MADRID, SPAIN - OCTOBER 25: Lionel Messi of FC Barcelona despairs during the la Liga match between Real Madrid CF and FC Barcelona at Estadio Santiago Bernabeu on October 25, 2014 in Madrid, Spain. (Photo by Miguel Ruiz/FC Barcelona via Getty Images)

バルセロナがリーガで3試合連続の敗北を喫したのは、約12年前のことだ。2003年の1月から2月にかけてだった。まずバレンシアにホームで2-4、セルタにアウェーで0-2と連敗。当時監督だったルイス・ファン・ハール(現マンチェスター・U監督)のチームは13位となり、クビを切られた。暫定監督アントニオ・デルクルスが続くアトレティコ・マドリード戦で指揮したが、チームはアウェーで0-3と敗れ、3連敗。それ以来のリーガ3連敗をバルセロナはつい先日繰り返すところだった。
第11節のアルメリア戦では後半から出場したルイス・スアレスの活躍で逆転勝利し、3連敗は逃れた。しかし勝ったとはいえ、内容はバルセロナニスタの心配を増長するものだった。
チャンピオンズリーグのアヤックス戦では前半20分間は何もできず、続くスタメンを大幅に入れ替えたアルメリア戦でも前半は目も当てられない内容だった。
バルセロナはボールポゼッションを高めて、試合の主導権を握り、決定機をつくる。そのスタイルで栄化を極めた。魅力的なフットボールでトロフィーを増やしていくチームは、バルセロニスタにとって大きな誇りだった。ルイス・エンリケはそのスタイルの継続を試みるが、苦戦を強いられている。

「バルセロナはボールを持った時のプレーを知らない」
中盤で面白いようにパスをつないでいた近年のパフォーマンスを考えれば、耳を疑うような批評だが、今のバルセロナに対して、そんな声さえあがり始めている。
問題は中盤だ。
“クラシコ”のスタメンにはセルヒオ・ブスケツ、アンドレス・イニエスタ、シャビという黄金期を支えた選手たちが並んだ。今シーズンは開幕から素晴らしいパフォーマンスを示していたイヴァン・ラキティッチはベンチだった。新しいバルセロナの象徴がラキティッチであり、ルイス・エンリケはシャビをベンチに置いてきた。だが、“クラシコ”という大一番でシャビを先発で起用。スタメンがころころと替わるので、戦い方も定まらない。ラキティッチはビッグゲームでスタメンから外され、自分は監督からの信頼を得ていないのではないかと考え、リーダーとしての自信と自覚を持てずにいる。
今のままでは「バルセロナの黄金期は中盤に突出したタレントが揃っていたからだ」という見方をされるだろう。ヤヤ・トゥーレ、セイドゥ・ケイタ、チアゴ・アルカンタラ、セスク・ファブレガスはシャビ、イニエスタ、ブスケツの3人の牙城を崩せずに退団していった。今はその3人が年齢を重ね、パフォーマンスが低下し、チームはそのスタイルの維持さえも怪しくなっている。

ルイス・エンリケは試行錯誤を繰り返す。サポーターもそしてバルセロナ寄りのメディアもルイス・エンリケの監督就任に希望を抱き、彼を支えようとしてきたが、指揮官の態度に愛想を尽かし始めている。記者会見での対応が無愛想で、あまりにも明確な説明がないからだ。
例えばアルメリア戦後の会見では毎試合入れ替わるスタメンについて質問されると「(スタメン変更が)チームプレーにどんな影響を与えているのか、絶対にわからないことだ」と返答拒否ともとれるコメントを残している。ジェラール・ピケについて3回連続して質問されると「ひとりの選手について話し過ぎだ」と3問目には返答していない。
ルイス・エンリケは現役時代も決して報道陣と親しい選手ではなかった。選手ならば、そういう態度も許される。だが今は監督だ。
現代サッカーは週に2試合が当たり前で、会見は試合前日、試合後にある。つまり監督は週に4回は会見を行う。今や会見は注目を集めるビッグクラブを率いる監督の重要な仕事のひとつだ。チームのスポークスマンでもあり、選手とチームを擁護するためにも明確な返答をしなければならない。メディアは決してピッチ外の私生活の質問をしているわけではない。彼が率いるチームの試合について、選手のパフォーマンスについて聞いているのに批評を帯びた質問に全く説明がない。最近の記者会見でのルイス・エンリケを「モウリーニョに近づいている」と評するメディアもいる。
古巣に帰還した監督としてメディアやサポーターは友好的だったが、会見で彼の無愛想な態度が続くようでは、戦績が出なかった時に気持ちは一気に離れてしまうだろう。
時代は変わる。レアル・マドリードがボールを回し、バルセロナの監督会見が無愛想で話題となる。2大クラブの立ち位置が完全に逆転してしまった。