2014.02.28

“長崎旋風”再び 2014シーズンに挑むV・ファーレン長崎を直前展望

V・ファーレン長崎

 開幕が明日に迫った2014シーズンのJリーグ。ヒュンメルがサポートするJリーグ所属のチームは、過去最多の4チームとなった。開幕前レポートとして、各チームの今を聞いた。第一回はJ2のV・ファーレン長崎。

2013年、初のJ2参戦で長崎旋風

 昨シーズン、J2初参戦ながら6位でプレーオフに進出。最速でのJ1昇格の夢は破れたが、高木琢也監督のチームマネージジメントが浸透し、ハードワークを厭わないチームが、長崎から新たな風を運んだ。高木監督は2013シーズンを「予想以上の結果を出せたと思っています。このチームを作る時に、選手構成から見ても、プレーオフを目指すものではなかった。当初掲げていた目標は『残留』でしたので。そういった意味では、予想を超えた結果で終わりました。ただ、プレシーズンを思うと、それなりのゲームが常にできていたし、シーズンが終わった時には、『あの時良かったもんな』と振り返ることができました」と話した。

 ディフェンスリーダーの山口貴弘選手は、監督同様、昨シーズンからV・長崎に加入。「2013年は、一年を通してやり切ったシーズンでした。開幕戦のファジアーノ岡山戦はいいゲームでしたが、最後に追いつかれてドロー。2節のガンバ大阪戦は、いきなり3点リードされたけど、後半は1点を返すなど良いプレーができた。でも3節のモンテディオ山形戦がダメで。何もできずに負けてしまって。ただ、そのおかげで、『みんなでしっかりハードワークして、それぞれの仕事をやり切らないといけない』ということを再確認できたんです。目標は残留だったし、そこを一番に考えていましたが、やりながらすごい手応えを感じてきて。それから11試合負けなし、でしたからね。一試合一試合、色んなことを感じ、成長できました」

U-18の監督も務める原田武男アシスタントコーチは、今シーズンから正式にスタッフに就任。昨年は週2回コーチを手伝うなど、コーチングスタッフのサポートとしてチームに関わっていた。「外から見ていても、手応えを感じているのが分かりました。選手たちもアグレッシブに、なおかつサッカーに真面目に取り組んだことが、プレーオフ進出につながったんだと思います」

昨シーズン、J2初挑戦となったが、チーム予算的にはJ2の中でも決して多いチームではなかった。高木監督は昨年のポイントは3つあったと語る。「まず、長崎のメンバー構成によります。かき集められた選手、つまり、他のチームを首になった選手が多かったんです。JFLから上がってきた選手、プロリーグでやったことのない選手、一度はJでプレーしたことがあるが、戦い続けられなかった選手。そういった選手たちが『もう一回飛躍しよう、自らを高めていこう、ステップアップしよう』と、それぞれが考えていたんです。次に選手みんなが、チーム戦術をしっかり理解できた。状況に応じてプレーができた。最後にハードワークですね。相手よりも多く動くことを普通にしていくことができた」

チームの芯は変わらずに

 J1昇格プレーオフの京都サンガ戦終了後の記者会見で、『簡単な言い方をすれば、点を取る。野球で言えばホームランバッター、3番4番5番を打てる選手がいない』と語った高木監督。2014シーズン、新加入選手が11名いるが、クリーンナップ不在は、今シーズンも変わらないという。「新しく加わってくれた選手もいますが、昨年と大きくは変わらないです。攻守の切り替えやハードワークも同じ。ただ、付け加えるとすれば、個人の質ですね。その変化に気づいて欲しい。それに今シーズンは、得点シーンを多く作りたい。ものすごい選手がいて、一人で打開することはないけれど、お互いがカバーリングして、サポートして。みんなが攻撃に関わって、みんなが守備に関わって。真面目にサッカーに取り組む。それがうちの特徴です」

 今年2月、初めての本格的なキャンプを宮崎で行ったV・ファーレン長崎。トレーニングマッチも5試合実施。清水エスパルス、浦和レッズなど、J1チームともいいプレマッチを行うことができた。原田アシスタントコーチは「J1のチームとも対戦し、できること、できないことが見えてきて、やれる自信がついた。開幕一週間前、準備はできた。あとは積み上げてきたものが、本番で出せるかですね」と話し、山口選手は「昨年の上積みができていると思うんで、新たな、レベルアップした長崎を見て欲しいですね。選手はしっかり結果を出して、J1へ。長崎が盛り上がって行くだろうし。とにかくいい試合をたくさんの人に見てもらいたい。『90分間いいゲームを見れたな』と感じてもらえたら、一番幸せかな。DFとしては、今年も失点しないことにこだわってやっていきたい。攻撃にも、得点にも絡んでいきたいです」と直近に迫ったシーズンに向けての抱負を語ってくれた。

 一方、V・長崎と同時に発足したULTRA NAGASAKI WEST ENDというサポーター集団がある。「長崎ば、どう盛り上げようかって、考えとるんよね」と笑うのは、代表を務める坂本雄二さん。アウェイでは札幌や山形へも駆けつける熱烈なサポーターだ。今シーズンについては、「まあ、昨年のベースがあるけんね。昨年できたサッカーをすれば普通に上位に行く。そこを変える必要はなかしね。積み上げがあるからねえ。それよりもお客さんが増えて、スタジアムがにぎやかになって欲しかね」と話してくれた。

V・長崎、将来の航海図

 高木監督は「いい準備ができた。ここまで満足してます」という上で、さらに指揮官としてチームが目指していく方向性についても語ってくれた。「長崎の地図を見てもらうと分かるんですが、長崎ってアジアを向いているんです。僕が何年このチームにいられるかは分かりませんが、アジアで勝てるチームにしていきたい。サッカーを通してアジアの人たちとともに何かをしていきたい。アジアに出て行けるチームにしていきたい。それくらい変えていきたいですね。九州って、昔から独立心が育まれ、目を外に向けてきた土地なんです。今、サッカー自体を変えることは難しい。全てシステムができすぎてるっていう状況で。トレーニングなんかもそうですよね。だからこそ、異質なこと、いびつなことをやっていかないと、と思います。チームのマネージジメント的なことも、商売的なことも、演出的なことも。今は変わっているかもしれないが、5年後のスタンダードになるようなことを、将来を見据えてやっていきたいですね」