できるベテランが中心になっているだけに、連戦の3試合目ということも含めてコンディションに不安を抱える。それをカバーするための先発起用と交代策にも注目が集まる。(totoONE編集部)

■山形
1stステージ最後の2試合は大量失点で終わったが、2ndステージは横浜Mに1-1、浦和に0-0と2試合連続のドロー。堅い守備をベースにした戦い方を取り戻している。前節は浦和に対して通常とは違う3バックで臨んだが、決定機をほとんど与えずに90分間アラートな状態を維持した。
今節は通常の3-4-2-1に戻すと見られるが、離脱者が少なく、各ポジションに色の違う選手が並ぶ。選手個々のコンディションやチーム戦術によって様々な選択肢がそろい、それがチーム内競争にもつながっている。常日頃からフィジカルに重点を置いて鍛えられているだけに、3連戦で運動量を大きく落とすチームではない。アウェイとは言え、移動距離、時間もそれほど長くなく、この2試合と変わらない運動量を発揮できる可能性は高い。
今季アウェイでは未だ勝利がなく、前回ホームで対戦した際もF東京に敗れているが、チームの戦い方が定まっている今は、それを打破するチャンスととらえることもできる。ただし、そこで乗り越えなければならないのは、最大の課題である決定力だ。前節の浦和戦もカウンターで再三相手ゴールを脅かし、内容で圧倒しながらもドローという結果に終わったのは、フィニッシュ精度によるところが大きい。一朝一夕に解決する課題ではないが、ゴール前での思い切りと落ち着きがどれだけ発揮できるかが勝敗に直結しそうだ。(totoONE編集部)

仙台-神戸

■仙台
仙台は2ndステージ開幕後、1分1敗。まだ勝利がない。ホームで迎えるこのJ1・2nd第3節で、なんとしても勝利したいところだ。
今節の相手である神戸とは、今季のJ1・1st第14節とナビスコ杯第3節で対戦。相手の速攻に苦しめられる場面も少なくなかったが、ホームでもアウェイでもゴールを許さず、J1・1st第14節では、金園英学の豪快なゴールによって勝利した。
今節の対戦で気をつけたいのは、神戸に新しく加入したレアンドロだ。これまでにも、何度もこの選手の鋭い飛び出しに仙台は手を焼いてきた。連戦だが、コンディションをしっかりと整えて、最後まで球際での激しさを維持できる強さを身につけ、神戸の攻撃陣に挑みたい。
前節の甲府戦で無得点に終わるなど、得点力に波がある仙台だが、守備では相手カウンターを防ぎ、無失点に抑えて自信をつけた。「いい守備からいい攻撃へ」という流れを作りたい。高い位置でボールを奪って攻撃に人数をかけられれば、バリエーションも増えるはずだ。
特に注目したいのが、前節に先発復帰した二見宏志。この左SBは、前節で相手の決定的なシュートをゴール寸前で食い止めるなど、守備で奮闘。攻撃でも力強い突破や、クロスを披露した。そしてロングスローという武器もある。プレーの精度を上げ、神戸を打ち破るための力をチームに加えたい。(totoONE編集部)

■神戸
2ndステージは1勝1分、現在は勝ち点4で2位とまずまずのスタートを切った。特に開幕戦では、アウェイで清水に5-0という大勝。レアンドロが神戸復帰後最初の試合でゴールを決めたのをはじめ、多彩な攻撃を繰り出し、得点力不足解消を予感させた。
ただし、ミッドウイークに行われたJ1・2nd第2節の湘南戦では、連動した形で先手を取りながら、一瞬の隙を与えて失点すると、球際でのタフな戦いを繰り広げた末、1-1の引き分け。J1ホーム通算100勝はまたもお預けとなった。マルキーニョスをはじめ、ベテラン勢も多く、そのうえ、チョン・ウヨンと三原雅俊のダブルボランチも守備面で相当なハードワークを強いられていた。蒸し暑いなかでの連戦となる今節では、これまでの消耗度をいかに回復できているかがポイントになる。
また、ユアテックスタジアム仙台でのリーグ戦では、最近3連敗中。今季のナビスコ杯での対戦でも0-0のドローと勝てていない。それでも、2試合連続ゴールを決めた高橋峻希や、早くも攻撃の軸となっているレアンドロをはじめ、イレブンのパフォーマンスは良いだけに、2010年以来の勝利を狙いたいところ。今季アウェイ戦ではリーグ戦、リーグカップ戦合わせて、6勝6分1敗と好成績。得意のアウェイで、弾みを付けたい。(totoONE編集部)

柏-川崎

■柏
2ndステージ開幕戦は、自滅によって黒星という手痛いスタートになったが、前節の横浜M戦は相手に押し込まれる苦しい展開になりながらも、高い集中力と粘り強い守備という、これまでの柏に欠けていた“泥臭さ”を発揮し、2ndステージ初勝利を挙げた。
今節対戦する川崎は、1stステージで4-1で勝利し、ホーム日立台では4連勝中と比較的相性の良い相手である。柏も川崎同様、ボールを保持して相手を崩す攻撃的なスタイルを志向するが、最近の柏はゴールへ襲いかかる部分で迫力に欠ける。実際に最近のリーグ戦5試合で挙げた5ゴールのうち、4ゴールはセットプレーとPKによるもので、流れの中から崩せていないのは気がかりだ。また、本来は絶対的な強さを誇る日立台で今季はわずかに1勝。なぜかホームで勝てていない。
だが、「自分のゴールでチームを勝利に導く感覚を思い出した」と話すように、前節は工藤壮人に6試合ぶりのゴールが生まれ、エースの一撃で2ndステージ初勝利を挙げたことは、少なからずチームに勢いを与えるはず。さらに工藤はクラブのJ1通算最多得点記録更新まであと1ゴールに迫った。日立台で“北嶋秀朗超え”を成し遂げるというモチベーションは相当高いことだろう。
けが人も多く、連戦では選手層に不安が残るものの、横浜M戦では大宮から移籍してきた今井智基が移籍後初出場を果たし、登録上の問題が全てクリアされれば、2013年ブラジル全国選手権得点王のエデルソンの出場がいよいよ可能となる。連勝を飾り、上位進出へ弾みをつけたい。(鈴木潤)

■川崎
「1stステージで悔しい思いをした相手の一つ。絶対に勝ちたい」。
前回の対戦ではホームで1-4と大敗を喫した相手との再戦に向けて、中村憲剛が語気を強める。開幕戦の多摩川クラシコから先発に復帰した中村は、トップ下のポジションに君臨。縦のポジションチェンジを織り交ぜながら中盤のゲームメイクをこなしつつ、前節の鳥栖戦では今季初ゴールを記録するなど、ゴール前でフィニッシャーの仕事も果たした。大島僚太と谷口彰悟のダブルボランチとの連係も熟成中で、この“中盤の三角関係”の行く末は、川崎の2ndステージを語る上で目が離せないものとして注目したい。
チーム全体に目を向ければ、なんと言っても“ドルトムント・ショック”に続いて起きた“レナト・ショック”に触れないわけにはいかないだろう。前節鳥栖戦の前日14日に突然訪れた、背番号10番の中国・広州富力への移籍騒動に、選手たちに精神的な動揺が走ったことは否めなかった。2日後の16日深夜には移籍が正式に発表されたことで決着はついたが、気持ちを切り替えて臨まなくてはいけない。
鳥栖戦で負傷交代した武岡優斗は、検査の結果次第ではあるものの、今節の出場が難しそう。J1・2nd第3節にしてこの台所事情だが、前節アシストを記録した船山貴之、コンディションを上げつつある小林悠や田坂祐介らの活躍に期待したい。ここ数年勝ちがなく“鬼門”となりつつある日立台で勝利をつかめるか。(いしかわごう)

新潟-鳥栖

■新潟
鹿島戦は後半アディショナルタイムに2失点して逆転負け、F東京戦はプレスが空転して完敗と、2ndステージの再開ダッシュに失敗。最下位に逆戻りしてしまった。
2試合ともセットプレーから失点しているのは大きな不安材料。セットプレーでいとも簡単に、それも相手で最も警戒すべき選手に決められる悪癖が、1stステージから改善されていない。鳥栖も当然、新潟の弱点として狙ってくるだろう。
同じ負けでも、鹿島戦とF東京戦では中身がまるで違う。鹿島戦はプレスがハマり、狙いをしっかりと表現できた。ところが、F東京戦ではそれがまったく影を潜めてしまった。
鳥栖のロングボールには新潟のハイプレスを弱める作用がある。とはいえ、守備で構えて後ろが重くなると、持ちこたえられない恐れがある。怖がらずに前からプレッシャーを掛ける戦いができるかは、今後にも大きく関わってくる。
現状ではネガティブな要素ばかり出てくるが、鹿島戦で機能したハイプレスは、見失ってはならない戦いの指針だ。ダイナミックな動きでチームに推進力を与える加藤大、小泉慶という若手MFの台頭も、変化を予感させる。
加藤が指宿洋史と好連係を見せることで、2トップを組む山崎亮平を加えた攻撃も活性化しつつある。連敗中ではあるが、輪郭がはっきりしてきた戦いを、鳥栖戦でさらにブラッシュアップしたい。(totoONE編集部)

■鳥栖
前節、川崎と引き分けて2ndステージ開幕2連勝とはならなかったが、鳥栖らしさは確実に戻ってきている。7試合ぶりとなった前半での失点以降は前線からのプレスと引いてブロックを作る守備の使い分け、相手のシュートに体を張る、相手より走るという鳥栖がやるべきことを実践した。J1・1st第5節山形戦以来となるホームゲーム勝利とはならなかったが、最後まで勝負を諦めない姿勢を示し、逆転に持ち込む雰囲気を作ったことで選手たちは手応えを感じている。
新潟とのJ1リーグ戦成績は2勝4敗で、アウェイゲームでも1勝2敗と負け越している。だが、ホームで行なわれた今季開幕戦で逆転勝ちしているだけに苦手意識はないはず。年間順位で最下位の新潟だが、鳥栖の選手に楽観視する者はいない。かつて新潟に所属した菊地直哉は「新潟は内容的に非常に良いゲームをずっとしているし、結果は出ていないですけど、一貫しているチームだと思うので難しいゲームになる」と気を引き締めた。
連戦でアウェイゲームという鳥栖にとっては厳しい条件での試合となるが、森下仁志監督が言うように「1試合を通して自分たちの強さを出し切れるように。そうすれば勝ち切れる」。鳥栖らしい守備とエース豊田陽平の3試合連続ゴールなど、自分たちの良さが戻っているだけに、2012年以来となるデンカビッグスワンでの勝利に期待したい。(荒木英喜)

清水-名古屋

■清水
2ndステージ開幕戦では神戸に0-5で大敗したが、15日の鹿島戦は10試合ぶりの無失点で0-0のドロー。6試合ぶりに出場したGK杉山力裕が安定感のあるプレーを見せ、PKも止めたことは大きな収穫だった。DF陣にもゴール前での粘りが見られ、最大の課題である失点の削減に向けて明るい要素も見えた。
システム的にも、3バックは変わらないが、ボランチを2枚にして、そこで本田拓也と八反田康平が久しぶりの先発ながら攻守に貢献。名古屋は、前線にノヴァコヴィッチや川又堅碁らの高さがあり、サイドや2列目には永井謙佑や小屋松知哉らのスピードがある。4月18日に行われた1stステージの対戦で対応できなかった部分だ。特に、ロングボールの競り合いで負けないことと、そのセカンドボールを拾うことが需要になるため、3バックとボランチ陣の頑張りや連係が重要なポイントになる。
また、セットプレーに関しては、名古屋は得点が非常に多く、清水は失点が多いチーム。今季の清水は先制された試合で全敗しているため、先制点は絶対に取られたくない。セットプレーの守備が大きなポイントになるだろう。清水が勝つには逆に先制点を取ることが欠かせないが、2ndステージは2試合で未だノーゴール。水原三星から獲得した鄭大世の登録が間に合わず、今節は出場できないのも残念なところだ。ただ、鹿島戦では少ないながらも決定機を作れており、そこを決めきれるかどうかが勝敗を大きく分けるだろう。(前島芳雄)

■名古屋
低調な出来で2ndステージ開幕戦を落とした名古屋だったが、中3日で迎えた強豪G大阪との一戦では、2点のビハインドをひっくり返して逆転勝利。シャドーの位置で起用された永井謙佑が1得点1アシストの大活躍を見せ、新たな攻撃の中心人物としての存在感を示したのは大きな成果だった。俊足を活かしたカウンターとフォアチェックはもちろんのこと、ラストパスにも非凡なセンスを見せている。
この間、チーム内外を騒がせたポゼッションへの意識改革も指揮官の鶴の一声で「堅守速攻の中での素早いポゼッションやボールを大事にするキープ」という解釈が浸透し、チームから迷いもなくなった。その速攻を封じられた際の打開策や、中盤に不足する守備力など、課題はまだ山積みだが、G大阪を相手に45分間で3得点は上々の出来と言えるだろう。
清水がどのようなスタイルで戦うかは不明だが、ナビスコ杯での対戦時のようなポゼッションスタイルで来るなら、堅守速攻がハマるはず。田中マルクス闘莉王のオーバーラップや布陣変更くらいしか飛び道具がないのはやや苦しいが、選手交代なしで形を変えられるのはむしろ強み。柔軟に、変幻自在にフォーメーションを変え、リーグ連勝で乗りかけている上昇気流にしっかりと体を預けたい。(今井雄一朗)

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