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【インタビュー】川口能活(FC岐阜)「ノイアーがバロンドールを受賞すれば、GKの大きな望みになる」

2015.01.11

 2014年、新天地を目指しFC岐阜へ。39歳の今もゴールを守り続ける不屈のGK川口能活に、2014年バロンドール受賞が期待されるドイツ代表GKマヌエル・ノイアーの強さの秘訣と、連覇が期待されるアジアカップでの日本代表の展望について聞いた。

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インタビュー・文・写真=波多野友子、Getty Images

90分間ほぼノーミス。途切れぬ集中力がノイアーの強さ

――それでは最初に、2014年のバロンドールについて聞かせてください。最終候補に残ったのはクリスティアーノ・ロナウド、リオネル・メッシ、そしてマヌエル・ノイアーの3選手。なかでも、ノイアー選手の名前を候補に挙げる識者が多いですが、川口選手はどう思いますか。
「まさに大きな希望ですね。受賞して欲しいと願っています。過去にも(ピーター)シュマイケルや(オリヴァー)カーン、(ジャンルイジ)ブッフォンなど、バロンドールに近いGKは数多くいましたが、中でもノイアーは最も近い位置にいる選手なんじゃないかと」

──どのような点で、ノイアーがバロンドールに近いのでしょうか。
「GKが前面に出てプレーをすること、つまりGKがゴールマウスを守る以外の仕事をすることを『よし』とする答えを導き出したのが、ノイアーですよね。過去にもGKの概念を覆すようなプレーをした選手はいましたが、成功すれば賞賛され失敗すれば批判を受ける、これの繰り返しだった。それを『成功』という形で完成させたことが、ノイアーが賞賛に値する点だと思います」

──なるほど。具体的には、ノイアー選手のプレーのどんなところがすごいと感じますか。
「まずは当然守備範囲の広さですね。ハーフラインまでは自分の守備範囲というようなプレースタイルですから。あとは、前に出るタイミングとキレのよさ。決断したら絶対に出てくるという気持ちの強さと、判断力でしょうか」

──メンタル面の部分ではどのように評価していますか?
「あれだけの活動量があると、フィジカル的な強さが大きく求められますし、ミスが起こる確率も上がるはずなんです。それが、ノイアーの場合ほぼノーミスなんですね。あれだけの運動量とゴールマウスを守るスキルを保ちながら、約90分間ほぼノーミス。それだけ集中力を途切れさせないところに、ノイアーのすごさがあると思いますね」

──つまり、ノイアーのプレースタイルはGKの理想形ということでしょうか。
「もちろん理想形ではありますよね。GKのひとつの完成形として、後世に語り継がれることは間違いないと思います。ですが、彼のプレーすべてがGKの目指すべきプレースタイルというわけでもない。選手それぞれのスタイルがあると思います。たとえば40歳を超えた選手が、あのプレースタイルを継続できるか、というとわからないですよね。ノイアーでも、年を重ねたらどう変わっていくかわからない。いかに自分のチームを勝利に導けるか、そこが一番重要なポイントではないでしょうか」

選手個人の技術力とカウンタープレーの成功が勝利のカギ

──それでは、アジアカップに話を移します。アジアカップといえば、2004年中国大会の準々決勝。ヨルダン相手のPK戦で、川口選手が奇跡の大セーブを成し遂げたことが今なお語り継がれています。
「2004年のアジアカップは、自分にとって代表でプレーするラストチャンスだという気持ちで臨みました。ポジション争いをしていた楢崎(正剛)が負傷し、僕にチャンスが巡ってきて。もちろん、代表でのポジションを自分のものにしたいという気持ちもあったけれど、だからといってあまり気負いはなく。代表としてプレーできる喜びを感じながら、楽しんで戦った日々でしたね」

──あのPK戦では、川口選手はどんなメンタル状態だったのですか。
「PK戦って、どうしてもGKがスポットライトを浴びやすいじゃないですか。ここでなんとか自分が止めてやろう、という強い気持ちはありました。2点先取されて追い詰められて、でも追いこまれれば追い込まれるほど、冷静になっていく自分がいましたね。周りの音が何も聞こえなくなったくらい。勝因は、矛盾するようですが『強い気持ちと無の精神』でしょうか」

──2015年アジアカップが開幕しました。日本代表に召集された3人のGKについて、川口選手的にはどんな印象でしょうか。
「3人ともタイプが違いますよね。(川島)永嗣は、どちらかというと気持ちでプレーするタイプ。味方を鼓舞して、自分を鼓舞して、チーム全体を奮い立たせるパワーがある。(西川)周作は、キックの巧さと守備範囲の広さ。あの足元の技術は、ゲームの組み立てという点でDF陣の助けになりますよね。彼の良さが発揮されれば、ボールの支配率も上がり、日本がより攻撃的に戦えると思います。東口(順昭)に関しては、代表に入るのがちょっと遅いくらい。能力の高さがもっと早く評価されてもよかった。昨年のガンバ三冠にも大きく貢献しましたし、技術的にもすごく高いものを感じますよね」

──アジアカップでアギーレ・ジャパンに連覇は可能だと思いますか。
「若手選手と、日本全体の中で考え得るベストメンバーが融合した、とても合理的なチームだと思いますし、何人もの選手が『非常にいいカウンタープレーができている』とコメントしているのを聞いています。本来の選手たちの技術の高さに加え、速い攻撃ができてくれば、おのずといい結果に繋がるのではないでしょうか。当然結果は求められるものですが、このアジアカップを通して、アギーレ監督の目指すサッカースタイルが見えてくるのかな、とも思いますね」

──それでは最後に、来年8月で40歳を迎える川口選手の来シーズンへの豊富を聞かせてください。
「2014年、J1昇格という目標とともにFC岐阜へ移籍を決めました。2015年も昨シーズン以上にチームに貢献し、自分のキャリアのすべてを発揮して、FC岐阜のJ1昇格を叶えたいと思っています」

取材協力:WOWOW

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